とんだマセガキだらけ
私は兄に連れられてパーティー会場へ来た。
煌びやかなシャンデリアに生の演奏。ブッフェスタイルの立食パーティーだ。
お城の大ホールのような場所だった。
「素敵ですわね、お兄様。」
私はわぁ!っと素敵な室内に目を輝かせた。
「ふふっ、そうだね。でも紗耶花の方が素敵だよ。」
まだ小学生だとは思えないような発言を兄はケロッと言ってのけた。私は思わず目を丸くした。
「恥ずかしいですわ、お兄様。」
私が恥ずかしがっていると兄の同級生と思われる女の子たちが私たちの元へ来た。私を見るや否やキッ!っと鋭い目つきで睨まれた。
「ごきげんよう、真人様。タキシード姿もすごく似合っていますわ。」
「真人様!あちらで美味しいケーキがありましたの。ぜひご一緒に行きませんか?」
真人様!、真人様と兄は女の子たちに囲まれていった。私はただただ茫然と女の子はすごいなーっと眺めているだけだった。兄は女の子に腕を引かれて連れていかれそうになっていて私とバチッと目が合ったので手を振っていってらっしゃい。と口パクで伝えた。物凄いジト目で見られたが気にせずニッコリと笑ってみせた。
クルッと会場を見渡すと隅にポツンと俯いて立っている人物を見つけた。その子は真黒な艶のある髪をセットアップして、赤ので透け感のあるボリューミーなギャザースカートに真っ白なフラワーモチーフが映えて可愛らしいAラインドレスを来ていた。
「ごきげんよう。あちらに美味しいケーキがあるそうで、ご一緒して頂けなくって?」
私はその子にそう声をかけた。
「ごきげんよう!さ、や、、、か、様……?」
私の声を聞き思わず顔を上げたが私の姿を見て驚いていた。それは仕方がない。いつもの立て巻きロールがないのだから。
「ふふふっ、驚きましたか?」
私はしてやったりと笑ってみせるとうわーっと目を輝かせて私の周りをぐるぐるとまわった。
「紗耶花様!やはり青がすごく似合っていらっしゃいますわ!またいつもと違うヘアースタイルで見違えましたわ。」
「ありがとう、穂乃果様。穂乃果様も赤がすごくお似合いでお花が可愛らしいドレスで穂乃果様にすごく似合ってますわ」
キャハハ、ウフフと話し込んでいると沙耶花・・・?と私を呼ぶ声が聞こえたので振り返ってみた。
するとそこには驚いた顔の聖と慶がいた。
「うわ〜!髪型変えるだけでこんなにイメージ変わるんだね〜。うん、沙耶花も穂乃果も可愛いよー!」
慶は一瞬驚いたがすぐニコニコと笑顔に戻し言った。
その頃、聖は口をパクパクと私に指をさしながらまだ驚いていた。
「聖様、慶様、ごきげんよう。お2人もタキシードすごくお似合いですわ。」
私がそう言うとありがとっと慶から返事が返ってきた。
「本当に沙耶花だよな・・・・・・?」
聖は疑心暗鬼のなか言った。
「はい、わたくしは沙耶花ですわ。この声はお聞き覚えなくって?」
私がそう応えると歓喜余ってかギューッと抱きしめてきた。
「ほんとーに沙耶花の匂いだー。何で先に穂乃果の所に行ったんだよ!俺ら女にいっぱい囲まれて大変だったんだからな!」
そう言って抱きしめている力をギューッと強めた。
「く、くるしいですわ・・・。穂乃果様はお一人でいらしたし聖様たちに出来ている人集りにわたくしだけで入って行く勇気はありませんわ。」
私がそう言うと抱きしめていた手を緩めムーっとした顔で私を見つめた。
「沙耶花は俺のフィアンセなんだ。俺の側にいないとダメなんだよ」
聖がそう言ったのを聞いて私は幼稚部の時にフィアンセという言葉を訂正するの忘れてたと今思い出した。
「あの、聖様?大変申し訳ありませんが「沙耶花様があんたのフィアンセになんか絶対に有り得ませんわ!」・・・・・・。」
私が言うのに被せて穂乃果が言った。
「うるさいぞ、穂乃果!本当はどうなんだよ、沙耶花。」
聖は少し眉毛を下げて私に聞いてきた。
「えーっと、それはわたくしたちの親が勝手に言っているだけでまだわたくしたちは婚約しておりませんわ。誰かをお慕いする事はわたくしたちの自由ですから聖様も違う誰かをお慕いするのは自由ですのよ。」
私は最後、軽く高等部からやってくる乙ゲー主人公を想像しながら言った。
聖は少しうーん?と考えて結論に達したのか私にこう言った。
「従兄弟の兄さんみたいに婚約パーティーしてないもんな!でも大丈夫!おれ沙耶花のこと好きだし。もう少し大きくなったら親にお願いして本当に沙耶花をフィアンセにするからそれまで待っててね。」
聖はニコッと笑い私のほっぺにチュッとキスをした。私は思わぬ不意打ちで数秒間固まった。
「きゃー!!チビ助がわたくしの沙耶花様にキスを・・・・・・!!何てことをしてくれたんですの!?」
穂乃果は少し狂乱気味に聖に言った。
「ん?沙耶花は俺のものっていう予約ー!」
ご機嫌なのかニコニコ笑って聖が言って穂乃果から逃げる。
ムキーっと穂乃果は怒って聖を追いかけた。
2人で追いかけっこをしているのを見ていた慶は私の元へやって来た。
「あはは、面白い事になったね。」
慶は私の元へ来てそう言った。
「面白いと思っていらっしゃるのは慶様だけと思いますわ。」
少しジト目で慶を見て言った。
「もっと面白くしたくない?僕もフィアンセ候補に入れてよ。いいでしょ?」
慶はそう言って聖がキスした反対のほっぺにチュッとキスをした。
それを見た穂乃果と聖があーー!!っと私の元へ走ってきた。
「慶!何してんだよ!?」
「最低!2人とも汚らわしい!!」
聖は慶がキスした方の頬を穂乃果は聖がキスした方の頬をゴシゴシと拭きにきた。
私の顔が面白いのだろう慶はお腹を抱えて笑っていたのでキッ!と睨んだが効果はなかったみたい。
そんな中、後ろから声が聞こえた
「うちの大事な妹に何て事してくれたんだい?」
私たちが振り返るとニコニコと笑っているが後ろに般若が見える気がした。
「お、お兄様・・・?」
私がそう言うと私の手を掴んで引っ張り3人から離れた場所へ連れて行かれた。