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魔王 最強の武器と対面する

「ほらマオ早く着替えないと本番始まっちゃうよ、一応主役なんだからちゃんとしてよね」

 これから玉座の裏にに入るためのうまい方法を考えるまでもなく、サッシーがうるさくも演技のための準備をせかしてきた。

 せっかく感謝しておったのに仕方ない、分かっておる、待っておれ着替えて来るぞ。


 サッシーに促されるまま更衣室に入ったのだが、ワシの衣装はどこに有るのだ・・。

「何じゃこれは、ワシはこんな物着た事などないぞ」

 そこに用意されていたのは真っ黒なショルダーにこれでもかと言わんばかりにトゲを施した主人公にすぐにでも倒される悪人専用の鎧ではないか。


「似合ってるわよ、いいじゃない世界制覇のシーン用の衣装なんだから、その位の貫録がないと面白くないでしょ」

 そう言ってもな、顔を動かすたびにトゲが顔に当たり痛いんだぞ、何も本物の凶器をを作る必要はないだろうが。

「あっ、マオは知らなかったんだ、この舞台って武器、鎧、魔法の類は全部本物を使うのよ、だからほら見てよ」

 そう言ってサッシーが見せたのは黄金に輝く豪華な一振りの太刀で、ワシの見た事も無い柄だがこれがどうかしたのだ。


「ウソでしょ知らないの、これって学園の秘宝でしょ、この聖剣は人には傷すら付ける事は出来ないけど、魔王だけに致命傷を与えることが出来る『魔王の剣』でしょ」


 いつも間にそのような物を作っておったのだ、そう言えばワシを倒すために勇者の持っていた伝説の武器があまりにもショボイかったので、学園同様に新たにワシを楽しませることが出来る様な武器を作るように命令を出しておったような気がするな。

 そうかそれが完成しておったのか、これを最高の勇者に持たせワシと戦ってもらおう。


 ちょっと待てそれがなぜここにあるのだ、この劇では剣は打ち砕かれるはずであろう。

「その前のシーンでほら溶岩に固められた魔王を刺すでしょ、その時にだけこの剣で刺すのよ」

「そのような事をするとワシが死んでしまうではないか」

「さっき言ったでしょこの剣は魔王だけにダメージを与えるけど人にはかすり傷さえ与えることが出来ないのよ」

 そう言いながらサッシーは自分の手を切りつけるが本当にかすり傷一つ付いてない。


 それはすごいな・・などと感心している場合ではない、言い換えればワシにだけダメージを与えると言う事だろう、しかもそのシーンはワシが一切動けない状態で突き刺されるのではなかったか、それは絶対にいかんだろ、ダメージではなく致命傷、または誰も知らないところで魔王の討伐が思いがけない展開で終了してしまうではないか。


「それを使うのはやめないか」

「マオは怖がりね、絶対に大丈夫だから、ほら始まるわよ最初のシーンは魔王が最後の国を統治して世界制覇を完成させる所からでしょ」


 新たな難題を抱えたまま背中を押され、仕方ないがまだ幕が下りたままの舞台中央へと歩みを進め、難攻不落と言われた北限の城を攻め落とし、そこの国王に無条件降伏を促す最初のシーンの態勢になり、サッシーによる演劇のスタートの合図を待った。


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