魔王 出発の準備をさせる
「ルナとソールよ今日はお前達も付いてこい」
いつもはソールやルナは置いて行くのだが、もうこの部屋には帰ってくるつもりもないのでどんなに嫌がっても一緒に来てもらわねば困るぞ。
「学校は嫌にゃ、勉強は嫌にゃ、いつも言ってるにゃ」
もちろん予想通りソールはしっかりと拒否してくる。
「安心しろソールよ、勉強に行くのではない、しかも行先は学校ではないぞ、目的地は魔王の城だ」
「本当かにゃ、嘘じゃないにゃ」
「もちろん嘘でないぞ、だから必要な物は持って行けよ」
「分かったにゃ、すぐに用意するにゃ」
そう言うとベットで眠っていたルナを摘み上げ自分の部屋へと急いでかえって行った。
ルナたちにそんなに荷物はあるとは思えないのだが・・・。
そう言えばサッシーが入り浸るようになってからいつの間にやら荷物が増えていたような気もするのだが・・・まさかそれで懐柔され、夕食を食べるのに文句を言わなくなり、しかもワシよりもメシの盛りが良くなっていたのはそのためか。
「クルリも行くか」
「マオサマ、ワタシも行ってもいいの」
「そうだな、アスタルテにも会わんといかんだろう」
「パパに会ってくれるの」
「会いたくはないが会わんといかんだろう」
「うん、だったらワタシも行くー」
これで決まりだな、ではワシも準備をしよう、と言ってもここには着の身着のまま、いやほぼ全裸の状態で来たのだ、何も持って行くようなものはないではないか。
「あなた達そんなに持て行くつもり」
「そうにゃ、準備はしっかりしないといけないにゃ」
サッシーの驚くのも無理はない、ソールは自分の背丈はあろうかと言う大きなカバンにパンパンに色々な物を無造作に詰め込み、まるで急いで夜逃げでもするような状態だ。
「私は止めないけど本当に持って行くの」
「しつこいにゃ、問題ないにゃ、それにこれくらい軽いにゃ」
そう言ってそのカバンを軽々と持ちあげている。
「じゃ、じゃあ行きましょうか」
やはりこのソールの怪力にサッシーが少し引いているのがワシにもわかるぞ、珍しい事ではない、初めてこの様子を見る奴は大体驚くからな。
「そうだな、クルリも用意は出来たか」
「うん、出来たよ」
ソールと違ってクルリはここに来た時同様(もちろん裸ではないぞ)、ポシェットだけを肩からぶら下げている。
ワシは知っておるぞ、あのポシェットには見た目以上の物が入るマジックアイテムだと言う事を。
おそらくここに来てからサッシーと出かけた時に買ってもらった服とかアクセサリーとか詰め込まれているんだろう。
そうだな城の宝物庫にも同じような物がもう一つくらいあったと思うぞ、よしそれはソールにでも与えてやろう。




