お色直し
パーティー当日。
毎回恒例の写真撮影が行われた。
一緒に招待された母も今回は写真を取られる側だ。
「ジェシカも沙耶花は凄く美しい。あぁ、最高だ。」
父がすごく鼻の下を伸ばしているので少し控えめに言って気持ち悪かった。
「でわ、そろそろ行ってくるわ。」
母のその言葉で家を出る。
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懇親会と言う名であっても来ている人は財政界においてトップクラスの者たちばかりだ気を抜いては行けないと沙耶花は今一度気合いを入れ直す。
「沙耶花さん、まずは桐ヶ谷財閥お御夫人にご挨拶に行きますわよ。」
母のその言葉にカツカツと歩く。
「ごきげんよう。幸恵様、ご無沙汰しておりますわ。」
そう言って母が挨拶する。
「まぁ、ロキシー様。それに沙耶花様。来て頂きありがとうございます。」
聖の母はそう返事を返し母二人話に花が咲く。
ふたりの話をニコニコ聞いてるふりをし辺りの食事に気を取られる沙耶花。
「ふふふ、沙耶花様はたいそう美しくなられて、ぜひ娘に欲しいぐらいですわ。」
「ご子息の聖様は、たいそう優秀なお方でいらっしゃると聞いておりますわ。」
互いの子供を褒め合う母2人。
「そういえば、先日に息子と買い物に行ったときに素敵なドレスを見つけてきっと沙耶花様に似合うと息子が言うものですからついつい買ってしまったの。ぜひ、着て下さらない?」
「まぁ、それは嬉しいですわね。沙耶花さん、着替えてきては?」
母のその言葉に沙耶花は食事に視線を向けてた目を母に戻した。
「はい。ぜひ着させていただきますわ。ありがとう存じます。」
沙耶花はそう言ってドレスの準備している部屋へと向かった。
「エスコートは聖にさせますわ。よろしくって?」
にっこり笑う聖の母。
それと共に一緒にニコリと笑う母。
この時、私はまだこの母二人が仕組んだものとは知らなかった。




