ライバルになった2人
次の日、幼稚部のクラスへ入ると予想していたことがおこった。
「あ、沙耶花ーー!」
私を見つけるまで冷めた態度をしていた聖が私を見つけるやいなや私の元へ駆けつけてきた。きっちり秘密を守ってもらったので無下には出来ず私は
「ごきげんよう、聖様。」
と話しかけた。無口だった聖が私へとニコニコと話し掛けているのを見てクラス中の注目の的となった。
「沙耶花様、ごきげんよう。この方とお友達になられたのですか?」
穂乃果が私の元へ来て言った。
「ごきげんよう、穂乃果様。聖様とは昨日お友達になりましたの。」
私がそう言うと穂乃果は品定めするかのごとく聖を見ていた。
「な、なんだよ、お前。」
聖が少したじろいたが負けじと踏ん張っていた。
「ふーん、わたくしは沙耶花様の大親友の西沢穂乃果と申します。仲良くしてあげてもよろしくってよ。」
ふふんっ!と大親友を強調してドヤ顔で聖に自己紹介をしている穂乃果を見て少し微笑ましくみえた。
「お、おれなんか紗耶花のフィアンセなんだぞ!母様が昨日そう言ってたんだ!」
こちらもふふんっ!と威張って聖がとんでもないことを口にした。
「えっ!?紗耶花様、それは事実なんですの!?」
穂乃果はそう言って私の肩を掴んでグラグラと揺らした。
「ほ、ほのかさ、ま。揺らさないでくださいませ~!!」
私は容赦なく上下に揺らされて目が回ってしまった。
「も、申し訳ありません!紗耶花様、大丈夫ですか!?」
はっと気付いてくれて揺らすのをやめてくれた。私はその場にパタッと座り込んだ
「大丈夫か?」
横から聖が心配そうにのぞき込んできた。
「ええ、大丈夫ですわ。すこし目が回っただけですわ。穂乃果様、お気になさらないでね。」
私がそう言うと穂乃果はしゅんとした。
「そうだぞ、お前みたいな手加減しらない女が紗耶花の親友なわけないだろ。」
べーっと舌を出して聖が穂乃果を挑発した。
やはりみんな子供だな案の定穂乃果はなんですってー!?に始まり2人は言い合いに発展した。
それをそのままぼーっと見ていると横からすっと手が伸びてきた。
「だいじょうぶー?手をつかんで。」
そう言って慶が手を差し伸べてくれた。
「ありがとうぞんじます。」
そう言って慶の手を取り立ち上がった。
「なんかこれから色々と話す機会が増える気がするから僕とも友達になってくれる?」
ニコッとわたって私に言った。
「ええ、そうですわね。わたくし神宮寺紗耶花ですわ。」
「僕は、篠宮慶。よろしくね紗耶花ちゃん。」
私と慶はぎゃーぎゃー言っている穂乃果と聖の横でクスクスと笑いながら穏やかなお喋りした。