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悪役?そんなものお断りします!  作者: Miiz
第1章 幼稚部
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護身術は大切ですわ

次の日、新たなな気持ちで学園へ向かった。




年少組の部屋に入ると穂乃果が座っている場所まで足を進めた。




「穂乃果様、ごきげんよう。」



うつむいていた顔が上がりパァっと笑顔になったのが手に取ってわかった。



「紗耶花様、ごきげんよう!昨日は途中から元気がなくなりわたくしのせいかと心配しておりました。」



大きな瞳が少しウルウルしていた。



「ご心配おかけして申し訳ありません。緊張で途中から疲れていましたの。また今日も仲良くしてくださいますか?」



私がすこし微笑んで言うと昨日と同様ギューっと抱き着かれた。穂乃果にすごく懐かれたのだなとつくつぐ思った。



「よろしくってよ!わたくしは紗耶花様のお友達ですもの。」



2人でウフフと笑い合った。私は穂乃果が大きくなって一緒に色々な事を経験していくと思うとすごく楽しみになった。




周りを見ると桐ヶ谷 聖、篠宮 慶は一緒にツルんでいるみたいだった。



今の目標はいかに攻略対象者と仲良くなり高等部から来る主人公の為にフラグを立てさせることが出来るかだ。それには、彼らと接触しなければならないが聖のあの冷徹そうな目は近づきがたい。かつここの学園の子供は一人も子供らしくない。私も人の事言えないがとりあえず今は様子見ということで……。



そんな事を考えていたことをすっかり忘れて私は穂乃果とのおしゃべりに夢中になった。



「穂乃果様、わたくしお花を摘みに行って参りますわ。」



昔、母にトイレ行ってきます。と言ったらそんな下品な言葉は使うなと怒られたことがあったなとふと思った。




「いってらっしゃいませ、紗耶花様。」




私はトイレに向かった。




トイレの帰り道に外から声が聞こえるなと思い窓から覗くと聖が何かを庇って上級生と思われる3人組から蹴られたりされていた。やり返さずずっと睨みながら聖は我慢していた。



私は思わず走ってその現場に行った。




「そこの馬鹿たち!何してるの!?」



私はそう叫んで走って上級生と聖の間に立った。



「あんたたちさ、恥ずかしくないの?殴ったり蹴ったり棒で叩いたり、そんな事したらダメってことは3才児でも知ってる!あんたたち馬鹿じゃないの?そんなねじ曲がった性格じゃろくな人間にならないよ!これ以上暴力を振るうなら容赦しない。」



5才児とは思えないような口調でキツく相手を睨み上げた。



「うるせーー!お前には関係ないだろ!女はどこか行け!」



そう言って男の子が棒を振り上げた。


私は棒を左の手のひらで受け止め伸びてきた腕のひじから親指2本分の所を軽く押した。必殺 手三里である。前世で真面目に護衛術習っててよかったと少し思った。



軽く押したつもりがすごく痛かったみたいで泣きながら他の2人を引き連れて逃げていった。





「もうこんな事はしたら許さないからねーー!」


私はそう逃げていく3人組に手を振りながら言った。



あそこでケンカになってたらと……親の顔を思い出し顔の血の気が引いたような気がした。


それより聖だ。きっと怪我していると思う。そう思ってパッと振り返るとキラキラした瞳で小さな子猫を抱えながら聖は私を見ていた。私はものすごく嫌な予感がした。



「桐ヶ谷様ですよね?お怪我はされていませんか?」



目線を合わせて私は言った。



「お前は同じクラスの奴だよな!お前はあいつらを一発でやっつけた!すごいな!!俺は立ち向かうなんてできないけど、ただ必死にこの猫を守ったぞ。」



キラッキラした瞳で満面の笑みを浮かべて聖は言った。



うわっ、この笑顔。さすが学園のキングになるほどのイケメンだ。まぶしすぎる。そんな心の声を私はグッと飲み込んだ。



「ええ、同じクラスですわ。わたくしより相手に手を出さずその子猫を懸命に守り抜いた桐ヶ谷様の方がご立派ですわ。」


そう言いながら聖の髪の毛や制服についた草や土埃を手で軽くはたき落とした。




「お前、名前はなんと言うんだ?俺は桐ヶ谷聖!聖って呼んでくれ!」



土埃を落としている私にニコッと笑いかけ言った。



「わたくしは神宮寺紗耶花でございます。わたくしが彼らをやっつけた事は2人だけの秘密です。約束ですよ?」



私は人差し指を口に当て少し微笑みながら言った。




「もちろんだ!紗耶花もこの猫のことは秘密な。約束は絶対だぞ。」



二ヒヒと聖は私に笑いかけた。



「念の為に保健室へ一緒に参りましょう。」



そう言うと聖は抱えていた猫を下へおろし私の手を握って保健室へ歩く。


うん、これは完全に聖に懐かれたと思っていいと思う。保健室へ向かうと養護教諭が聖の体にできている赤い打撲痕を見てゾッとした。それはそうだろう日本三大財閥に入る桐ヶ谷財閥の御曹司であるのだから。階段で遊んでて転んだと上手に嘘をついていたのでこれは手慣れているなと少し関心した。養護教諭に私のことは転んでいるのを助けてくれてここまで連れてきてくれたヒーローだと自慢していた。聖は念のため家の者が病院へと連れていくそうなのでひとまず一安心である。



「でわ、聖様。わたくしはクラスに戻りますわ。」




「うん、ありがとう!また明日な!」


そう言って手を振っている聖にごきげんようと言って私はクラスに戻った。


この小説に書いてある護身術は少しアレンジを加えていますが手三里ツボは痛いらしく護身術で使われることもあるみたいです。子供には効かないかもですがそこはご愛敬でお許しください。

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