吉高神宗弘
僕は何故この家に生まれたのだろう。
この世界は礼儀作法に厳しい。家元の子ということもあってか
家族の視線は人一倍厳しく楽しいと思えた事はなかった。
病気がちでいつも寝ている兄が僕を心配してくれる唯一の優しい人だった。
兄は離れに住み、家族からは腫れ物を扱うような対応をされていた。
だからそんな扱いをする兄以外の家族が嫌いだった。そして周りの使用人たちも
そんな兄がある日落ち込んで泣いている僕に差し出してくれた物がゲームだった。
僕は夢中になった。こんなにも楽しい物があるんだと無我夢中で遊んだ。
それは僕の中の密かな楽しみとなった。
兄が中等部になる頃には、病弱だった兄が回復し次期当主として兄が役目を果たすようになった。
僕は友達を作るのが苦手で周りに溶け込めず1人でいた。そして付いた名は一匹狼。内心はただの臆病者だってのに、名前が独り歩きしていた。
そんなある日、彼女に出会った。誰もが望む高嶺の花。財閥のご令嬢。きっと仲良くなれないであろうそんな人に秋葉にあるア〇メイトで。
僕は彼女に興味を持ち、二人きりの時に問いかけたら嘘が苦手なのかアタフタし隠し通せてなかった。そんな彼女と友達になれたことが僕の分岐点だったのかもしれない。
そんな彼女のおかげで僕は少しづつ友達が出来るようになった。
独り歩きしていた名前が払拭された。
でも、僕の趣味を理解してくれそうな友達はいなく、唯一、話が出来る友達が彼女だけだった。
僕は、恋をした。どのきっかけか分からない。だが彼女に惹かれ目で追うようになり
彼女を独占したいと思う気持ちが強くなった。
そんな彼女に惹かれるライバルは多い。
その中でも目立っているのは桐ヶ谷聖くんと篠宮慶くんだ。
彼らは見た目。家柄。勉強。運動すべてにおいて完璧だ。
彼女の横に立ってもおかしくないだろう。
今までの僕だったら、もう嫌だと投げ出し諦めていただろう。
だけどこれだけは譲れないと強く思った。
その理由は良くは分からない。だってしょうがない彼女に恋をしてしまったのだから。
この険しいサバイバル厳しくて長い道のりだと思う。でも逃げ出さない。
兄にも協力してもらいながら僕も最大限成長できたと思う。
僕は変われたんだ。他の人に負ける気はない。
彼女はぼくが幸せにする。
だからどうか僕を選んで。




