兄はみた
家に帰ると母が私の元へ駆けつけた。
「ただいまもどりました。」
会釈をし母を見上げる
「沙耶花さん、学園で何があったのですか?」
真面目な顔で話す母を見て今日の出来事を振り返り聖が話してしまったんだと思った。
「あの、おかあさま。弁明させていただきたく・・・・・・。」
覚悟を決めて話そうと私は試みたが
「桐ヶ谷家のご子息が怪我されてる所をお助けしたのですね。誇らしく感じますわ。先ほど桐ヶ谷家の奥様からお電話があり沙耶花さんに大変感謝されていましたわ。」
歓喜余ったのか私をギューッと抱きしめて母は頭を撫でてくれた。
よかった、実によかった。聖よ約束守ってくれてありがとう!大げさだけどおかげで私の命は繋がった!明日いっぱい感謝するよ!!と私は心の中で聖に感謝していた。
「困っている人に手を差し伸べることは普通のことですわ。」
私はその後、父からも賞賛され神宮寺家は今にもパーティーする勢いぐらいに盛り上がった。
そしてこれで我が家と桐ヶ谷家の未来が明るくなったのだの婚約はいつにするだのとんでもない話まで両親の口から飛び交い誇らしいと絶賛してくれる両親を見て私は少し心苦しくなった。
「うっ、これ程までになるとは・・・・・・。」
つい私は独り言が口に出てしまった。
「ふふっ、沙耶花、学園で何をしたんだい?」
ニコッと笑顔で聞いてきた兄には嘘が見抜かれているような気がしてならない。
「ぼくと同じクラスの子が泣きながら走って逃げてたよね・・・・・・。」
兄はそう言ってチラッと私を見た。
うん、これは完全にバレてる。見透かされている。この5歳児怖いこわすぎる!絶対年齢詐称してるよ!
「ほほほ、おにいさまはどこから観ていらしたの?」
私はすこし冷や汗をかいた
「うーん、沙耶花が窓の外を見て急に走り出した所からかな?」
兄はにっこりと笑った。
さいしょっからやないかーい!
これは完全に暴言やら護身術使った所とか見られてるじゃん!うっわ、完全にやられた。
「おにいさま、わたくしがあのような事をしたこと秘密にしていただけますか?」
必殺上目遣いを使い目をウルウルさせた。
「いいよ、でもあんな危ないことはしちゃダメだよ。沙耶花になにかあったら嫌だもん。」
そう言って兄は私の頭を撫でてくれた。
許してくれる優しい兄に感謝感激。ありがとう!
「ありがとうぞんじます。あのように飛び出すことないよう気を付けます。」
私がそう言うと兄がニコニコとしてこう言った。
「これでもうこの秘密はあいつと沙耶花の2人だけの秘密じゃなくなったね。よかった。」
兄のシスコンがよからぬ方向へと向かっていないか心底心配になったのは言うまでもないだろう。




