魔王 命の危機を感じる
せっかく学園に来たのだが朝来た道を引き返しワシの部屋へとたどり着いたのだが・・。
「サッシーよなぜお前まで来ておるのだ」
「当たり前じゃない、マオこそこんな昼間からこんな子を連れ込んで何をするつもりよ」
「何を心配しておるのだ、変な奴だ」
サッシーの事は構わすワシは自分の部屋に入る事にした、しかしワシとしたことが部屋の中にもう一個爆弾が隠れている事をすっかり忘れていた。
「魔王様お帰りなさいにゃ、どうしたのにゃ、まさか具合でも悪いかにゃ、すぐに布団を用意するにゃ、おかゆを作るにゃ」
もちろん昼間のこんな時間だからソールが人型でしっかりと部屋の掃除(破壊活動)をしている所だ、わしがこんな時間に帰って来た物だからすっごく慌てている。
「ソール心配するなワシは平気だ」
「さあはたしてそれはどうかしらね」
ワシの後ろで今までに感じたことのないような殺気を感じる、恐る恐る振り返るとそこには鬼の形相のサッシーがユラユラとたたずんでいる、その瞬間ワシの本能が言っている『これはヤバイ、すぐに逃げるんだ』と。
ワシはドラゴンを倒したのだぞ、それに昨日の戦いを見てもサッシーがそんなに強いとは思えないのだが・・・それなのに勝てる気がしないのはなぜだ。
生きてるとはなんと素晴らしい事か、あの攻撃に耐えきったぞ、さすがワシだ丈夫に出来ておるの、普通の人であればおそらくあの世への案内人が手続きを完了させていた所だろう。
「意識はあるようね、じゃあこの状況を説明してもらえるかしら」
この状況とは一体何の事だ、昨日嘘を言った事を責めておるのか、それならば素直に謝ってやるが他におかしなことをしているようには思えんのだがな。
「何の事?って顔をしてるわよね、妹にメイド服を着せて働かせるなんてあなた最低ね」
「変な事を言うにゃ、私は忠実な付き人『太陽の姫』ソールにゃ」
こら、余計な事を喋るな、さらに面倒くさくなるではないか、ほら見てみろ、後ろで殺気が復活しかけてるではないか。
「マオ君・・昨日は妹って言わなかったかな・・・」
だからそれは謝ると言っておろうが、本当の事を言うとさらにややこしくなると思っただけではないか。
「じゃあ本当の事を言ってもらえるのかしら」
「こいつはワシが屋敷を抜け出した時に付いて来てそのまま居ついておるだけだ」
「こんな子供がね、でも学校には行かせてあげないの」
「嫌にゃ、学校は嫌にゃ」
ソールは何かに怯えるように拒否反応を示している、ワシと出会う前にとんでもない目に遭っていたのだろうか。詳しくは話してくれたことはないな。
「と言うわけだ、ワシは無理強いはせん主義なんでな」
「じゃあマオ、クルリちゃんが学校に行きたくないって言ったら行かせないの」
「それはないぞ、ちゃんと行ってもらわんとワシの自由がかかっておるからな」
「本当かしら、心配ね」
お前が心配することもないだろう、もしそんなことがバレでもしてみろアスタルテが娘を連れ戻すために軍を率いてワシの所に来るのが目に見えておるではんないか、つまりだ困るのはワシの方だ。
「そうね良い事を思いついたわ、私もここに住めばいいのよ」
「お前の方こそバカな事を言うな、そんな事出来るわけないだろ」
「何でよ、この部屋には女子が住んでるじゃない」
「こいつは良いんだ、それによく考えてみろここは男子寮だぞ」
「知ってるわよ、それにパーティーを組めば親睦を深めるために同室もOKのはずよね」
それはそうなんだが・・、こんな所でワシの作ったルールが裏目に出るとは、ただそのルールは形骸化しているようでワシの知る範囲ではただ同棲を助長しているだけのような気がしておるのだが(男女二人のペアーが多いのがその証拠だ)。
「そうだ、お前を襲うとする奴が出て来るかもしれんぞ」
「私は大丈夫よ、私を襲える男なんて今まで会ったこともないわよ、そんな勇気がある人もいないんじゃない」
それにはワシも含まれておるのか、(先ほどの醜態は見なかったことに・・・)ワシが本気になればこんな小娘に負けるはずがないでないか、負けるわけないだろう、負けるとは限らん、負けないといいな・・。
と言うわけだ、この部屋は諦めてくれ、頼むからこれ以上ワシの自由を奪わないでくれ、それにもう一匹ルナがいることがわかるとワシの体が持たない様な気がするのは絶対に気のせいではないだろう。
「そこまで拒否するなら分かったわよ、今は帰ってあげる、クルリちゃん明日学校の服持って来てあげるね」
「はーい、サッシーお姉ちゃん」
クルリはすでに部屋の中に潜り込み、奥にいたフワフワを弄んでいる所だった。
余談ではあるがフワフワに弄ばれたルナが転がっていたのは触れないでおこう・・・。




