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魔王 魔王城に到着する

 そしてパカラン号に引っ張られ、本来だったら歩いて半日で着く予定であったのだが、ほんの1時間ほどで魔王の城へ到着してしまった。


 もちろん入口の門にはあの時にワシを追い払い、この学園に入学する切っ掛けを作ってくれたあの門番がしっかりとガードしておる。

 しかし今回はこの馬車のため、ワシとしてはつまらん事にバトルの再戦をする事もなく、すんなりと入城することが出来てしまった、ここで一睨みでもしてやろうと思っておったのに残念だ。

 馬車はそのまま城の入り口へと到着し、目の前には抜け出した時と変わらず豪華な門飾りがワシを出迎えておる。

 ワシが出て行った時から何も変わっておらんな、本当に300年の月日が経っておるのだろうか。

 まさかとは思うが、これも含め今まですべての事がワシを騙すための芝居とかいうオチはないだろうな。

 などと考えておったが、目の前にはどこかで見たことなある男が立っておるではないか。

 そう、その入り口で出迎えているのは寝癖のようにあっちこっちに突き立った黒髪、その体はワシとほぼ同等の筋肉量のごっつい男、そう何とクルリの父『雷音の黒竜』アスタルテではないか、こんな雑用をやる奴ではないと思っておったのだがな。


「ガキどもよく来たな、吾輩が貴様らの相手をしてやるアスタルテだ光栄に思え」

 間違いない本物のアスタルテではないか、何と懐かしい、何時にも増して口の悪さに拍車が掛かっておるようだな。

「パパただいま」

 馬車から一番最初に下りたのはクルリだ、そしてそのままワシにしたようにアスタルテの首に飛び付いた、あいつは気が短いんだそんな事をすると怒られるぞ。


「おおおおー、クルリ帰って来たか、パパはさみしかったぞ、もう離さんぞ」

 これが俗にいう親バカと言う奴だな、昔はそんな奴ではなかったのに・・、子供だろうと遠慮なく手を出していたあいつがな、本当に代わるものだ。

 ただその程度は度が過ぎているぞ、クルリを撫でまわしたと思ったら今度は肩車をして走り回り始めてしまったではないか、間違いなくワシらの事を忘れておるだろう。


 そんな時、入り口の扉が少しだけ開き誰かがこちらを覗いている。

「あなた何をしていらっしゃるのですか」

 その声の主はクルリの母『氷壁の白竜』ピルカだ。

「いやなんでもない、娘の成長を喜んでいただけだ」

「そうですか、ちょっとこっちへ来てください」

「お、おう、分かったぞ、クルリよ、ちょっと待っておれよ」

 そう最後に言い残しアスタルテは城の中に入って行った・・・そしてしばらくして現れたのは、白髪を腰まで伸ばし、色白でグレーの瞳をしたピルカ一人だけであった。


「皆様おまたせいたしました、先ほどの男の方はしばらく休むそうですのでワタクシ、ピルカが皆様をご案内いたします」

 可哀想にアスタルテは触ってはいけないピルカの逆鱗にでも触れたのであろう。

 ピルカの二つ名の通り、どこかで間違いなく氷漬けにでもされているのだろう、かわいそうに・・・。まああやつの事だ、しばらくすれば何事も無く復活してくるであろう。


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