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魔王 魔帝にもてあそばれる

 ワシ自身の敗北と死亡に納得しかけた時どこからか声が聞こえたような気がする。

『こんな所で負けるとは情けない、早く戻らんか』

 どこかで聞いたよな気もするのだが、ワシの記憶にはこの声はない奴の声だ。


 しかしその声の後、急に体に激しい痛みの感覚が戻り、視界には完全に破壊されたおそらくあの部屋であろう光景が広がって来た。

「魔王様生きてるかにゃ」

「魔王様は負けないですの」

 ルナとソールがワシの体を激しく揺さぶっている、ちょっと待て、早く返事をしないとこのままではせっかく生き返ったようなのにまたあの世へ送り返されてしまう。


『ワシは生きているぞ』

 そう返事をしたかったのだが全く声が出ない、それどころか指一本動かす事も出来ないではないか。

 残念だ、このままでは本当にあの世への強制送還だな・・・。

 そう諦めかけた時ワシを救ってくれたのは意外な奴であった。


「あの呪文の攻撃を受けたのに肉体が残っているのとは私の負けですね」

「えっ、魔王様は生きてるにゃ」

「間違いないでしょう、ほらよく聞いて見なさい心臓の音が聞こえてますよ」

 その声はワシと戦った時と違い、優しい声で(やはり『魔帝』女性には優しいのう)ワシのピンチを救ってくれた、この点だけには感謝してやろう。

「そうですよね魔王さん」

 しつこい様だがワシの体は今一切動かす事は出来んと言っておろうが。

「約束ですので私の負けですね」

 違う、確かに生きていればワシの勝ちと約束していたが、この無様に転がった状態を見てみろどう考えてもワシの負けだ。


「これは私からのプレゼントです」

 そう言うと突然『魔帝』はワシの額に指を当て、何かを呟きだした。

『殺られる』そう思った瞬間、『魔帝』は何も起きないまま無いまま指をゆっくりと離してしまった。

「私はこの世界より手を引きましょう、では皆さん参りましょか」

 そう言ってワシをここまで追い詰めた最強の魔法にも傷一つなく耐えたあの部屋に合図を出すとその中に避難していたメイド軍団が一斉に『魔帝』の周りに集まり次の行動を待っているようだ。


「では魔王、私は旅立ちます、次に出会う時にはその無意味な封印を解いた完全な形のあなたと遣り合いたいですね」

 こいつはワシの封印の事を知っておったのか、まさかこの魔法も実は手を抜いていたからワシは生かされているか、それならワシは『魔帝』の手の上で踊らされていただけなのか。


 次に出会った時には必ず決着を付けてやる。声を出せないが『魔帝』が消えた辺りに向かい誓うのであった。


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