触らぬ神に祟りなし
「西沢さん、もしよろしかったら僕と踊ってくれませんか?」
「結構です。」
「篠宮様、ぜひわたくしとも一曲踊ってはいただけませんでしょうか?」
「誘いにのってあげたいのはやまやまだけど今は穂乃果と一緒に聖たちを待っているんだ~」
穂乃果の周りには男、慶の周りには女が沢山群がっていた。
「今思えば、穂乃果は美人ですもの男性に寄られて当然ですわよね。ですが、何故わたくしと一緒の時は皆さん話しかけてこないのでしょう。」
穂乃果らがいる方を遠目で見ながら沙耶花は聖に言った。
「あ~、それはお前たち二人でいたら並の男は近づけない雰囲気だしてるからだと思うぜ。(ついでに俺も近づこうとしている奴は大抵睨んでいるからな~)」
なんて思いながら聖は言った。
「そんな雰囲気だしていますでしょうか?それは気を付けなくては」
沙耶花がそう言うと、そんな事しなくて良いと聖が言うのであった。
「そろそろ、穂乃果様の限界が越えてきているみたいですわね。額に青筋が見えているような気がしてなりませんわ。」
少し苦笑いをしながら沙耶花は聖に言った。
「そうだな~、あのままだとあの男らが可哀想だな。」
聖がそう言って、沙耶花と聖は彼女らを待つ穂乃果と慶の元へと足を進めた。
「穂乃果様、大変お待たせしてしまい申し訳ありませんわ。」
沙耶花が少し大きめな声でそう言うと、男性陣がいっせいにこちらを振り向きザッと道を開けた。
「沙耶花様が来るの遅くてあやうく群がっている虫をどうしようかと考えていたところでしたわ。」
穂乃果がそう言って、群がっていた男性陣を睨みながら言った。
その顔を見るや否群がっていた男性陣は一目散に去っていった。
「お前らもそろそろ散れ。」
それを一連を見ていた慶の取り巻き女性たちも聖のその一言でパラパラと去っていった。
沙耶花が穂乃果の頭をご苦労様でした。と撫でてあげたおかげて、穂乃果の怒りが収まり、ご機嫌になったことは言うまでもないだろう。
その後は、4人でわいわいと戯れながらその場を過ごした。
そしてルナの中で沙耶花があのシンデレラだったことが広まり。
穂乃果に関しては触らぬ神に祟りなしと広まるのであった。
帰りは4人で同じ車に乗り、各家を回るのであった。
「では、沙耶花様、お気をつけて。また学園でお会いいたしましょう。」
そう言って穂乃果は自宅に帰るのであった。
「本日は大変たのしゅうございましたわ。慶様、聖様、ありがとうございました。また学園でお会いいたしましょう。」
玄関先まで見送りにきてくれた二人に沙耶花はそう言って、彼らが車に戻るのを見送って自宅へ帰るのであった。
その後の車内では、
「沙耶花すっげぇ、可愛かったな~。」
聖はそう言ってドレス姿の沙耶花を思い出すのであった。
「そうだね。迎えにいったときは一瞬ドキッとしてしまったよ。」
慶がニコヤカにそう言った。
「慶、お前でも沙耶花はぜってぇ譲らねえ」
聖は少し睨みながらそう言った。
それを見て、すこし楽しそうに慶は笑った。
「ははは、じゃあ僕ももっと頑張らないとな~」
そう笑って慶は言い返すのであった。




