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序章〉始まりは空から

ぷろろ~ぐっぽいナニか

皆さん、こんにちは。


私は今、絶賛落下中です。



……なぜって?







「バボババヒ~

(あのバカ神!)


ヘボバ……ボボッ、ボボバババブボベバババババッ

(天界から……そのまま地上へ)


バビブベボホッ!

(落とす奴があるか!)


ボゲ!

(ボケ!)」




さて……

愚痴もこれぐらいにして……





いやさぁ、

落下開始直後は良かったんだよ?

普通にふわふわ~って感じで。

あ、このまま異世界の地に降り立つのかな~って。


それがさぁ……

あっ、空だ!って思った瞬間……ピューって。

ピューだよ?


まあ、お約束だし……


でもお約束だったらさぁ、森の中とか、知らない男女に見下げられて『オギャア』とか、平原……この際、水中でもいいよ?やっぱり普通に始めたいでしょ、第二の人生。

標準最高。


だのに……


まさか……超お約束の落下転生(転移?)。

標準通り越して超古典的展開。



しかも……


まだ、能力も何も知らない状態で。




『生存本能プログラム始動。身体保護の為、防護スーツタイプBを起動します』



は?



『『装着』と念じてください』



装着?



その瞬間……

赤いメタリックな、それもかなりメカニカルでタイトな全身鎧が体を包む。


「……ここは赤い金属鎧って言ったら、『鉄男』でしょ……

なんで『シャリバ○』?神さん、あんたいくつやねん!?」



『安全を確保しました。これよりチュートリアルを開始します』



「なんで地面にぶつかる寸前にチュートリアルを開始すんね……」



そして赤い金属の塊が地面に衝突しました。





~…~…





冬のある日、


私、綾小路 狩穏(カリオン)は転生しました。

えっ?

なんで?

どうして?

てか、嘘でしょ~


はい、説明します。

(誰に?)



1月26日は記録的寒波が襲い、雪が滅多に降らない都心にも20cmも積もっちゃいました。

いや~たいへん、たいへん。何がたいへんって、ただですら出不精(引き篭り、又はニー…自宅警備員とも言う)なのに、余計外に出づらくなった。


しかも、食料が底を突きました。


はい、アウト~。


お爺ちゃんお婆ちゃんはお仕事を頑張ってもらっているので頼りに出来ません。

(親を捕まえて爺さん婆さんって……しかも働かせてタカった上にご飯を要求。なんと言う鬼畜!)



仕方ありません、完全防備で食料の調達に出ましょう。




ヒートテック上下にフリース、薄手のダウンを羽織り……いざ!出陣!


あ、スマホは忘れずに。



そして、家から歩いて2分のコンビニにへ。



久しぶりに外に出たよ。



何ヵ月ぶり?太陽見たの。

んでんで、30秒で挫折。ソッコーで帰宅の途に就く。



「フゥ……長い旅路だった」




そこに暴走したトラックが突っ込む。



以上が私の人生最後の瞬間の出来事でした。




パチパチ、パチパチ。




『どこにも拍手する要素は無いけどニャ』



気が付けば目の前にデッカイ猫が居て、話しかけてきました。



「めんどいから普通に話すニャ」



「いやいや、猫は普通話しません」

いかにも、さも当然のようにしゃべってますが、猫は言葉を話しません。

常識的にも、生物学的にも。



「その辺の細かい事は気にするニャ。さもないとハゲるぞ………って、スマンにゃ……わざとじゃ無いんニャ。悪かった!許してくれニャ。なんでもするから、この通りニャ!」



…………

「……何も言ってないし、してないし。

しかも気にしてる事をこれでもかと……」

わざとですね?

わざと気にしてる事を……この猫は傷口に塩を塗って、ヒールをかけてから更に切り裂いて塩を塗るタイプなんですね。

わかります。



「そんなに褒められると照れるニャ~」



「褒めとらんわ!

……で、ここどこ?」



気がついて回りを見渡すと何もない白い空間に(ロシアンブルー)と自分(全身ユニク○)の2人?のみ。




「おめでとう、自称引きニートの綾小路狩穏くん。君は異世界転生が決定したニャ」



「いいえ、結構です」



「……

おめでとう、自称自宅警備員の綾小路狩穏くん。君は異世界転生が決定したニャ」



「……言い方変えてもいっしょだから、てか言い変える気ないでしょ。

断ります」



「……チッ

金持ちのボンボンで、働かなくても十分贅沢な生活が出来るのにニートに憧れて引き篭ったはいいけど株でお小遣いが国家予算張りになって本末転倒な引き篭りハゲ。

転生だニャ。

わかったニャ?!」




「……チッ

わーい、異世界転生だ、やったあ(棒読み)」



はいはい、

私、綾小路狩穏は綾小路財閥(大昔は公家だったらしい)の御曹司。

両親は60越えても世界中をバリバリ飛びまくる現役CEO。

自分も名ばかりの取締役になってはいるけど……やっぱオタクって憧れるじゃん?

お金や名誉より、なんか我が道を極めたって感じで。

で、40越えて引きこもってみたんだけど……


あの猫の言うように、バイト感覚でネットサーフィンの片手間に株やらドルやら売ったり買ったりしてたら……0が6個位増えてた。



「いや~さすが血は争えないニャ。資産運用して国が買える位儲かるとはニャ」



さらっと心を読んで、受け答えしないでください、猫。


まぁ、いいです。

で、何が言いたいかと言うと……



「普通が良かったんです。

何不自由ない生活って努力のしがいがあまりないじゃないですか」



「贅沢な悩みだニャ」



「そしてこの見た目に頭。お金を掛ければ髪も顔もなんとか出来る?そんな邪道は私のポリシーに反する」



「でも、モテたいんニャろ?」



「……金と見た目に関係なく“普通”に恋愛はしたかったかな?

でもしがらみが多過ぎた」



「で、自暴自棄に引きこもって見た目は更に悪化。終いニャトラックにひかれるって事だニャ」



「………」

転生ってのが決まってから、ひかれたんじゃ?



「残念だったニャ。

死んだ奴を適当に選んでたら、たまたまカリオンに当たっただけニャ」



じゃあ、あまり選択の余地はないんだな……たぶん。


「てかカリオン言うな!

その名前嫌いなんだよ!」



そいえば……

「あんた誰?」



「猫?」



「いやいや、『猫?』って疑問型で返されても聞いてるこっちだし。

見た目が猫なのは見ればわかるし。

じゃなくてどんな存在かって聞いてる。

お約束だと神又は邪神。大精霊とか神かなんかの代理……使い魔とか天使って可能性もある。

けど見た目ただの猫だし」



「……だいたい全部合ってるニャ。

本当は僕の事を全部知ってて、からかって遊んでるんじゃニャいだろうニャ……」




全部合ってるって……

「カリン様ですか?」



「誰が猫仙人ニャ!どっちっていうとピッコロの方が近いニャ!いや……界王?」



「グラサンデブゴキブリでも緑色の爬虫類人間でもどっちでもいいです。

要は神様なんですね」

猫だけど。



「仕方ないんだニャ。元々魔王やら精霊神やらやってたら……いつの間にか世界神させられてたんだニャ」



「ふ~ん」



「興味なさげだニャ……」



「だって自分じゃないし……

頭のこと言ってくるし……

ハゲって言うし……

カツラ乗せないのって言うし……

植毛は?とか言うし……」



「うわぁ……かなり根にもってるニャ……

安心するニャ。転生先では

フサフサにゃ。

モフモフにゃ。

ボウボウにゃ」

「さぁ、転生しよう!

今なら魔王を倒すでも、世界を征服するでもなんでもするぞ!」




「現金な奴だニャ……

じゃ、早速転生ニャ」



「おう!」



「転生先は中世ヨーロッパ風。魔法もモンスターも有り有りニャ」



「おう!」



「能力は特に付けないニャ」



「おう!」



「目的も今のところ特に無いニャ」



「おう!」



「……(能力や目的よりも髪の毛かニャ……)

で、カリオンの種族はケットシーにゃ」



「……は?」



「……そこは反応するんだニャ。

歳はそのまま45歳。ケットシーとしてはペーペーニャ」



「いやいや、歳とかどうでもいいから!

何故に猫型?猫型はドラえもん以外興味ないから。

じゃなくて、人になんで成れないの?

せめて人型にしてよ。じゃないとフサフサの意味ないじゃん!」



「こっちにも都合があるんだニャ!問答無用で飛ばされないだけ、ありがたく思うニャ!

面倒くさいから、もう逝けニャ!」



「行けの字違っ」ガタン「落とし穴ってえぇぇぇぇ………」





「やっと行ったニャ……転送にタイムラグが有り過ぎニャ……たく、天界の連中はお役所仕事で……」



「お役所で悪かったね♪」



「……メレか、どうしたんだニャ?」



「一応、最高神で君の上司なんだからもっと敬おうよ……で、リソースの転送は終わった?」



「一応ニャ……

精神体になってから使ってなかった僕の体に魂を入れて送ったから、問題ないはずニャ」



「……それ、リソース過多だろ……」



「改造しておいたし、ナビも付けといたから大丈夫ニャ!(たぶん……)」



「………」

「………」


     天界での1コマ




~…~…





「痛たたたた……って、全然痛くない?」


……宇宙刑事スーツ恐るべし。推定1万mからのダイブでノーダメとは……



「……で、ここどこ?」



『ここはアレクラスト大陸中央部、ノッピ平原の南西部にあたります』



おう、まさかの返答。ありがとうございます。


「で、この声の主は誰?」



『ウァサゴ様の体に内臓されましたオールレンジナビゲーションシステムタイプZ:マークⅥです』



ガ○ダムよりなのか……エヴ○よりなのか……にしても長い名前だ……


「略して?」



『異世界Google』



「分かりやすっ!」


まさかのオッケークーグルが来ましたよ……



『製作者曰く、オールレンジって言葉にロマンを感じないかニャ?とのことです。

わたし自身はファンネルもビットも持っておりませんのであしからず。

あと、わたしは本体内臓型ですので思うだけで大丈夫です。人前で声に出して質問しますと、こちらの世界では白い目で見られると思います』



……異世界で脳内内臓AIを体験出来るとは……


「で、具体的になんとお呼びすれば?」



『いかようにも』



「じゃライブラさんで。

それで、早速ですがライブラさん。私を異世界に寄越した真の目的は?」



『極秘事項です☆』



「ウザっ!」


わかってましたよ……神に作られたAIが神に逆らうはずが……



『ウァサゴ様から禁止事項を聞かれたら、まずこう答えろと言われております』



「あの猫ウザっ!」



『この世界メレゲントⅡは、ウァサゴ様の上司である最高神様が天界クーデターの際に勝ち取った世界になります。

それまで治めていた前最高神様方(老害)の怠慢により疲弊した世界を引き継ぎ、新たな世界神としてウァサゴ様を派遣(体よく押し付ける)するに至りました』




「極秘事項じゃなかったの?!」



『そう言うようにプログラムされましたが、教えていけないとは言われておりません。

続けます。

その疲弊した世界に神であるウァサゴ様が直接手を下す事ができないので(半分は面倒だから)リソースを送る事となり、あなた様が選ばれたようです』



「……はい」


何気に毒(心の声)が入ってような気がしましたが、よく分かりました。


要は押し付けの更に押し付けって感じですね……


てか、ライブラさん……怒ってません?



『あなた様には怒っておりません。

怒っているのは作りっぱなしでほったらかしにしていたウァサゴ様と、この状況を作り上げた老害どもにです』



「…分かりました……」


ライブラさんは怒らせないよう心懸けます……



『ところで、わたしの名前は‘ライブラ’で登録されましたが、あなた様のお名前は?』



「山田太郎で」



『えっ…カリオン・アヤノコウジとお聞きしたような……』



「山田太郎で」

誰がそんなDQNだか貴族だかわからん恥ずかしい名前名乗りますか!普通が一番!

標準最高!!



大平原の真ん中で、1人ぶつぶつ言っている赤い鉄の塊な私……

話が進まないまま、まだまだ独り言続けます。



『……では、タロウ・ヤマダ様で登ろ…』


「いや、ヤマダタロウだ。ファーストネームが前に来る文化圏だろうが、断じて山田太郎で通させて頂く」

私は日本人だ。誰がなんと言おうと名前を変えるつもりは無い!



『………(見事に本名を変えているように思うのは、わたしだけですか?)

では、ヤマダ様。現状の把握をかねてヤマダ様のステータスを表示いたします』



目の前にホログラムのように数字や文字が並ぶ。



名前:山田 太郎

年齢:45才

種族:ケットシー

Lv:1

LP:5

MP:99999……

At:3

De:9999999

Sp:22222

Lc:9999999999


スキル:

魔王の体:死んでも(肉体が滅んでも)地獄巡りをする事で直ぐに蘇る。

また、ウァサゴの所持能力のほとんどを引き継ぐ。

ウァサゴの所持能力:

魔法の基本属性全部に加え、時・空間・創造・召喚を所持。

不老。

全精霊の頂点。




「…………」

何?このチートステータス……どこかに死ぬ要素あんの?

ライフポイント5はカスっぽく見えなくは無いけど……蘇るんだよね?

で、攻撃力3もデラカスだけど……魔法使ったら無敵じゃね?

例え魔法が使えない所でも、魔力伝導の良い武器持って魔力まとって叩けばなんとかなんじゃ……



『はい、ウァサゴ様も神になる前は魔法剣や魔道具を多様しておられました』



だよね~この極端なステータスだと……

「あ、因みにこの世界での平均ステータスは?」



『人間の平均が100前後、勇者・英雄で1000。

モンスターが500から1000で、ドラゴン等強者で5000。

魔王や覚醒勇者が10000というところですか』



「……普通はどこに行った……

標準は……」

なんか……


………


……


…ま、いっか!



「で、リソースって具体的に何すんの?」



『特に何もする必要はありません。

山田様が存在するだけで必要な所に‘カ’を送り、不必要な所から‘カ’を吸いとります』



なんだかなぁ……。

「何か積極的にしても……」

きっとダメなんだろうな……



『構いません。

好きなように行動してください。その方がわたしは仕事があって嬉しいです』



ウワァオ、こんなチートが自由にしたら世界の破滅が加速するだけじゃ~ん……


「……とりあえず、町に行って現場を把握します。

一応聞いとくけど……人間やら魔族やらモンスターやらの関係性は?

こういう世界だと……人間弱い、魔族強え~魔王最強!勇者助けて~勇者参上~からの、魔王チュドーン!世界平和~万歳~!って感じだけど」



『……(本当に45才?)

だいたいその認識であってます。

ただ、世界の初期設定では魔族や人間その他獣人やエルフ・ドワーフなんかも皆、並立な存在でした。

しかし、ここの元管理者である老害達は魔族・魔王は悪と自分の価値観を押し付け、勇者をバンバン召喚しました』




ちょと待て、その展開だと……


『はい、魔王は生まれては消され、魔族は絶滅寸前まで駆逐され、害獣以外のモンスターも討伐され生態系は滅茶苦茶です』



……どこから勇者が召喚されてるか知らないけど、だいたいチートもらって『あいつら悪い奴だからヤっちゃって』って言えば、そうなるよな……



『それだけなら、まだなんとかなったのですが……』



ん?



『その勇者達は余計な物も持ち込んでしまい、世界(星)の力が枯渇状態へ……』



はい、決定~

あの猫、最初から人間側に付かないように私の体を『猫』にしましたね!

自由にしろ!って言っても判官贔屓の日本人に強者に付いてどうこうはまずない!

たく……


バランス取れば良いんでしょ?バランス。

普通が一番!

(普通から一番遠い存在の自分が言うのもなんだけど……)



『どうしますか?ここから一番近い町は人間の町ですけど』



「敵情視察?このままその町に行きます」



『……そのまま行くと10中8・9、町から一斉攻撃を受けますよ?』



「ファッツ?」



『全身機械だらけの鉄男、もしくは猫のモンスターです。

違う場所ならケットシーも獣人ないし妖精ということで攻撃は受けないのですが、これから行くのは人間至上主義国家の町です』



「………」

……すみません、この辺の一般人の格好を教えてください。



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