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魔王 勇者のピンチを見る

「フッハッハッハッ、お前達で最後だな」

 魔王の衣装のワシが魔王のセリフを言う、何度やってもこそばゆいな、そうそう今やっているのは明日の本番に向け最後の通し稽古である。


 ここまで長い道のりであった、毎日の地獄の特訓と体育館での練習が夜まで続くため、必然的に夕食の準備がルナになるという最悪のパターンを繰り返し、心身ともに衰弱したまま今この舞台に立っている。


「最後のラルトファイル

 魔法使いの呪文から発せられた炎がワシの体を焼き尽くさんとばかりにまとわりつく。

 ちなみのこの炎は本物なのだが、火炎防御の術が施されたこのマントの力もあるが、それよりもワシにこの程度の炎などでダメージを与えられるはずもなく、ワシにしてみると効きすぎた暖房ほどにしか感じぬのだがな。


 さて、そろそろここから出る良いころあいかな、次は冷凍処理と固まった溶岩を弾き飛ばすシーンだな。寒いのはあまり好きではないのだが仕方ないさっさとやってもらおう。

 全身に溶け出した溶岩を纏い勢いよく勇者の前に飛び出すと予定通り魔法使いの「瞬間凍結ミットコール」の呪文により体に纏った溶岩が元の岩へと戻って行く。


 次はこれを弾き飛ばすだけ、これはトリックなし、ワシの力だけでいいとは楽なもんだ。

 ただ難点として着ている物も同時に吹き飛ぶため、全裸にならねばならぬと言う事だけだ、サッシーの奴め本当はこれが見たいがため勇者役ではなく総監督をしているのではないだろうな。

 まあ良い、勇者たちの武器での攻撃が済んだようだ、そろそろ行くぞ、全身に力を入れ胸を張ると体を覆っていた溶岩は砕け辺り一面に飛び散る、もちろんワシの服もだが、そのままその場に仁王立ちとなった。


 次は勇者の絶望のセリフのはずだが、声が聞こえない、どうしたセリフでも忘れたか困った奴め(人の事は言えないだろ、などと言わんでくれよ)。

「カット、すぐに救護班を呼んで」

 サッシーの険しい声が静まり返った体育館に響き渡る、一体どうしたのだ。

 振り返ると勇者役の生徒が舞台中央でうずくまったまま動けなくなっている。

 一体何が有ったんだ。

 タンカーに乗せられ勇者役の生徒はそのままヨーコ先生の待つ保健室直行となった。

「サッシーよ一体どうしたのだ」

「あなたが弾き飛ばした岩石が当たったのよ、でも気にしないで、それ位避けれない方が悪いんだから」

 可哀想な事を言う、でもどうするのだ本番は明日だぞ、ヨーコ先生でもすぐに完治できるような怪我だったのか、それにしては痛がっていたようだぞ。


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