シンデレラのような君
兄に引っ張られて歩かされ人気が少ない場所まで来た所でようやく兄は足を止めた。
ハンカチを取り出し頬をゴシゴシと拭き始めた。
「お、お兄様、い、いたい「少し黙ってて・・・」は、い。」
そう言って両方の頬をゴシゴシと拭かれた頬はヒリヒリして痛かった。
兄は怒ったようなでも少し哀しそうな顔をして私を見つめた。
「あいつらは誰なの?何であんな事になったの?どうしてキスされたのに笑って許したの?・・・・・・」
私の両肩を掴み目を合わせて兄は思っている事を全部吐き出した。
「あの方たちは幼稚部の時からずっと仲が良いお友達ですわ。・・・・・・・・・」
私は答えれることは全て話した。
兄は少し怒りが収まったのか私の両肩を掴んでいた手が少し緩くなった。
「そっか・・・・・・。でも頬でも簡単にキスをされちゃダメだし嫌だ。」
兄が少し不安そうに私に言った。
「はい、不意打ちとはいえ少し気が緩んでいたのかもしれませんわ。気を付けます。」
私がそう言うと兄は頭を撫でてくれた。
「あいつらが沙耶花にキスをしたのは許せないけど沙耶花が許すなら嫌だけど僕も許さないとな。まあ、気を取り直して沙耶花、一番最初のダンスの相手してくれるかい?」
兄はそう言って私に手を差し伸べた。
「お兄様、わたくしのお友達をお許し頂いてありがとうぞんじますわ。ふふっ、わたくしでよろしければお願いいたしますわ。」
そう言って差し伸べられた手を掴んだ。
私たちはダンスホールへ行き一緒に踊った。
「沙耶花、ダンス上達したんじゃないかな?」
「そんな事ないですわ。お兄様のリードがお上手だからですわ。」
踊っている時間はすごく短く感じた。
その後、真人様!真人様!と次のダンス相手をしてもらおうと女の子が殺到した。
私はそっとその輪から抜け出した。
「あの、よろしければ僕とも踊っていただけませんか?」
その声を筆頭に僕も!僕も!と私へのダンスの誘いか殺到した。
「お誘いは感謝いたしますわ。ですが、わたくしは忙しいので失礼いたします。ごきげんよう」
私はそう言って輪の中から抜け出し穂乃果、聖、慶に匿ってもらいながらパーティー会場をあとにした。
パーティー以降ルナ内ではあの女の子は誰だったのかと探す男の子たちが増えた。だがしかし、誰も縦巻きロールの私だと知りもしないのだろうと思いながら温かい紅茶を飲みながらほっと一息ついた。
いつしかその女の子の事はシンデレラと呼ばれるようになった。
私は今後パーティーに少し面倒くささを感じたのであった。




