魔王 大団円を迎える
その後の演技は予定通り進み、いよいよ問題の学園完成の魔王挨拶へと向かって行った。
「マオ、最後の見せ場よ開校の挨拶をお願いね」
そうサッシーに促され、ワシにしてみればある意味最難関となる開校当日の様子を再演した舞台上へと上って行くのであった。
「良く聞け小童ども、ワシがこの世界の覇者魔王であるぞ、
良いかよくこの顔を覚えておくのだ、
これがお主達が倒さねばならぬ者の顔だ、
今のお主達の力ではこのワシにダメージを与えるどころか、かすり傷一つ付ける事は叶わんであろう、 もし希望者がおれば今すぐにでもこの場で戦ってやっても良いぞ・・・。
手を上げる猛者はおらんか」
見回すがそんな度胸のある奴はおらんようだな、話を続けよう。
「そのような消極的な事でどうする、我先にと殺到せぬか、ワシはさみしいぞ」
ワシは少し項垂れたような態度を示し、次のセリフは呟くように。
「仕方ないかの、ワシがそこにおる最後の勇者を倒してしまったからの」
そう言って壁沿いに立っている教師一団を見回す、それにつられて生徒一団の目もそちらを見るが、もちろん教師の一団は勇者一行に加え、ワシが世界制覇をした時に強敵だと思って集めた奴らだ、どうだ最強の布陣であろう。
「良いかこの学園で学び、鍛え、友を作り、最高の冒険者となれ、勇者になれ、
そしてお前たちの中からもう一度この顔を見る者が現れる事を楽しみにしておるぞ、
いつ何時でも良いワシは逃げも隠れもせん、待っておるからな。
以上」
そう言い残し壇上を勢いよく去り、舞台裏へと回った。
よし遣り切ったぞ、これで文句はないな、それにしても面白くない事を言いおるわ、ワシが考えたのであればもっと面白い事を言ってやったのに、それにしてもこのような文章を考えたのは誰だ、ワシの代わりに魔王の席に座っている奴か、一体アヤツは一体何者だ。
覗き揉んでみるが残念ながらここからでは一番奥の玉座に座っている魔王の顔は確認することが出来ない、ただあの椅子に座る態度、動作等ワシそっくりではないか。
ワシの行動とは別に舞台以上では演技は続き、他の教師陣(戦士や魔法使いなど)の話が続き最後のサッシーいや勇者の最後の言葉のシーンへとなった、
「我と思わん者は学園へ来い、この学園は志ある者はいかなる者も拒まん」
そう言って勇者は手を大きく上げそのまま舞台は幕を閉じた。




