魔王 魔王を挑発する
「魔王よワシの演技はどうであった、ワシが言った最後のセリフに間違いはなかったであろうな」
「小僧、お主もなかなかの演技であったぞ、さすがにワシの貫録はなかったがな、わっははははは」
「誉めてもらえる事はは喜んで受けよう、それで質問の答えを聞きたい、セリフに間違いはなかったのだな」
「良くできておったぞ、今年度の舞台はいつもに増して真に迫っておった、そうだの・・まるで見て来たかのようにが正解だの」
「ではセリフに間違いはいのだな」
「小僧、しつこいぞワシが誉めてやっておるのだ、間違いなどないわ」
「それを聞いて安心したぞ、魔王よワシと勝負せい」
「わっはははは、何か聞き間違いでもしたかの、ワシと戦いなどと命知らずな事を言っておらんかったかの」
「もう一度言おう、ワシと勝負せい」
ワシが声を大にして言った瞬間、今までざわついていたこの謁見間全体が静まり返り、そこにいる全員の目はワシとニセ魔王二人に注目している。
「ちょっと、マオ何言っているの、今謝ればまだきつく叱られて奉仕活動+停学で済むわよ、早く謝りなさい」
隣からサッシーは余計な事を言ってくる、まさかここで謝って終わりにしようとは思っとらんわ、どちらが本物か証明してやろうと言うのだ、相手はいくら強いと言っても所詮は偽物、ワシに敵うわけがないわ。
『でも力は封印されてるの』
そんな声がどこともなく聞こえてきたような気もするが、それは聞かなかったことにしておこう。
ニセ魔王は自分が羽織っていた豪華なマントを脱ぎ捨て、戦闘態勢へのギアが入ったようだ。
もうこうなると土下座して謝ってもヤツの本気の一発でも食らわん限り許してはもらえないであろう、もちろんワシは謝る気など最初から持ち合わせてはおらんがな。
「ワシと戦おうと言うのだな、良かろう特別サービスだ、最近は本気で戦おうと言う勇者がおらんかったので退屈しておった所だ、いつでも来るが良い」
ニセ魔王は大きく手を広げどこからでも掛かって来るが良い、そんな態勢である、完全に油断している今が最大のチャンス。
「良い心掛けだ、ワシの本気を見せてやろう」
そう叫ぶとワシは一直線に走りだし拳を握りしめた。
もちろん狙うのはニセ魔王の心臓、力を拳に籠めると一気に放出するように強力な一撃をぶち込む。