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勇者 帰りの準備を手伝う

「じゃあ、パパ、ママまた行ってくるね」

「おう、行って来い」

「いい、気に入らない人がいたらちゃんと倒すのですよ」

「はーい、そうするね」

 クルリが両親の恐ろしい教えを守らないように注意しようと心に誓うサッシーであった。


「じゃあマオサマ学校で待ってるね」

 クルリは魔王の足元で転がるマオの方に大きく手を振っているが、その表情にしばらくの別れを悲しむ様子はない。


 そして振り返ったその時、下ろそうとした手がいつも持っているポシェットの蓋に当たり足音に中身をこぼしてしまった。

 その中にはお菓子や可愛い文具、それに白くて柔らかく丸い物・・・これはいつのまにかクルリのオモチャになっていたフワフワだ。


「こんな物まで持て来てたの」

 呆れたようにサッシーは手のひらでフワフワを転がしながら言っている。

「うん、だって『帰らないかも』ってマオサマ言ってたよ」

「マオったらそんな事言ってたの、まあこれが終ったら新年度まで授業はないからどこかへ遊びにでも行こうと思ってたのかしらね」

「どうかな・・・う~んわかんない」

「遊びに行こうと思っていたとしても、残念だけどあの状態では新学期開始までは病院送りは決定でしょうね」

 サッシーとクルリは床に散らかった荷物を拾い集めながら好き勝手言っておるようだが、この距離では魔王のところまではその声は聞こえてはないようだ。


「もう残って無いわね、でもあれだけの物がよくそんな小さなのに入るわね」

 サッシーは辺りを見回し、床に拾い忘れているものはないか確認し、クルリの持っていたポシェトを不思議そうに眺めている。


「うん、これもマオサマにいっぱい入るよって貰ったんだよ」

「そう、便利な物を持ってるのね、ねえマオって何者?すごく強かったし、そんな変な物まで持ってるのよね」

「マオサマはマオサマだよ」


「やっぱり分からないわ、怪我から復活したらちゃんと聞いておかないとね」

「ねえサッシーお姉ちゃん、フワちゃんは」

「えっ、さっきまでここで跳ねてたけど」

 もちろんフワちゃんとはフワフワの事である、ポシェットから逃げ出した後、サッシー周りで跳ねまわっていたのは事実なんだけど、今はどこにもいないわね・・・。


「おかしいわね」

 サッシーは辺りを探す・・・。

「フワちゃん出ておいで~」

 クルリも叫んでいる・・・。


「「あっ」」

 二人同時に叫びフワフワを発見し、その場所に向かい一斉に走り出した。


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