幕開けだ
「おはようございます。お父様、お母様、お兄様。」
私はそう言ってダイニングにいる家族に話しかける。
父が私の頭をガシガシ撫で髪の毛が鳥の巣になるのは毎日で
そんな父を毎回説教する母がいて、私の髪をニコニコと梳かしてくれる兄がいる。
これが私の朝の始まり方だ。
「沙耶花は、何着ても似合うね。高等部の制服も似合っているよ。」
梳いた髪を一束すくいチュッと髪にキスをする兄。
最初は赤面していたが今となっては慣れたものだ。
「ふふ、お兄様には負けますわ。お兄様はいつでもカッコいいですもの。」
私はクスリと笑った。
「相変わらずあなた達は仲良しね。沙耶花さんも真人さんも立派に育ってくれて母として大変誇らしく思っていますわ。」
母はそう言って私たちに微笑む。
「そうだな。さすが俺たちの子供達だな。」
そう言ってほほ笑む父を見て兄と顔を見合わせて少し照れたように微笑んだ。
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久しぶりに兄との登校だ。
「沙耶花お嬢様、ご入学おめでとうございます。」
車に乗る前に黒川にそう言われた。
「ありがとう。これからもよろしくね。椿と子供は元気かしら?」
私はそう言って、気になっている椿と子供について問うた。
そう彼らはあのネズミーの後に結婚したのだった。
そして子供を授かり現在、椿は育休中だ。もうすぐ椿たちの子供は1才になるのだ。
「はい、お陰様で元気で息子もすくすくと成長しております。椿ももうすぐ職場に復帰しますのでその際は、宜しくお願い致します。」
黒川はそう言って会釈をした。
「ええ、椿に久しぶりに会えるの楽しみにしているわ。」
ふふふと笑い私は車に乗り込んだ。
「何の話をしてたんだい?」
外で談笑していて気になったのだろう兄がそう尋ねてきた。
「椿がもうすぐ復帰すると話を聞いたのですわ。」
楽しみと笑みをこぼせば、兄は愛おしそうに髪を撫でるのであった。
「お兄様の生徒会長挨拶、楽しみししておりますわ。」
私はそう言って兄を見上げ
「ふふ、沙耶花が聞いているなら頑張らなくちゃね。」
兄はそう言ってほほ笑むのであった。