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魔王 第1幕『北限の城制圧』を演じる 1

「お待たせいたしました 第86回魔王立勇者養成学園 による学園誕生の演劇を開始します」

 サッシーのその合図とともに幕が上がりはじめ、いよいよ演劇本番がスタートした。


 と、その前に本番前に一つだけ言っておこう学園創立と演劇会回数があっておらぬとか言うなよ。

 当たり前ではないか、この台本の原作が完成したのが約100年前、それから数年後学園内で細々と演劇が開始、その噂を聞いたそこにおるワシではない魔王がこの場所での公演を年1回の楽しみにしているらしいぞ。

 残念だがワシが知っておったのでなく、すべてサッシーから聞いたことだ。

 では幕も完全に上がり切ったところで演技開始と以降ではないか。



「北限の王シュヒールよ、お前に捕らえられておったドラゴンはワシの手により解放させてもらったぞ、どうした、これでこの城を守る最後の砦もなくなったようだな」

 この時助けたのがピルカだ、無理やり冷気を使わせることによって城に鉄壁の氷の壁を作り、外部からの一切の侵入を防いでいたのだ。

 その力の無くなったこの城は今では普通の城、もっと言ってしまうとその力に頼りすぎていたため、ものすごく簡単に落とせる城になったしまったのだ。


「わかった、お前の欲しいのは何だ金か、領地か、それとも民の命か、なんでもくれてやる、だから我が命だけは助けてくれ」

「見苦しい、しかも民の命を差し出すだと、一体自分は何様だと思っておるのだ、安心せいお前の領地の民など当にお前を見捨てておるわ」


 その恫喝にシュヒールは呆然としておる、まさか自分が民に慕われておるとでも思っておったのか、この国の悪政はあまりにも有名ではないか、重い税金、言論弾圧、そして長期にわたる兵役と言う名の強制労働・・・言い出したらきりがない。

「ワシがこの地に辿り着いた時にはお主の眼下に広がっている街には人っ子一人、さらに言えば猫の子一匹いなかったぞ」


 そうそう、そう言えばワシがこの国に進軍してくる時にワシの国に向かい歩を進めておったいくつもの団体と出会ったの、おそらくそれらがこの国の住人だったのではないか。

 もう良いな、この国にはお主を守ろうと言う者はおらんのだ。

「そうだ良い事を教えてやろう、ワシが攻め込んだ時には兵の姿もなかったぞ」


 国民に嫌われる王の最後はみじめな物だ、これを反面教師にワシは国民に慕われる魔王を目指すとしよう。


「では最後にお主に呪いを掛けさせてもらおう、まさかと思うがワシがお前を殺すとでも思っておったのか」

 真っ青な顔をしてシューヒルはその場に立ち尽くしたままだが、ワシはそんなことにかまわず話を続けた。

「知っておろうワシの支配した国はほとんど元国王や元将軍、元隊長がそのまま国を治めておると、よく考えてみろワシの部下にも限度がある、それよりは元々治めておった者方がその地の事をよく知っておるではないか」


「お主もこの地を守ってもらうぞ」

 一段と大きな声で叫んだその言葉によって、シュヒールは緊張が切れたのかその場に崩れ落ちるように座ってしまった。

 すかさずワシはシュヒールの額に指を当て、一つの呪いを注入しこれによりこの国も我が領土、つまりこの瞬間世界制覇が完了したのだ。


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