おとぎ話から飛び出した二人
ある者は思った。
あぁ、あの女性には敵わないな。と、、、
そしてまたある者は思った。
自分もあのようにエスコートがしたい。と、、、
その容姿、立ち振る舞い、美しさに誰もが憧れた。
そして彼女らかあるく道を誰もが開けた。
彼女らがついた先はダンスホールの中央。
演奏者たちは、ワルツの演奏を始めた。そして照明は少し暗くなりスポットが彼女らを照らす。
それはそれは、どこかの絵本から飛び出したかのようなお姫様と王子様。その場にいる者たちを魅了した。
---------------------
「あーあ、今日は聖に一本取られたみたいだね。」
パートナーである彼女にそう言う。
「沙耶花様。。。本当に美しいですわ。今回だけ許してあげるわ。ちび助のエスコート見事だったから。」
そう言ってその姿を目で追う。
----------------------
「さっちん、、、。すごいな、、。僕もいつか彼女をエスコートできるようになれるといいな。」
そうポロリと口から洩れる
「きっと、できますわ。頑張ってくださいませ。わたくしも沙耶花様みたいな女性になりとうございます。」
キラキラと憧れの目で彼女を見つめる。
--------------------------
「僕の沙耶花が、他の虫どもの恰好の餌に・・。」
わなわなと震える。
「あなたが駆除すればいいのではなくて?」
そんな生徒会長を呆れながら答える副会長
------------------------
「穴があったら入りたいですわ、、、。」
手のひらで顔を全部覆い羞恥心に耐えている沙耶花。
ダンスが終わり恥ずかしさで絶えれなくなりベランダへ一目散へ向かったのだ。
「俺も柄じゃないけど今までで一番緊張したかもしれない。」
そう言って聖もふーーっと息を吐きしゃがみ込んだ。
「お疲れ様、二人とも。」
そう言って傍に来たのは慶と穂乃果であった。
「沙耶花様、とても美しくて見惚れてしまいましたわ。」
沙耶花の前に来てそう言った穂乃果。
「ありがとうございます。ですが、もう緊張と羞恥と頭が混乱していますわ。」
そう言って沙耶花は穂乃果に抱き着く。
「ふふふ、よしよしですわ。」
穂乃果は抱き着かれたことに少し嬉しく感じる。背中に腕を回しポンポンと背中を叩く。
「穂乃果様もすごく華麗で、階段降りているときにすぐに気が付きましたわ。」
そう言って穂乃果の手を取りニッコリと笑う。
「あ、ありがとうございます。」
言葉が尻すぼみになり、穂乃果は顔を赤らめ俯く。
「そこ女の子の二人の世界にしてないでそろそろ戻ってきておいで。」
慶はヘラっと笑う。
「今日は社交界へ行く予行練習だから、めんどくさいが繰り出そうか。笑顔の仮面を張り付けてさ、終わったら存分に愚痴も聞いてあげるから行こうか、穂乃果。」
そう言って慶は爽やかな笑顔を浮かべた。
「仕方ないですわね、聖様と沙耶花様におくれを取らないよう、全力で目立ってきますわ。」
穂乃果と慶はそう言ってホール内へ乗り込んでいった。
「ふぅ、わたくしたちもそろそろ気を取り直して参りましょうか。」
そう言って聖の落ちてきている前髪を整える。
「あぁ、桐ヶ谷家の跡取りとしてしっかりつとめるか。」
こうして二人もホールへと戻る。
沢山の者に囲まれ二人は家名に恥じぬよう堂々と対応するのであった。
その後、聖と沙耶花の入場からダンスまでの写真はうまくまとめられ、写真部により展示されてしまったのであった。
ま、もちろんそのような事は許されるはずもなく生徒会より即時撤去データの消去がされたとか、、、
「沙耶花の写真、お母様にも見せてあげよう。」
そこには上機嫌にパソコンに入っているデータを見ている兄がいるのであった。