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アドバイスお願いします。
「カルナちゃん!こっちお願いできるかい?。」
「そっち終わったらこっちもお願いできるかしら?カルナちゃん。」
またこうだ。治癒術師なんかなるんじゃなかった。
「面倒くさい。そんなの医者に頼めよ。こういう時のための医者だろ。」
そもそも子ども同士がぶつかった位なら医者も治癒術師も必要無いと思う。
「だって子どもが怪我してるのよ!お医者さんは隣街に行かなきゃ居ないのよ!あなたは治癒術が使えるんだから早く直してよ!」
またこうだ。治癒術師なんだから。治癒術が使えるんだから。ぶつかったくらいで大慌てしなくてもいいと思うのに、親っていうのは子どもの事になると途端に周囲が見えなくなる。私の親とは大違いだ。
「五月蝿いなぁ!他の奴にでも頼めよ‼︎」
子どもの泣き声を聞いてると落ち着いて居られなくなる。泣いてる子を慰めたくなるんじゃなく、蹴りたくなってしまう。きっと私は子どもが嫌いなんだろう。それはいつになっても変わらないと思う。きっとその理由は小さい頃のトラウマだろう。だから子どもからは離れるのが一番だ。後ろで講義の声が聞こえるが気にしない。時期に離れて聞こえなくなる。
歩きだした私は目的であった隣町の八百屋まで歩く。隣街はとても大きく、有名な魔法学校とかもあるらしい。城下町なんだから当たり前だろうと言えば当たり前だ。その分事故が多いが周辺の町村と比べたら断然治安が良く、店も多いので欲しいものはすぐ手に入るが家や部屋を買うとなると莫大な資金がいる。まあ、借りてもかなりの費用がかかるからだいたいの人は周辺の町に家を買う。そっちの方が断然安い。お洒落な家が欲しいなら城下町の方が良いかもしれないが私は住めればいいし見た目だけ綺麗なだけじゃなんも得しないからどうでもいい。
この街は周りの町に比べてとても清潔だし喧嘩も少ないから散歩にはちょうど良いと思う。まあ騒がしいがそういうのをみてるのも楽しい。きっとこの街の人々は退屈なんてしたことがないんだろう。一日の三分の二を昼寝と読書に費やしている私にとっては羨ましいことだ。おっと、ぼ〜といろんな事を考えてたら八百屋の前についていた。
「おーい、おっちゃーん。八百屋のおっちゃーん。おーい、居ねぇのか?」
いくら呼びかけても返事が無い。留守のようだがこの時間に八百屋のおっちゃんが居ないだなんて珍しい。もうすぐ夕飯を作り始めてもいい時間だから一番繁盛する時間だというのに。しかも商品が表に出ているということは店じまいもしないで出かけたということだ。いくら治安がいいといったって不用心にもほどがある。しょうがない。夕飯が遅くなるが少しぶらぶらしてからまた来よう。あいつらには悪いがいつも買い出しに行ってやってるんだからいいだろう。
そういや少し前にこんな噂があった。魔法学校に知識ばっかり凄いが実技は全然ダメだという魔法使いの生徒が居るという噂だ。私の記憶が正しければそのダメ魔法使いも順調に進学していれば今頃卒業生なはずだ。まあおそらく留年しているだろうが。となると私より一つ年下ということだ。まあ治癒部門の私と魔道士部門の生徒は接点が全校集会と寮と共通設備ぐらいだったからみてても覚えてないんだろう。折角だから学園に少し顔だしてやろうかな。あれ、なんだあの水色のもふもふは。ありゃ頭だ。格好からして何か悩んでる魔法使いだな。学園の前にいるってことは生徒か卒業生だろう。ちょっと声かけてみるか。
「おい、何落ち込んでるんだよ。」
「…さい。」
「あ?もうちょっと大きい声で…。」
「だずけてぐだざぁい〜。」
…どうやら声かけたらいけなかったみたいだ。
本当ここは何処なんだろう。街に出てみたけど服装が私とは全然違う。やけに長いドレスみたいなワンピースを着てるし男の人は剣とか持ってる。んで持ってあれなんなのよ。とんがり帽子?あの人の手に持ってるのって魔法の杖だよね。なに?コスプレ?映画の撮影現場にでも来ちゃったのかな。
メモ
まるで映画の撮影現場。