何故か、人気者になってしまいました。
「沙耶花!朝だぞ!起きろー!!」
いつの間にか部屋に入ってきている聖に起こされる沙耶花だった。
「おはよ~ございます~。」
沙耶花は眠たい目を擦りながら上半身を起き上がらせ寝ぼけたように言った。
「ぷはっ、朝の沙耶花って普段の姿じゃ考えられねーな。」
聖はそういって違う一面の沙耶花を見れて嬉しそうにニコニコしなら手櫛で沙耶花の寝癖を整えるのであった。
沙耶花もその手が気持ちよかったのか目を瞑ったままだが嬉しそうにほほ笑むのであった。
「(あれ~、ほんとに気持ちいい~、これ夢なのかな~?でもさっき起こされたような~?」
そう思い沙耶花は重たい眼を開けるのであった。
その瞬間、目の前に聖がいてニコニコしながら沙耶花の髪を梳いていることに一時、思考が追い付かずきょとんとした表情で聖を見つめるのであった。
「!?!?!?えっと、ごきげんよう?」
頭の中ではまだ混乱しているが沙耶花はそう言った。
「女の子は準備に時間がかかるんだろ?だから、早く起こしにきてやったけど、普段じゃ見れない沙耶花が見れて得したぜ。」
聖がそう言ってニコッと笑う姿をみて、沙耶花は寝ぼけた自分を見られて恥ずかしいのか顔を赤らめるのであった。
「は、恥ずかしいですわ………、、、でも、お気遣いありがとうございます。」
沙耶花はそう言って時計を見ると時刻はまだ5時半だったので狼狽えるのであった。
「ず、ずいぶんとお早く起こしてくれたのですね。」
沙耶花が苦笑いでそう言うと聖も時計を見てあははーと苦笑いするのだった。
二度寝するわけにはいかずシャワーを浴び、軽く着替え、朝食を食べに向かった。
「お嬢様!!」
そう言って沙耶花の元へ駆け寄ってくる二人。
「おはよう。あなたたちも随分と早いのね。」
沙耶花がそう言う。
「昨日、部屋で話し合ってせっかくだし楽しまないとなってことになりまして。」
少し照れくさいのか頬をポリポリとかきながら、黒川が言った。
「ふふっ、それはよかった。お二人ともペアルックお似合いですわよ。」
沙耶花がそう言うと二人は恥ずかしそうに顔を赤らめる。
席の方から沙耶花を呼ぶ声がするので早めに話を切り上げ聖のもとへ向かった。
そして自室に戻ると聖が手配したのだろうヘアメイクさん、そしてお手伝いさんがいた。
沙耶花は用意されている洋服を見てまじでか、と驚くのであった。
今日のコーディネートはこのランドの象徴的キャラクターネズミーの恋人ネイミー恰好であった。
上は服の前に大きなロゴのある黒のパーカー、赤地に大きな白の水玉のパニエ、色の靴、ネズミーの耳にスカートと同じ水玉のリボンがついたカチューシャ。
完全なネイミーコーデである。沙耶花は着ることに物凄く躊躇ったが、今は中学生、まだ写真映えするから大丈夫と覚悟を決めその服を着るのであった。
そして髪はふんわりと軽い感じに巻いてもらい、日焼け止めはしっかり塗ってもらった。その上でメイクをしてもらった。
「すごく、可愛らしいですわ。これは聖様もお喜びなられます!」
ヘアメイクさんと使用人さんたちは大満足したのかうんうんと強くうなずいていた。
そして丁度その頃、聖も終わったのかネズミーの耳もしっかりと付けた状態で部屋に入ってきた。聖は沙耶花と同じ黒のパーカーに、赤のハーフパンツ、そして黄色の靴だ。
「沙耶花ー!すげー!可愛い!ほんと可愛い!すげー似合ってる!」
沙耶花を見て聖は大満足なのかべた褒めするので、それに対しあまりにも褒められるので照れてしまう沙耶花であった。
「ありがとうございます……、、聖様もすごく似合っていらっしゃいますわ。」
沙耶花はべた褒めされ少し赤い顔のままそう言った。
「!///おぅ、、、、さんきゅ。」
急に聖も恥ずかしくなったのかそう言って少しうつむき二人ともモジモジするのであった。
「(仲がよろしいことで、、旦那様と奥様に良いご報告ができそうだわ。)」
使用人達は二人の姿を微笑ましそうにそう思いながら見るのであった。
そしてついにネズミ―ランドにやってきた。
「うおー、早く来たのにもう人がこんなにいんだなー。」
人の多さにびっくりする聖。
「私たちが支配人から頂いたファストパスは早い者勝ちらしいですのでみなさん早くいらしているのですわ。」
沙耶花がそう言うとへぇーと聖は貰ったチケットを眺めるのであった。
そしてチラチラと視線がすごく集まっている事に少し沙耶花は自分の恰好がおかしかったのかな?と焦るのであった。
コソコソ「あのカップルちょー可愛い!!」
コソコソ「モデルか何かかな?めっちゃ美男美女すぎ!」
コソコソ「写メ撮りたい。あのコーデ似合ってるし眼福。」
うん、称賛の声ばかりでほっと安心した沙耶花であった。
「沙耶花~、ここに立ってくれ。写真撮ろうぜ。」
そう言って正門入ってすぐの写真映えしそうな場所に沙耶花が立つとなぜだか聖はカメラを構えた。
「いくぞー。」
そう言ってパシャパシャと沙耶花の写真を撮り始める聖。
「???聖様??」
沙耶花は少し混乱するのであった。
コソコソ「あの彼氏すっごい彼女の写真撮ってるw」
沙耶花はそんな声が聞こえ少し恥ずかしくなり慌てて聖と止めた。
「す、スットプ!私だけの写真なんて恥ずかしいです。聖様と一緒に写っている写真がいいですわ。だから一緒に写ってください。」
沙耶花は最初は大きな声で言ったが、だんだん恥ずかしくなってき最後は頬を赤く染めてウルッとした表情になった。
それを聞いて見ていた聖そして周りにいた一般の男女関係なくグハッ!っと心を射抜かれるのであった。
「沙耶花、ほんっと可愛い。もう好き。やっぱ貸し切りにしよう。こんな姿他の奴になんてみせたくねー。」
聖は思わず沙耶花をギューっと抱きしめてそう言うのであった。
その行動にまたも沙耶花は恥ずかしく、離せと念じながら背中をバンバン叩くのであった。
「プハッ!、息がしずらいし恥ずかしいのでやめてください。あと貸し切りは却下です。さ、写真撮って早く行きますよ///。」
沙耶花は照れ隠しに早口でそう言って反対方向を向き、熱くなった顔を手で扇ぎ冷まそうとするのであった。
「じゃあ、撮るよ。」
そう言って、デジカメを片手に持ち二人で撮るのであった。
「あの!、、よかったら、写真撮りましょうか?」
一組のカップルがそう言って近づいてきた。
聖に関してはめんどくせーと言わんばかりにそっぽ向いて無視を決め込んでいるらしい。
「ほんとですか?では、こちらで撮っていただけますか?」
沙耶花はニコッと笑い持っていたスマホを渡した。
「沙耶花、何してんだよっ。!?」
聖は焦ったように沙耶花に抗議した。
「聖様、これが大人な対応ですわ。私たちだけでなく周りにも良い気持ちで楽しんでもらわないと。スマーイルですわ。」
沙耶花がそう言って笑顔で指で聖の口角を上げた。
「お人好し。」
聖はそう言って、二人の写真が増えることに良しとし写真に写るのであった。
「よかったら一緒に撮ってもらっても良いですか!?」
撮ってくれたカップルがそう志願してきた。
「ええ、わたくしたちでよければ?(隠し撮りされるよりマシかな?)」
沙耶花はそう思いながら言った。
聖に関しては最初すっごく嫌な顔をしたが沙耶花の圧のある笑顔を見てしぶしぶOKするのであった。聖も隠し撮りをうっとおしく感じていたので、まあいいかと撮影を許可した。
一時、入口付近で何故かキャラクターより人が集まり一緒に撮ったり、目線こっちへと言われ二人だけの写真を撮ったりなど人だかりができた。
その後、その写真は多くのSNSに乗りネズミーにすごい美男美女がいたと話題になったそうだ。
「そろそろわたくしたち行きますわ。ごきげんよう。」
そう言って、キリのつかない撮影会を沙耶花は切り上げ聖の手を引きその場を足早に去った。
聖は、手をつないだという事に意識をとられ、有頂天になっているのでった。




