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日本刀とおっぱい。

 一匹の猫が眠りについた。

 私はただそれを俯瞰して眺めてるに過ぎなかった。


「………そっか。死んだのか」


 言ってしまえば一言で済む話だ。

 生きている以上必ず一度は体験するものだ。


「思えば化物呼ばわりされたままだったな………」


 私の人生(?)は何だったのだろうか?………きっと難だったのかも知れない。

 結構ハードモード?

 いやいやいや、人生を楽観するほど楽しんでもいないし達観するほど生きていない。

 ただ私は人として死んだのでは無い事実だけが突き付けられた。片道切符である。


 異なことに目の前の猫にだけ変化があった。

 死んだ筈の猫。

 まだ魂の尻尾は僅かに繋がったままだけど……猫の両目が開眼するではないか!?


「………開くのか?」


 私の脳は誤動作を起こす………と考えなければおかしな現象だった。

 視界は白くボヤけていてすぐ近くは見えるのだけど、今まで赤く見えていた物は黄緑っぽく見えている。

 誰かの視線は感じ取れた。


「気付かれましたか………猫殿。姉上、やよい殿猫殿が目覚めされましたぞ!」


 ………日本刀?……おっぱい!


 私が壊れたわけでは無い!日本刀とおっぱいが同じ場所に交互に出現してくるのだ。

 どうやら私はおっぱいの下で寝かされているようだ。ある意味日本刀の下に……コワッ!


「貴女がどんな立場かは知らないけど、私達の説明は不用だよね?」

「………それって、日本刀と関係あること?」


 返答は無かった。この場合の沈黙は肯定であると言ってるのと同じなのだろう。


「某は、村雨。先程の軽口なのが姉の ………」

「ヨロー♪村正ちゃんだよーん♪♪」

「………姉上はもう少し慎みをもって下さい!最後にこの部屋の主で某の所有者のやよい様であります」


 四つのおっぱいに隠れた先から『よろしくです』と声だけが聞こえた。


「………スミマセンが状況についていかれないのですが……」

「猫殿は、刃隠神社の外門で気を失っていたのを失礼ながらも保護させて頂いたのです。ここまで宜しいでしょうか?」


 やはり夢では無かったらしい。私は刃隠神社に向かい力尽きたのだ。


「………ご迷惑御掛けしました」


 私は身体を起こそうとするが、指一本動かす事も出来なかった。


「猫殿に進言致しますが、もうアノ神社には向かわないのが宜しいかと……」

「しかし、私は調べなくてはいけないんです!何故意地悪を言うのですか?」

「妹は、意地悪で言ってないよん。今の貴女の命が猫殿の存在の力でギリギリ繋がった状態じゃんかぁ~だから頑張らないと死んじゃうじゃん!」

「………存在の力?……私が死ぬ?」

「左様です。存在の力はそもそも現世で自己の存在を他者に認識してもらう力なのです」

「だから、他者から認識されないって事は生きているけど死んでいる状態じゃん!差詰リアルシュレディンガーの猫じゃん♪」

「姉上!………しかし、口は兎も角姉上の話ももっともであります。……猫殿は貴女には消えて欲しくは無いと仰ってます。それに……貴女は妖しでは無い恩人であるとも」

「………恩人?」


 サッパリ解んない!


「貴女が生きてくれないと………猫殿も………」



『死にます』


 この一言が胸に刺さった。




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