白いバラの花言葉は?
今日は、ルナの歓迎パーティーだ。
沙耶花は今年は流行のペラム型ドレス。レッドカラーで薔薇の模様が全面入っている。パンプスは黒だ。母親の血を濃く受け継いでいるからか、中学生にして身長は160cmを越えモデル並みの体型をしている。
兄は、生徒会に所属しており、副会長の人をエスコートしなければいけないらしく、沙耶花の姿を見て後ろ髪引かれながら、エスコートできないのが残念なのか後ろ髪引かれながら車に乗った。
「絶対、知らない男には見向きもしないでよ。出来ればパーティーは欠席して!」
車の窓を開けて兄は言い放った言葉に沙耶花は少し飽きれながら言葉は返さずニッコリと笑って手を振った。
最近、母は、慣れや諦めもついたのだろう、このような髪型、ドレスでもショックを受けなくなった。むしろ率先してコーディネートを考えているくらいだ。
毎年、このパーティーに行く前は撮影会が家で開催されるようになった。
初めて、兄ではなく別の人でのエスコートなので少しドキドキしていたら、リビングのドアが開き一人入ってきた。
「失礼致します。御無沙汰しております、篠宮慶です。本日は沙耶花御令嬢のエスコートを僭越ながらさせていただきます。」
いつもとは違うキリッとした態度で言い、父と母に頭を下げた。
「篠宮財閥の息子さんか、今日は沙耶花の事、よろしくたのむね。」
父がそう言って慶の肩をポンポンと叩いた。
「お久しぶりね、またいつでも遊びにいらしてね。沙耶花は、あなたのような素敵な方にエスコートされるのですね、羨ましいですわ。」
ニコニコと笑いながら母は答えた。
そして二人は沙耶花を慶の前に立たせた。
「いえいえ、沙耶花さんみたいな美しい女性をエスコート出来るなんで僕は幸せ者です。沙耶花さん、本日は宜しくお願いします。」
慶はそう言って、慶の胸元にあるブートニアと同じ花の白い薔薇がメインのリストレットを沙耶花の手首につけた。
それを見て、母は、まぁ!!と顔を綻ばせた。
「慶様は白いバラの花言葉をお知りですの?」
母は、ニコやかにそう言った。
「innocence and purity(純潔と純粋)、I am worthy of you(私はあなたにふさわしい)reverence(深い尊敬)です。赤色だとまだ渡すのは早いかなと思いまして。」
最後は少し照れるように慶は答えた。
「まだ、渡さないぞ。」
ちょっと真顔で答える父に母は父の背中をバシっと叩くのであった。
「では、お父様、お母様。いってまいりますわ。」
私はそう言って、車に乗った。
見送った後、、、、
「はやいものね~、あと3年もしたら沙耶花も結婚できますものね。あの子はどのような殿方と結婚するのかしら。」
母は車を見送りながらまだ見ぬ娘の結婚相手を想像しながらそう言った。
「3年!!??早い、早すぎる!大学卒業するまでは婚約は認めても結婚は認めん!」
結婚というものが娘に早々と近づいているが受け止められないのかそういった。
「何言ってるのですか。わたくしたち結婚したのは大学在学中じゃなかったですか。」
飽きれながら母は言った。
「それは、それ。これは、これだ。」
父はそう言って、室内へ戻っていった。
「沙耶花の結婚は前途多難そうだわ。」
母のあきれたその声は誰にも聞こえず消え入った。
その頃、車に乗った二人は
「はぁーーーー!ほんっと緊張した。聖のくやしがる姿見るのが楽しかったけどいざ沙耶花の両親に会うとこれとないぐらい緊張した。」
緊張の糸が解けたのか、深いため息を吐きながら座席にもたれかかった。
「お疲れ様でした。聖様の悔しそうな顔もですが、穂乃果の憎い人を見るような顔で慶を見ていたのも印象深かったですわ。」
私がそう言うとハハハと慶は軽く笑った。