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魔王 勇者の侵入を許す

 ・・・翌朝・・・


「まだ寝てるの早く起きないと遅刻するわよ」

「いつに間に入り込んだにゃ、暗殺者かにゃ」

 そんなやり取りをワシの耳元でしておるやつがおる、もちろんサッシーとソールだ。


 ちょっと待て何でサッシーがワシの部屋におるんだ、夜の施錠はしかりしておいたはずではないか。

「あんな鍵なら盗賊じゃなくても私でも開けられるわよ、授業でやったでしょ」

 ワシは習っとらんぞ、他人の家に無断で入り込む授業まであるとはさすがはエリート勇者候補生だな。


「うるさいぞワシの眠りを妨げるでない」

「やっと起きたわね、ところでクルリちゃんは」

 そんな事を言いながら大きな袋を持ち上げて見せている。昨日行っていたクルリの服なんだろう。

「クルリなら奥の部屋で寝ているはずだ、ワシが行くと怒るのであろう、だったらサッシーよ起してやってくれ」


 そう言った瞬間ワシの足元で動くものを感じる。

「んっ~んん~お早うございますマオサマ」

 いつの間に潜り込んだのかワシの布団の中からクルリが顔を出してきた。

「お前いつの間に潜り込んだのだ」

「夜ね、眠れなかったらねルナ姉さまがここで寝るといいよって言ってくれたの」

 もちろん今は朝なので猫になってワシの所で無邪気に眠っておるがルナの奴め、余計な事を言いおって。


 そんな事はどうでもいい、それよりも早く防御態勢を取らないとワシの身が持たんぞ。素早く構えるが攻撃をしてくる様子はない。

「手は出していないようね」

「当たり前ではないかワシの布団に入って来た事にも気が付かなかったのだぞ」

「いいわ、信じてあげるから」

 珍しいな、こんなにあっさりとワシの事を信じてくれるとは、それとも今はクルリがいるから手を出さないだけなのか、もし居なくなったら恐ろしい事が待っているのか・・・。


「魔王様朝食の準備が出来たにゃ、そこの娘も食べてい行くかにゃ、特別にゃ」

 ナイスタイミングと言っていいのかわからないが、テーブルにはいつも以上の沢山の食事が用意されている。

「こんなに食べるの」

 サッシーは呆れたように言っている。

 ワシにしてみればこの位は普通だが(量については前日の朝食を参照)珍しいのか?

「わーい早く食べよう」

 クルリはすでに椅子に座り準備万端のようだ。遅れずにワシも頂くとしよう。


 そして戦争のような食事が始まりあれだけあった食材はあと少し残すだけになっている。

 ワシと張り合うとはサッシーもよく食べるではないか。

 それにさすがはドラゴン、人型とは言えよく食べる・・・良い事だ。

「食事中悪いけど」

 話を切り出したのはサッシーだった。


「私、引っ越したから」

「ほーそれはよかった、もちろんワシの部屋とか言わないだろうな、それは断固拒否するぞ」

「当たり前じゃない、あなたの部屋じゃないわよ」

「ではどこへだ」

「隣の部屋よ」

「隣だと!前も言ったがここは男子寮だぞ」

「それも言ったじゃない私に敵うような猛者はいないって」

 そう言えば昨日の夜更けに何か隣から大きな音が聞こえていたな・・その時に来ていたのか。


「だからねクルリちゃんもし困ったことが有ったり、このオジサンに変な事されそうになったら私の部屋に飛び込んできていいからね」

「はーい分かりました」

 元気よくホークを持った手を上げてクルリは返事をしている。

「ハイごちそうさまでした、美味しかったわよソールちゃんまたお願いね」

「任せるにゃ、私の料理は天下一品にゃいつでも食べに来るといいにゃ」

 自慢げにソールは言ってしまったが、その日以降朝食、夕食のたびにサッシーが入り浸りになったのは言うまでもない・・・。


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