The everlasting true heart.
今日は毎年恒例のルナの歓迎会である。
今回の歓迎会のドレスはセクシー思考となっている。
母がフリフリ以外の物を推してきたので今回は承諾した。
シルクサテンの白のマーメイド型のタイトなロングドレス。
左側に股下ぐらいまでスリットが入っており、上はビスチェ型で
刺繍のあるレースで透けており胸パッドの所だけ白で見えなくなっている状態となっている。
ちなみに、背中はガッツリ空いている。髪は軽く巻き、片側に髪を流す。前髪もかきあげ、キリッとクールに強めメイクをした。久しぶりにガッツリメイクしたような気がした。
支度が整い、リビングに降りると、母は、満足な顔をしていたが、
父と兄は開いた口がふさがらないのか唖然としていた。
「さ、沙耶花どうしたんだい?その姿は?」
ようやく動き出した父がオロオロとそう言った。
「お母様がこのドレスを決めてくださったの。いかがかしら?」
そう言ってくるりと回る。
「最近の沙耶花は、御淑やかで威厳がありませんわ。以前の件みたいに他の方になめられては困ります。強く見せようと思いましたの。」
母親は、私に威厳がないから庶民になめられたと思っているらしい。
まぁ、ごもっともだ。威厳なんて取得したら悪役にまっしぐらじゃん。
「お母様、ですが、これは肌を出し過ぎでは、、」
兄がそう言って、私に何か羽織るよう言った。
「いえ、これでいいのですわ。殿方のハートを掴んで早く沙耶花に婚約者を見つけますわ。」
キラッと笑い母が言った。
私はそんな思惑があったのかと苦笑を漏らした。
「失礼致します。篠宮様が沙耶花お嬢様をお迎えにこられました。」
メイドの方がそう言って慶を通した。
慶は私の姿を見て少し驚くが切り替え、私の両親、兄に挨拶を済ませ私の元へ来た。
にっこりと笑い掛け私の手に紫、ピンク、黄色のスターチスの花のリストレットを付ける。
「The everlasting true heart. ふふっ。」
母は、そう言ってニッコリと笑う。
そしてその言葉を聞いてサッと青ざめる父と兄。
「はい、いつまでも変わらない真実の心。僕が君へ送ったリストレットの意味だよ。」
私の手を掴み慶は見つめながら言う。そんな風に言われたら勘違いしてしまいそうだ。
「素敵なリストレットありがとうございます。いつまでも変わらず仲良くしましょうね。」
私がニッコリと笑って答えると慶と母の溜息。兄と父からの安堵の溜息が漏れた。
私はその理由が分からなかった。
車に乗り込むと少しむくれた様子の慶。
「わたくし何か気に障るような事いたしましたか?」
首を傾げ慶に問うた。
「いつまでも仲良くって4人でのことだよね?」
慶かそう質問してきた。
「そういう事だと思ったのですが、違いましたか?」
また私は首を傾げる。
「違うよ。僕も沙耶花の婚約者候補として沙耶花に好きになってもらえるように頑張ったんだけどまだまだ押しが足りなかったみたいだね。」
慶がそう言って、初めて私はさっきの花言葉の意味を理解した
途端に少し照れてしまい頬に熱が帯びる。
「あ、ちょっとキュンとしちゃった?」
ニッと笑う言う慶に顔を逸らし熱が収まるまで慶の話を無視した。