魔王 愛馬に出会う
「忘れ物はないようね、じゃあ今度こそ行きましょうね」
「ハーイ、行きまーす」
サッシーの号令に大きく手を挙げて元気よくクルリは返事をしている。
「マオ、返事は?」
「行くに決まっておろうが、一々返事など出来るか」
「マオサマ、返事をしないといけないってサッシーお姉ちゃんが言ってたよ」
サッシーいつの間にクルリまで懐柔していたんだ・・・。
「では魔王の城に向かい出発するぞ」
「マオ、何言ってるの、まさか歩いて行くつもりだったんじゃないでしょうね、集合場所は学園正門でしょ」
何だとあの位の距離、半日歩けば付くではないか、軟弱者めがそれでは体力が付かんぞ。
文句を言いながらではあるか学園正門へと着いてしまった、そこに用意されていたのは立派な馬に繋がれたこれも大きな馬車である。
「あっパカラン24世だ」
クルリはいきなり駆け出し、馬車を引っ張る黒毛の大きな馬の所に行き怖がる事もなく(野生の勘か怖がっているのは馬の方だ)撫でまわしている。
パカランと言う事はワシの愛馬であったパカランパカラン号の子孫なのか、そういえはあの額にある星形の紋と黒毛は面影があるぞ。
さすがワシの愛馬だ、『闇の森』ではぐれてからたった1匹で無事に城に戻れたようだな、あの当時はまだ強力な魔物の類があちらこちらに出没していたから心配はしておったんだぞ。
その子孫の馬か、どれワシを満足させることが出来るかな。どっしりと中の椅子の腰を下ろし、(もちろんサッシーを含め他の奴らも乗っておるが)全員が乗り終わった事を確認すると馬車はゆっくりと動き出し、段々とスピードが上がって行く、この人数を乗せてこのスピードとは初代パカランパカラン号となんら遜色ないではないか、いやパワーだけならそれ以上だな。
よし決まりだ、これはワシの愛馬として寵愛してやろう。




