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魔王 魔王の攻撃に絶望する

 確かな手ごたえとともに辺りにはおそらくニセ魔王の着ていたであろう鎧の破片が散らばっている。

 どうだこれで息もできないだろう、致命傷とはいかなくてもしばらくは動けんだろう、その間に波状攻撃でもかけてやろう。

 しかし、そのわずかな希望を打ち砕くような声が聞こえてしまった。


「小娘、許されぬ恋と言うのも良いではないか」

 ウソだ、ワシのあの攻撃を蚊が刺したほどにも感じていないのか、ニセ魔王は何事も無かったかのようにまだサッシーをナンパしている。

 もちろんその言葉の圧力にサッシーは戦意喪失間近のようで構えていた剣先はすでに下を向いている。


「小僧、先ほどからうるさいぞ、今最後の一押しをしておる所だ、しばらく黙っておけ」

 ワシの攻撃は効いておらんのか、いやそんな事はないはずだ、やせ我慢をしておるのだろ、その後も攻撃を繰り返すが本当に効いてないのか完全にワシを無視してくれる。


 魔王を名乗るだけあってどうやら筋肉は鍛えてあるようだな、肉弾戦ではダメージを与える事は不可能か・・となると後は魔術、しかも強力な奴でないとどうせダメージなど与える事は出来ないだろう。

「サッシーよそんな戯言聞く必要はないぞ、こちらへ来い」

 ニセ魔王の言葉攻撃、いやおそらく魅了チャームの魔術でも同時進行、もしくは体から無意識のうちに出していたのだろう。

 その証拠にサッシーの目は虚ろで、しかも大切な『魔王の剣』はすでに手から滑り落ち無残にも床の上に転がっている。


 ワシの叫びに少し正気に戻ったか、慌てて剣を拾い上げるとワシの方へ走り寄って来た。

「ごめん、私何をしていたのかしら」

 運が良かったのか、ニセ魔王のチャームはそんなに強く掛かって無かったのか、すでに完全に夢から覚めサッシーは絶好調のようだ。


「小僧余計な事をしてくれたな、覚悟は出来ておるのだろうな」

 ニセ魔王は言い終わるよりも早く、ワシの背後に回り込み首筋を掴んだかと思うとまた、いや先ほどよりも強くワシの体を放り投げ、壁ぶち当たると思った瞬時に、瞬間移動してきたのかニセ魔王がその場に現れ、硬い岩でできた床に激しくワシを叩きつけた。


 今のは効いた、この痛みはおそらくアバラの数本は折れたか、しかしそれでニセ魔王は許すわけなくもう一度ワシの首根っこを掴み、持ち上げるとそのまま手を離し、今度はボールを蹴る様にワシの体を壁の方へ蹴りつけた。


 何なんだこの半端無い強さは、まるで全盛期のワシの様ではないか、腕も足も折れたようで文字通り手も足も出ん、しかしこの状態でもナンパを遮られたのがよっぽど癪に触っているのか、許してくれそうにない。


 また首根っこを掴まれ、ワシの体は成す術もなく持ち上げられ、ニセ魔王はワシの耳元で何か呟いたかと思うと口元に笑みを浮かべ、そのまま躊躇なく壁にぶち投げるとワシの体は固い壁を突き破り、また別の部屋へと転がり込んだ、

 そこはものすごい土煙とホコリが舞い、さらにダメージのせいもあるのか、視界は完全に奪われ何も見えない。

「待ってた・・・・・」

「やっと来た・・・・・」

 誰かの声が耳元で聞こえたかと思うと、ワシの意識も視界同様闇の中へと落ちて行った・・・。


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