魔王 メイド喫茶?に迷い込む
そこでワシらを待っていたのは・・・。
「いらっしゃいませ旦那様、すぐにお席の方にご案内いたしますね」
ワシを出迎えたのはクラシカルなメイド服を着、少し大きめの丸メガネをかけたどこから見てもメイドdではないか。
よく見ると他にも数名のメイドが誰も居ない広いホールを忙しそうに動いている、まさかワシはメイドカフェに迷い込んでしまったのか、そんなはずはない、間違いなくここが最終目的地の『魔帝』の部屋のはずだ。
「すまんがワシはこんな所でのんびりしとるわけにはいかんのだ、この辺りに『魔帝』殿はおられんか」
「『魔帝』でございますか・・・」
このメイドがそこまで言うと急に黙り込んでしまった。ここで良くあるパターンで行くと実はこのメイドが『魔帝』とか、実はそんな奴は存在せず都市伝説のように噂が独り歩きしたのも考えられるな。
「店長・・・店長にお客様です」
少し奥まったカウンター裏にある調理場があると思われる方に向かいメイドが叫んでいる。
店長だと、ワシが用があるのは『魔帝』だと言っとろうが、それともここはメイドカフェとは名ばかりの(誰もそうとも言ってないが)ボッタクリ喫茶だったのか。
この場合よくあるパターンは奥からスキンヘッドかパンチパーマの怖いオヤジ共が現れて身ぐるみを剥がされるか、どこぞの海に石を抱かされ永遠の眠りにつかせようとして来るんだろう。
仕方ないな、少し遊んで返り討ちにしてやるか。
「すいません、うちのメイドが何か粗相をしましたか」
しかし残念ながら奥から現れたのは人のよさそうなお兄さんが真白いエプロンで手を拭きながら笑顔で現れた。
本当にこいつが『魔帝』なのか、全然そんな風には見えないんだが・・いや待て待て人を見かけで判断してはいかんぞ。
「貴様が『魔帝』なのか」
少し凄味のある声で、いつ攻撃されてもいいように少し間を取りながらこの男に訪ねてみた。
「私の事でございましょうか、そうですね・・ただ他の方よりちょっと強かったり、ちょっと魔力があるだけですが・・まあ中にはそのように私を呼ばれる方もいらっしゃいますが、それがどうかいたしましたでしょうか」
そう言うこの男の表情はは笑顔ではあるが目は全く笑っていない、それどころか衣類の隙間から見える筋肉はどう見てもただの人のいいお兄さんではないだろう。
「物は相談なのだがワシに倒されてはくれぬか」
「お客様御冗談を、私を倒すとおっしゃいましたかそれは無理でございます、倒されるのはあなた様の方でございます」
そう言い終わると自分の傍にいたメイドに何か耳打ちし、それを合図に他のメイドたちも先程までこの男(魔帝)がいたキッチンスペースと思われる所へと避難を始めた。
ワシもルナとソールを・・と思ったがすでに避難しているようだ、これで心置きなく暴れると言うものだ。
「では参ろうか、ここを落としてこの地もワシの物にさせてもらおう」
「よろしいでしょう、すぐに終わらせるとしましょう、ただ普通に戦っても面白くありませんね、そうですね私が勝ちますので、あなたが連れて来ていただけましたお嬢様お二人を頂いてよろしいでしょうか」
「ワシに勝とうと言うのか・・・面白い、ではワシが勝ったら何をくれるのだ」
「そんな事は万が一にもありませんがもしも私に勝つようなことがあれば私の下で働いているすべての魔物たちをあなたに差し上げましょう」
「面白い、契約成立と見てよいのだな」
「よろしいでしょう、すぐに終わらせてすぐに私のお店を再開させていただきますよ、ああそうだ、よろしかったらあなたも皿洗いとして雇ってあげますよ」
「残念だがそれは無理な話だ、お前こそワシの配下にしてやろう」
どうやらこの二人は見た目の性格は真逆のようだが、中身はほぼ一緒と見ていいだろうそう、自己中と言う所が・・・。