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悪役?そんなものお断りします!  作者: Miiz
第3章 中等部
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ようやくクラスに馴染めたようです。


GWが終わり梅雨の季節が近づく頃



「あ、電子辞書がない、、、、。」


隣りからボソッと呟く声が聞こえて沙耶花は隣りの男子生徒を見た。



そしてゴソゴソと沙耶花は鞄を漁った。


「わたくしのでよければどうぞ。」


沙耶花はニコッと笑い電子辞書を差し出した



「えっ!?神宮寺さん!?あっ、俺は大丈夫っす!あっちげっ。大丈夫です。」



彼は沙耶花に突然話しかけられ、差し出された電子辞書を見て慌てふためいた。

そして自分の言葉遣いが失礼になっているのかと顔を青ざめるのだった。


ちなみに彼は、中学校からの編入でスポーツ入学し中学1年生にしては身長が180近くあり、スポーツマンって感じのガッシリとした体型をしている。


「ふふふ、わたくしはそんな怖い存在じゃありませんわ。」


沙耶花が少し笑ってそう言うと彼の頬が少し赤く染まった。



「俺なんかが借りてもいいのか?」


恐る恐る答える彼に沙耶花は少し笑った。


「もちろんですわ。その代りといっては何ですが、わたくしとお友達になっていただけませんか?」


沙耶花がそう言うと彼はビックリといった表情をした。


「お、俺なんかと友達になっていいのか?」


少し困惑した顔で彼は言った。


「ええ、是非、お友達になってほしいですわ。」


「俺の家はお金持ちとかそんなんじゃないぞ?」


「お友達になるのに家の財産なんて関係あるんですの?」


「俺、中学校からの編入生だしルナじゃねーし、礼儀・作法とかよく知らねーし。」


「お友達になるのにはそのようなもの必要ありませんわ。」


彼の問いにケロっと答える沙耶花に彼は少し飽きれた感じだ。



「神宮寺さんって変わってるな。じゃあ、改めて俺は堤大輔ツツミダイスケ

金持ちの礼儀とかそんなもんよく分かんねぇけど、よろしくな。」



大輔は改めてそう自己紹介をし、にぃっと笑ってみせた。



「神宮寺さんは余所余所し過ぎますわ。沙耶花とお呼びください。改めて神宮寺沙耶花と申します。大輔様、よろしくお願いいたしますわ。」


沙耶花がそう言った。



「いや、流石にそれはな・・・。それよりその言葉遣いどうにかなんねぇの?」


大輔は少したじろいた。


「サヤでも良いですわよ?この話し方でなければいけませんの。申し訳ありませんわ。」


沙耶花はそう言って少し困った笑顔で眉を下げた。


「そう言う訳じゃねぇんだけど・・・。お嬢様ってのも大変なんだな。」


少し苦笑いをしながら大輔は言った。



「では、どちらで呼びますか?沙耶花ですか?それともサヤですか?」


沙耶花がズイっと隣の大輔に近づいて言った。


「うおっ!!神宮司さんっていう選択肢は「ありませんわ。」・・だよな。じゃあ、さやで、、、、。」


沙耶花の勢いが良すぎたのか大輔は少し諦めたようにそう言うのであった。



一方、沙耶花は、やった!初めてゲーム内と関係のない人と友達になれた!と凄く喜んでいるのであった。



クラスで気さくな沙耶花の姿が見られ、少しずつ沙耶花の周りには人が集まりわいわいと賑わうようになっていった。

沙耶花のいる1組はそれほど編入生だとかルナだとか金持ちだとかそういう格差の意識が緩かった。ルナでもトップである沙耶花が格差にとらわれず話しかけたことにより、元より格差意識が緩かったクラスは一気にそういう空気が取り払われるのであった。

そして、沙耶花としてはクラスに溶け込めたことによりルンルン気分であった。





そして午後の授業中(決してサボりではありませんわ、休憩です。)、ルナのラウンジでゆったりと紅茶を啜っている沙耶花に後ろからドサっと覆いかぶさり沙耶花は危うく紅茶を零しそうになった。



「むっくん・・・・。」


沙耶花がそう言うと少し頬を膨らませている宗弘がいたのであった。



「さっちんばっかずるい。あんなクラスに馴染んで友達がいっぱい出来て。僕をおいてけぼりだし。」



そう言って、宗弘は覆いかぶさっている手をもう一度ギューっと強めた。



「あー、ごめんね。次はむっくんも一緒に話そう?このクラスはみんな気軽に話してくれると思うよ。」


沙耶花が眉を下げてそう言うと少し手を緩めてくれた。



「さっちんの一番は僕だよね?」


そう不安そうに宗弘は言った。



「一番が何かはわかんないけどこうやって砕けた話し方出来るのは兄とむっくんぐらいだよ~」


沙耶花がへラッと笑いそう答えると一段とギューっとされ沙耶花はもがくのであった。






そんな一連もあって、



「沙耶花様、たまに授業中いなくなってどこに行かれているのですか?」


同じクラスの女の子、人懐っこい犬系女子の伊吹恵理イブキエリが言った。



「あ、それは俺も実は気になってた。」


そう言って興味深々な様子のTHEクラス委員長、朝井一晴アサイカズハル



「ふふふ、実はルナのラウンジで宗弘様とお話ししていましたの。」


私がそう言うとみんな少しビックリした顔をした。


「え!?あの吉高神様と?」


恵理が驚くように聞いた。



「えぇ、宗弘様も実はお友達欲しくて皆さんと仲良くなり「さやちん!!!あっっ」ふふっっ。」



宗弘は聞き耳を立てていたのだろう思わず立ち上がって沙耶花の話を遮ったが、いつも通りに読んでしまって今は恥ずかしさからか、頬を染めてうつむいたまま座った。



クラスにいたみんなは宗弘が大きな声で喋ったこと、沙耶花を変わった呼び名で呼んだことにポカーンと固まるのであった。


「宗弘様は少し人見知りなだけですわ。慣れたらさっきみたいに気さくに喋ってくださいますわ。」



私がそう言うと固まってはクラスのみんな。1人恐る恐るよいうような形だが宗弘に話しかけ、それに続きポツリポツリと宗弘の周りには人が集まり始めた。



日が経つにつれ宗弘が打ち解けられるような友達も増え、そして宗弘から友達の話を聞くことにより沙耶花は一安心するのであった。


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