えっ、ちょっ、混乱。。。
皆様こんばんわ。わたくし沙耶花は只今絶賛混乱中です。
理由は目の前にあるドレスが理由です。
そこにはAラインのドレスでウエストで切替になっている、上はオフショクダーで刺繍が美しく縫い込まれているレース。そして表面はオーガンジーで滑らかなシルエットにし下にはチュールでボリュームを少しだす形のミモレ丈の純白のドレスだった。
くるりとまわれ右をして部屋のドアに手をかける。
や、だってさ、どー見てもウエディングドレスじゃん。まんまと聖と聖の母親に乗せられたわ!これは、流石に着れないよ。だってさ、着れば絶対はい婚約者決定~。的なパターンでしょ?そんでもって、高校になって聖が主人公に恋に落ちた時、完全に悪者パターンじゃん。私の婚約者に手を出さないでくださるかしら?って言うの?そんなの無理無理。完全破滅の軌道に乗るじゃん絶対。どうしよう。何かいい案ないか。。。
そう手すりを持ち固まっているとドアをノックする音が聞こえた。
扉を開けるとそこに聖がいた。
「聖様。」
困ったような顔をして沙耶花は言う。
「あーやっぱり、そうなるよな?」
苦笑いで答える聖。
「ご説明願えるかしら?」
私はそう言って聖を部屋へ招き入れた。
「俺が昔から沙耶花のことをフィアンセだと言ってただろ?俺の家族もそろそろそれを本物にしたいらしいんだ。だから今回こんな風になったんだ。沙耶花の母親もこの計画知ってる。」
聖のその話を聞きわたしは軽くめまいを覚えた。
どうしよう。たぶんこのドレスは着ないといけない。どうにかして婚約だけは伸ばせないか。。。
ピコン!と1つ名案が思い付いた。
「高校卒業まで・・・・」
わたしのその言葉で聖は首をかしげる。
「婚約は高校卒業まで待って下さるかしら?」
私のその言葉にまた少し悲しそうな表情で首を傾げる聖。
「わたくしは、婚約する前に恋というものを知りたいですの。わたくしの心を射止めてくださいませ。あら聖様?わたくしを惚れさせる自信はなくって?」
私は挑発するようにそして妖艶な笑みを浮かべ聖にそう言った。
「自信?あるぜ!誰にも負けねーし、絶対沙耶花を惚れさせる!そして沙耶花から結婚してって言うくらいカッコいい男になってやる。覚悟しとけよ、沙耶花。」
そう言って私と鼻と鼻がひっつくぐらいで覚悟しとけよと聖が言う。
思わずドキッとしたが、秘密だ。
そして聖のお陰で、ドレスは着らずに済んだ。ほんとに一安心だ。
「うまくいくと思ったのに残念ですわ。」
「沙耶花が聖に何かを吹き込んだのでしょうね。まだ親の出る幕ではなかったのでしょうね。高校卒業まで待っておきましょう。」
そんな話を母二人していることはとうの本人たちは知らない。
「なぁ、沙耶花。どうしたらお前は惚れる?」
そう聖は聞いてきた。
いや、そんなこた知らねぇよ。と心の中でツッコむ沙耶花。
「それな事は知りませんわ。高校卒業まであと約5年ほどかしら?楽しみにしていますわ。」
私はそう言ってフフフと笑ったのであった。
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後日、パーティーの事が話題になったのでこの出来事をランチの時に穂乃果や慶の前で話す。
すると案の定、穂乃果が激怒し聖と喧嘩になる。
「ふふふ、じゃあ俺も沙耶花を惚れさせれば、婚約できるんだね。」
ニコッと爽やかスマイルでそう答える慶。
「あなたの取り巻きの女性達みたいに簡単には騙されませんわよ。」
こちらもキラッとエフェクトが出るような笑顔で返す。
「なーにーがー惚れさせるですって?あんたみたいなペテン師に沙耶花様を渡すわけないでしょ!!」
どこから話を聞いていたのか聖と喧嘩していた穂乃果がムキーッ!!と今度は慶に牙を剥けるのであった。
こうして、この件はひとまず終結する。
この後、聖からのこうすれば惚れるだろうみたいな迷惑なアピールが数日続き、沙耶花は深い深いため息をつくのであった。




