一章〉獣人山田。
やっと本編が始まります
「ようこそレストラン『バニーズ』へ」
「保護者1人子供1人です」
「……山田様、誰が保護者ですか?
助手……アシストはしても、保護はしません。
むしろしてください」
「いやいやライブラさん。同じ能力持っている人を保護する必要はないと思うんですが?」
「2名様ですね?窓側のファミリー席をご利用ください。
2名様ご来店で~す」
「「いらっしゃいませ~」」
「……親子ですか?」
「行きますよ?お母様」
「………」
はい、山田太郎です。
基礎訓練(地獄の特訓)を無事?終えた僕達は獣人さんの隠れ里に来ています。
隠れ里って言うから、ひっそりと暮らしているのかと思いきや……
かなり立派な(目立つよね?入り口に『ようこそ獣人の隠れ里、アニマへ!』って看板……)町でした。
なんでも、ケモ耳ファンの勇者が手厚く保護していたらしく、結界やら街の整備やら色々していったらしい。
たまには勇者も役に立つな!うん。
そういや言ってなかったけど、今、僕は猫の獣人に姿を変えてます。
色々モフると後が大変っぽそうなので、耳と尻尾、身長はそのままに創造で顔・体をコーティング。そのリアル肉襦袢に魔力等の隠蔽を付与して普通の服(再生機能付き)を着て完成。
ショタ猫獣人、山田さんの出来上がりです。
身長1mちょい(ドラちゃん位)の美少年と行動を共にする綺麗なお姉さんも獣人(猫)になっています。
ただでさえ完璧なクールビューティー先生スタイルに露出多めのエルフ装備、そこに獣ミミに尻尾……神ですな、うん。
「山田様…ニヤニヤ(ニタニタ)している暇があったら、今後の予定など考えてはいかがでしょうか?(それ以上、変な目で見たらその眼球すりつぶしますよ?)」
「……わかりました。
一度拠点を決めてギルド活動。更に学校なんかも行けたらって思ってます」
さすがライブラ先生……潰されても直ぐ再生するってわかってても恐怖が止まりません!
ビクンビクンしちゃいます。
「……一度、本格的にOHANASHI合いが必要みたいですね」
「冗談はさておき、手動で世直しリソースをバラ撒くとなると世界に溶け込める職業……冒険者か学生になっておく方がいいと思いますが、どう思います?」
どんなプレイをされるか興味はありますが……人間や魔物に殺られる前に地獄に行ったらルシファーさんに怒られてしまいます。
猫(神)にどう言われても構いませんが、他の人(神?悪魔?)に迷惑はかけれません!
「……なんか失礼な想像をされているような気がしますが、まぁいいでしょう。人属社会に入り込むにしても、それ以外の社会に入り込むにしても……世界の裏側に行くにしてもメジャーな肩書きを付けておく事には賛成です」
「決まりましたね。
では……」
「「超特大パフェ大盛り、お願いします!」」
「注文頂きました!
ギガサンデーツーです!」
「「ギガサンデーツー、ありがとうございます!」」
2人共、別に食べなくても生きていける体なのですが……
どうも思考以外の本能的なところ(特に食欲)が元の持ち主(猫)の性質に引っ張られるらしく、やたらとグルメ。
そして甘党……
何の示し合わせもなく普通にパフェを頼んでしまいました。(しかも特大)
「そんな事より今後の予定です。身分証も後ろ楯もないので、ギルドで登録がまず先だと思います」
「うん、そだね」
どうでもいいけど、ガッツリ特大パフェ食べながらスプーンでビシッと指されても説得力ないです。
それをちゃんと聞いてる僕もパフェ食べながらで……聞いてるようには見えないね。うん。
「じゃ、ササッと登録して学校に行こう。
先ずは教育(洗脳)をなんとかしないとリソース駄々漏れのまんまだろうから」
「……さすがに考えていらっしゃったのですね。
今後の事……」
「そりゃあ……ねぇ。
いくら真面目に修行してても何十年も休息時間があればねぇ……対策のひとつやふたつ思い付くでしょ?凡人でも」
神になった妖精(悪魔)の体に転生したって言っても、所詮は(中身は)ただの凡人。
細かい対策や計画、シュミレーション等は皆無。高校生でも思い付くよね?ってレベルの案を2、3個考えた時点で止めました。
だって僕、地球人よ?この世界(異世界)の事解る訳ないじゃん!
ってことで、細かい調整は先生に丸投げ。
常識の範囲内(地球での)で話を進めます。
「では、この後、ギルドに向かうとして学校はどこの学校に入りますか?
実年齢はともかく、義務教育的なモノはあるので比較的簡単に学校には入れます」
「そこなんだよね……教育制度そのものを変えたいって言ってもそう簡単にいくわけないからね。
先ずは現場の現状を把握してから……
って、今更だけど……時間的猶予って後どれ位?」
「このまま本当に何もしなければ2、3百年でこの星(世界)が崩壊。
しかし山田様が既にいらっしゃるので5百年は放置していても現状位は維持できます」
「ってことは、百年位で回復(プラス修正)の目処をたてないと崩壊は免れないと……」
「そうなります。
すいませ~ん!ギガパフェトッピングダブル盛り追加でお願いしま~す!」
「………」
「……もうひとつ追加で!」
いやいや!
その沈黙は僕も欲しいの沈黙じゃなくて~どんだけ食うねん!って意味の沈黙だからね?
まぁ、食べるけど……
って!食べるんかい!
……はい、食べます。
~…~…
はい、ギルド前に到着。
え?途中を端折り過ぎ?
だって~優秀な異世界Googleさんがいらっしゃるのに態々通行人に「ギルドどこ?」って聞いたらその人に迷惑じゃ~ん。
まぁ、若干コミュ障な自分がフラグを建設して完成させたり、壊したりって面倒だから却下です。
どうせ、学校に行けば嫌でもフラグやらセオリーやらテンプレやらに巻き込まれなきゃいけないんだから……いいよね?
「ではフラグ回避の為、ライブラさん、先頭でお入りください」
「別に構いませんが……
ギルドの必須イベント
(チンピラ風冒険者に絡まれる、又はナンパされる)
は蹴散らす
(本当の意味)
でいいですか?」
「……出来れば穏便にお願いします」
いやいや、どうしてそんなに過激対応なんですか?
長い付き合いだから分かりますけど……一般人にそんなご褒美……じゃなくて!仕打ちしたら後片付けが大変でしょ!
……でも見てみたい気持ちもある。
「やっぱ有りで」
「了解です」
しかし、そのフラグクラッシャー的思想はどこから来るの?
十中八九、製作者(猫)の思惑なんだろうけど……
はい、そうです。
ライブラ(自立型AI又の名をアカシックレコード擬き)の製作者ウァサゴは自分の思考を基本に作り出しました。
したがって全世界のあらゆる事象を把握しているにもかかわらず、敢えて全てを引き出さず“真面目にふざける”を実行しようとします。
なんて迷惑な神なんでしょう。
悪かったニャ!