魔王 拷問部屋?の扉を開く
準備も完了したところで、仕方ないワシは渋々ではあるかピルカに付いて行くとしよう。
それにしてもピルカの奴、ワシを一体どこへ連れて行こうと言うのだ。
しばらく歩いて着いた先は・・・昔アスタルテに与えた部屋ではないか。
「マオさん、いえ魔王様お帰りなさいませ」
「なぜそれを知っておるのだ」
「魔王様、うちの旦那がウソが下手なのはご存知ですよね」
「もうよい、大体分かったぞ、あやつワシの事を喋ってしまったんだろ」
「少し違いますけど、ほぼ合っていますよ」
「よし分かった、では積もる話もあるがワシは忙しいので戻らせてもらうぞ」
なんじゃ心配させおって、ワシの正体を知っておったからあいさつをしたいだけであったか。
それならば気に病むことはない、もう用事は済んだなもう帰らせてもらうぞ、ワシは忙しいのだ。
「魔王様、まだお話は済んでません、そこに座って下さい」
ピルカの指さした先には椅子はなくそこにはムシロが一枚敷いてあるだけだ。
「まさかと思うがワシにここに座れとは言わんだろうな」
「何か問題でも」
その目は怖いぞ、笑顔ではあるがピルカの二つ名ではないが、ワシの心を凍らすような視線を投げかけてくる。
その時ワシの本能が言う、絶対に逆らうなと・・・。
本能に従い、大人しく、しかも屈辱的にそのムシロの上に胡坐を掻いて座ってやった。
「何ですかその座り方は、ちゃんと正座で座りなさい」
慌ててすぐに座り直し、背筋を伸ばしピルカの話を待つことにした。
それは地獄の始まりを意味するとはこの時ワシは予想だにしておらんかった。
「いいですか魔王様、あなたはリーダーとしての自覚がありません、一体何年この城を留守にしているのですか、もちろんあなたの周りには優秀な者達がいるからいいようなもの、普通でしたらすでにこんな国は潰されているかもしれないのですよ」
『分かっておるわ、ワシだってすぐに帰るつもりだったのだぞ、悪いのは『魔帝』の奴だぞ』
などとは絶対に口に出して反論は出来るよな雰囲気ではなかった。
もちろんまだピルカの説教は続く・・・。
「帰れない理由があったのかもしれませんが、手紙など無事でいることを知らせる方法はいくらでもあったはずですよね、それすらしなかったのも職務怠慢と言う物です、もちろんあなたの無事は娘が帰って来た時に分かりましたけど、うちの旦那もですけど、どうして他の者達に知らせないのですか、何か密命でも行っていたのですか」
「それはだな・・・」
「誰が喋っていいと言いましたか」
やはり一切の反論を聞く気などないだろ、ワシはこいつの愚痴をいつまで聞き続けねばならないのだろうか・・・。




