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魔王 密書を読む

『やっと見つけたぞ魔王

 お前は城を抜け出して今までどこにいたんだ、帰ってきたら説明してもらうぞ。

 それにしても吾輩の娘に手を出すとはな・・・、

 まあそのおかげで家出娘が帰って来たのだが、それの件は許してやろう。

 しかし、責任は取ってもらうぞ、お前に娘を預ける。面倒は見てもらうぞ。

 いいな、お前が配下にしたんだろ、問題はないな、拒否権はないぞ。


 言い忘れておったがこの事は城の他の奴には言っとらんから安心しておけ。

  それにお前の居場所も秘密にしておいてやろう。

  娘に手を出したら・・分かってるな。

  アスタルテ=グランド』


 脅かすでない、ただ娘を預かれと言う事ではないか・・・何だとワシに娘の面倒を見ろと言うのか、待てワシにそんな事出来るわけないだろう、しかしここでクルリを強制送還でもしようものなら、城の奴らにワシの居場所を(きっと魔王としてではなく何らかの罪人として)バラすぞっと最後の三行で言っているんだろ。


 もちろんワシも早く城に帰りたいと思っておるがワシの意思で帰る、いや凱旋するのは良いが強制連行は絶対に嫌だ、ええい、猫二匹とフワフワ一匹にドラゴンが一体増えるだけだ何とかなるだろう、ワシは魔王だ何とかしてやる。


「どうしたの、なにか魔法でも掛けてあったの、それともドラゴンを怪我させたから呪いでも掛けられたの」

 心配そうにサッシーがワシの顔を覗き込んでおる、安心せいワシは元気だ、ただあまりの事に驚いておっただけだ。

 驚いたことをするのはアスタルテのいつもの事だ、何しろあの城にいる者のの中で唯一ワシと互角に張り合った奴だからな、かなりの権力と自由を与えておる、この封蝋もおそらく奴の仕業であろう、本当に困ったことをする奴だ。


 そんな時保健室を飛び出したヨーコ先生が校長を連れ帰ってきたところだ。

「この子です、この子がこの手紙を持ってました」

「この子がですか・・わかりました許可しましょう」

 頭頂部がさみしくなり、心労のためか昔出会った時よりも筋肉も落ち、かなり痩せてはいるが間違いなくワシと戦った最後の勇者だ。

 知ってはおったがワシとの約束は守っておるようだな、しかしまだワシを楽しませてくれるような勇者が誕生してないのは残念だ、これからもよろしく頼むぞ。

 しかし残念だ、この距離に魔王いると言うのにさすがにこの姿ではワシの存在には気が付かないようだな。


「では早速手続きに行きましょう、お嬢さんこちらへ来ていただけますか」

「いや」

 クルリは即答で拒否している。

「そう言われても困るんですが・・・」

 勇者は本当に困ったような顔をしている、この表情はワシの提案に悩んでいた時と同じではないか。

 この問題はそれと同レベルと言うのか、教師に渡した手紙には何と書かれていたんだ。

 校長(勇者)がクルリをなだめるために手紙をテーブルの上に置いたのをすかさず発見し盗み見る事に成功、それに書かれていたのは驚愕の事実だった。


『勇者養成学院 教師殿


 我娘 クルリ=グランド を当学園に入学させたいと思う

 手続きの方を頼みたくお願いする。

 入学に必要な学力、体力は我らが保障する

 授業等特別扱いは一切必要ないのでお前たちの好きにしてくれて構わん。

 ただ一つだけ、こいつの居住地はこの娘の好きにさせてやってくれ。


 そうそう、もし困ったことがあれば青い封蝋の手紙を持つ者に頼むといいだろう。


 魔王軍 竜族部隊最高顧問 アスタルテ=グランド 』


 これは安易にワシに何とかしろとこの手紙でも言っているではないか、まだワシの手紙の事は勇者には気が付かれて無いようだな。

 よし今のうちに処分しておこう。これ以上面倒に巻き込まれるのはごめんだ。

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