たのしい旅行の予感!?
時間はまだ昼、ランチを食べ終え紅茶を飲みながら一息ついていたとき、
「沙耶花!!いくぞっ!」
聖がダイニングへ飛び込んできた。
「早くないですか?」
沙耶花は苦笑いでそう言った。
「いや、ホテルチェックインしてその後作戦会議するからこの時間でいいんだ!ほらっ、紅茶なんか飲んでないでいくぞ!!」
聖がそう言って沙耶花の手を引いて連れ去るのだった。
椿はホテルでの身の回りの世話で着いてくるようお願いし連れ去られた沙耶花を見て慌てて準備していた荷物を黒川の車に乗せ聖たちが乗った車を追いかけるのであった。
「黒川さん!もう少しいそいでください!」
「いや、そんな事言われても」
椿が沙耶花たちに追いつこうと焦っているが黒川は安全運転で行くのだった。
沙{すみません、急な出発になってしまいまして。事故なくゆっくりと運転してください。と黒川に伝えててね。P.S. 椿は黒川を急かしたりしないのよ?
椿のLIMEに沙耶花からのメッセージが届き、全て御見通しなのだと椿は察するのであった。
車もそれほど渋滞もしておらず、15時ほどには到着してしまった。
聖と穂乃果が到着したことにより車から降りるとオーナー他、店員が並んで一礼した。
周りの一般のお客は誰か有名な人が来たのだろうか?と少し野次馬もできていた。
そして、この遊園地・ホテルのオーナーであろう初老の紳士が聖と沙耶花の目の前に立った。
「ようこそ、おいでくださいました。桐ヶ谷様、神宮寺様。本日は当ホテルにご来場くださり誠にありがとうございます。当園で使用できるファストパスになります。何度でもどのアトラクションでもご利用可能です。3日間心行くまでお楽しみください。」
そう言って、お揃いのパスケースを渡した。その中には、通常では手に入らないのであろう、ORコードとキャラクターが印字された金色のチケットが入っていた。
「俺ら普通に並んで入ろうと思ってたんだけど。」
聖がそう言って沙耶花の方を少し見て言った。
「ファストパスでも多少は並んでいただかないといけませんのでそれで十分かと思われます。桐ヶ谷家と神宮寺家は当園の筆頭株主であり、大変お世話になっておりますのでこの位はさせていただかないと・・・」
オーナーが少し慌てたようにそう言った。
「まぁ、時間短縮して乗れるのは有難いからな、ありがたく受け取るよ。」
聖がそう言ってニコッと笑うのを見て、ほっとするオーナーであった。
「わざわざわたくしたちの為に、このような大変貴重な物を用意して頂き誠にありがとう存じます。」
聖に続き沙耶花も感謝を述べ一礼した。
「園内でのご食事場所がお決まりになりましたら、こちらで手配しますのでフロントまでご連絡ください。」
オーナーはそう言って一礼しホテルマンへ指示を出した。各自、聖と沙耶花を部屋を案内しようやく沙耶花は一息つこうとソファーに座るのであった。
コンコンと扉の叩く音が聞こえ沙耶花はドアを開いた。
「沙耶花様、大変お待たせいたしました。荷物お持ちいたしました。」
そう言って椿が荷物を入れるよう黒川に指示を出した。
「椿、黒川も急な出発でごめんなさいね。あなた達の滞在場所はひとつ下の階にとってあるわ。フロントに言って鍵を貰ってね。」
「えっ??」
二人の声が揃った。
「折角、このような場所に来たんですもの、二人にも楽しんでもらいたいわ。恋人同士だしいいでしょ、そのくらい。」
沙耶花がそう言ってニコっと笑った。
「沙耶花様!!??いつからご存じだったんですか!?」
椿が顔を真っ赤にしてそう言った。
「そ、そうですよ!絶対誰にもバレていないはずなんですよ!」
黒川も慌てたようにそう言うのであった。
「え?バレてないと二人とも思っていたの?」
沙耶花がそう言うと二人とも首を縦に振った。
「いつになったら結婚するのかと屋敷中誰もが言ってますわよ。わたくしのお父様、お母様もご存じですわ。ちなみにわたくしは初等部入学したての頃には知っていましたよ。」
沙耶花がそう言うと二人とも開いた口が塞がらないのか口をポカーンと開けたまま固まっているのであった。
「え、隠し通してるつもりだったのに・・・」
意気消沈した様子の椿がそう言ってはぁっとため息をつくのであった。
「ま、気を取り直して。二人とも楽しんでくださいな。はいっ、これカメラ渡しますわ。そうですわねぇ、最低50枚は仲良い写真を撮ること。ペアルックは必須ですわ。それとチケット。あとはお父様より臨時ボーナスですわ。思う存分楽しんでこいってでしたわ。」
沙耶花はニコニコと笑い椿にカメラとチケット、封筒に入ったお金を渡し二人を部屋の外へと追いやった。
沙耶花は前々から黒川と椿にも楽しんでもらおうと計画を立てていたのであった。
「わたくしの世話は必要ありませんわ。いざとなればSPの方もいますし、園内で楽しんでいる姿を見れることを楽しみにしていますわ。」
ドアの外で立ち尽くしている黒川と椿に向け壁越しに沙耶花は言うのであった。
その後、穂乃果の部屋で遊園地での行動の作戦会議が行われた。
「明日、朝7時半に起こすからな、それから朝食食べて、準備した洋服に着替えて9時半には出発!そんでまずは城の前で写真とって・・・」
と聖のマシンガントークの如く予定がズラズラと言われて言った。
「あの、聖様?恐らくそんな時間通りにはいきませんわ。ですので食事場所と時間だけ決めてあとは気の向くまま旅を楽しみましょう。それもひとつの楽しみですわ。」
沙耶花はそう言って、聖が確かにと納得してくれたのでホッと一安心した。
ようやく二日間の軽めの行動予定を立てレストランの予約をフロントに伝えるのであった。
日も暮れお腹が空いてきた二人はレストランに向かいパーク内を見ながら優雅にディナーを楽しむのであった。
そして沙耶花は先程こんな事があったのだと黒川と椿の事を聖に話すのであった。
「え?まだ結婚してなかったのか?てっきりもう結婚しているのかと思った。」
聖もバレてないと思っていた椿らに対して驚くのであった。
そんな二人が楽しく食事している頃あるホテルの一室では・・・
「屋敷全員にバレているとは、、拓真誰かに話したでしょ?」
椿はジト目で黒川を睨む
「いや、バレたら辞めさせられると思ってたからぜってぇ言わねぇって」
黒川は苦笑いで言った。
「「まさか、こんな事になるとわ、、、。」」
二人あわせて少し考え込むのだった。
「どうしよう、写真ノルマ50枚、ペアルック・・・恥ずかしい。」
椿がそう言うのと同時ぐらいにピロリんと椿のLIMEが鳴った。
沙{こんなペアルックならあまり恥ずかしくありませんよ
シンプルネズミ―のTシャツにジーパン、ナンケの靴そしてキャラクターの耳の写真をメッセージに載せた。
沙{そうそう、その載せた洋服みたいな物を屋敷の使用人達が用意してたわ。もうすぐホテルマンが持って来ると思うわ。
二人はそのメッセージを見たと同時になるインターフォンによりまたも絶句するのであった。




