魔王 勇者に同棲を強要される
「おお、もうこんな時間かワシはもう寝るぞ、ではサッシーよ自分の部屋に戻ったらどうだ」
「何言ってるのよ、まだ夜も更け始めたばかりじゃない、それにまだセリフを覚えてないんでしょ」
「それは明日からやるから良いではないか」
「そんな考えだから覚えれないのよ、いいわ今日から本番まで泊まり込みでミッチリ仕込んであげるから」
それはこの部屋で住もうと言う意味なのか、それはいかんだろう、もしここで許してしまうとそのままなし崩しで住み込んでしまうような気がするのは気のせいだろうか。
「じゃあ始めるわよ」
サッシーはすでに台本を開いてやる気満々の様子だ、おい誰かワシを助けんか。
「マオサマおやすみなさい」
クルリはもうおねむの時間なので、眠そうな目を擦りながら自分の部屋に行こうとしている。
「私もお供しますの」「にゃ~」
ルナとソールまで・・・お前ら薄情だぞ。
ではワシも寝るとするかと席を立とうとするが、もちろんそんな事を後ろで睨んでいるサッシーが許してくれるわけもなかった。
「はいそこに座って」
「サッシーよ良い子はもう眠る時間だぞ」
「誰が良い子かな、良い子のクルリちゃんはもう眠ったわよ」
「ワシだワシ」
「そんなわけないでしょ、文句を言わずに始めるわよ」
ワシの意見など一蹴され、これから始まる地獄の一週間のスタートを告げるゴングがたった今鳴り響いたのだった。
「また間違えた、何度言ったらわかるの」
「そう言ってもな」
「口答えしない」
こんなやり取りが続き、すでに日も変わってしまっている。
「サッシーよいい加減眠らんかワシはもう持たんぞ」
「そうねこのまま続けても能力アップは無理そうね」
「そうであろう、では眠るとしよう、お前も自分の部屋に戻ったらどうだ」
「言ったじゃない、今日からここに泊まるって、私が帰ったら鍵を閉めるつもりでしょ」
そこまで読まれておたか、今度は絶対に開けられないように内側からも鍵をしっかりとしようと思っておったのに、無駄になってしまったではないか。
「じゃあお休み・・明日はは5時から特訓ね」
「では学校が終ってからだな」
「何言ってるのよ、朝に決まってるでしょ」
「ワシは朝も弱いんじゃが」
「大丈夫よ、つらいのは最初だけだから、後はお姉さんに任せなさい」
任せたくなどないぞ、ワシの平和な一時が・・・。
「じゃあお休み」
そう言うと勝手知ったる他人の家ではないが、サッシーはいつに間に準備完了していたのか、空き部屋だったと思っていたクルリの部屋の隣に、しっかりと自分の寝室がいやこの装飾から行くと部屋その物が準備されているでないか。
「一体いつの間に」
「秘密に決まってるでしょ、でもこの位はたやすい事よ」
そんなバカな、そうなるとこれを用意した方法の可能性は二つだな、一つは魔法とかで自分の荷物を瞬間移動させた、もう一つは毎日飯を食うためにこの部屋に来た時、少しずつ荷物を運びこみワシに知らぬ間にこの部屋を作り上げていた。
これだけの物をいくら優秀な勇者候補とは言えまだ素人の呪文がこんなにうまくいくわけがない、きっと後者の方が正解だろう。
もうワシは知らんぞ、とっとと寝よう。
疲れも有り、さらにいつもだったら既に熟睡タイムと言う事もあってか、横になった瞬間ワシの意識はすでに無かった・・・。




