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魔王 ピンチを脱する

「わかりました聞いてあげましょう、それでもし今の状態を説明できなかったら解剖させてね」

 先程のメスを鞄から取り出しヨーコ先生は臨戦態勢バッチリだし、サッシーはいつの間に持ってきたのか昨日の短刀を準備している。


「サッシーは覚えてるだろ、ワシが昨日ドラゴンを倒したのを」

「バカにしないでよ、もちろん覚えているわよ」

「あなた達、そんな危険な事をしていたの、1年は『冒険の森』以外は使っちゃいけない決まりになってるのを忘れてないでしょね」

「先生、もちろん私達は『初心者の森』を使用ました」

 サッシーの言う通りあの森は大したモンスターは出なかったが、ワシにしてみれば運の良い事にこいつがゴール地点で眠っていただけだ、最後に久しぶりに暴れられてうれしかったぞ。


「それでだ、そのドラゴンがこいつだ」

「いい加減な事言わないの、人化が出来るドラゴンは限られたほんの一部だけでしょ」

「ヨーコよ、それくらいの事はワシも知っておるわ、信じれんがこいつはこの若さで人化できる特殊能力を持っておるみたいだ」


「うんん、ワタシはそんな力はないよ」

「ではなぜ人の姿をしておるんだ」

「これだよ」

 そう言いながらクルリは自分の首に装着されている首輪・・もといチョーカーを指さしている、それに付いている宝石には見覚えがあるぞ・・たしかどこぞの王族が自分のペットを人型にして楽しんでいたのを奪い取った物だ。

 そう言えば昔国を一つ落とした褒賞としてアスタルテに与えておったな。

 もちろんそれを知っているのはワシだけだ、仕方ないこれがマジックアイテムではないのかと言っておこう。


「あっそうだこれを渡すように言われてたんだ」

 クルリの唯一の持ち物であるピンクのポシェットから赤い封蝋がしっかりされた一通の封書を取り出しヨーコ先生に渡している。

「これを私に」

「うん、これをここで最初に出会った大人の人に渡しなさいってパパが言ってた」

 その封書と言うか封蝋に付いている紋章を見ると忽ち表情が変わり、ヨーコ先生は慌てて保健室を飛び出して行った。


「あれには何か仕掛けでもあったのか」

「どうかな、でも『これを渡すと面白い物が見れるぞ』ってパパが笑ってたよ、そうだマオサマにもこれを渡しってって」

 今度はワシに渡そうとピンクのポシェットから青色の封蝋の付いた封書を取り出した。

 しかしこれのどこに仕掛けでもあるのか、ワシには特別に驚くような物はついとらんではないか。


「ちょっと待ってそれは本物」

 その手紙を見たサッシーも何かに驚いているようだ、一体何に驚いておるのだ。

「そっ、その封蝋にされえている紋章が何か知ってるわよね」

 もちろん知ってるぞ、それはワシのつまり魔王の紋章だ、ちなみに紋章と言っても大きな円の中にそれ内接するように十字に配置された四つの小さな円、さらにその四つの円の中点を結ぶ正方形が書かれた物だ。

 簡単な形だからと言ってバカにするでないぞ、これはこの世界を制覇完了した時に作った物で四つの大陸を表す円とそれをワシが支配した事を表す四角、すべては強制ではない事を表すためにその四角はすべての円を覆っとらんのだ。


 で、それがどうしたと言うのだ、たかがこの紋章が付いているだけでそんな大したことでもないだろう。

「マオ、いくらあなたでもそこまで無知だとは思わななったわ」 

 呆れたように言っているがサッシーよいくらなんでも言い過ぎだろう。

「いいマオ、この紋章の付いた手紙を持っていると言う事はこの子は魔王から直接指示を受けたと言う事なの、だから何が書かれてるかは分からないけどそれに書かれている事は絶対なのよ」

 それがどうした、ワシはこんな手紙を出した覚えはないぞ、と言うか手紙を渡す事が出来るわけないではないか。では一体誰がワシの紋章を使っているのだ。

 そんな事を思いつつ、たった今貰ったばかりのサッシーにしてみれば大変貴重な手紙をそんな事はお構いなしに乱暴に開封した。

「ちょっと見せなさい」

 何をするサッシーよ、ワシが貰った手紙だぞ、それを勝手に取り上げるとは、お主の方こそ常識がないのではないか。


「でもねマオだったら自分が気に入らないと手紙を破っちゃうでしょ」

 良く分かっておるではないか、もちろんそうするに決まっておろう。

「ほら、そうでしょ、もしこれに『この子を怪我させたから出頭しろ』と書かれていてそれを無視していると容疑者隠避でここが攻められちゃうじゃない」

 安心せい、お主達には迷惑を掛けんそ、その時はワシが返り討ちにしてやろう。

「もっと大変な事になるから、その時は抵抗せずに捕まってよね」

 少し笑ったような表情で言ってはいるがサッシーのその目は今言った事は冗談とかではなく本気のようだ。


 サッシーよその手紙には何と書かれておるのだ、いい加減ワシにも見せてくれんか。

「なによこれ、何にも書いてないじゃない、心配して損したわ、きっと魔王のちょっとした悪戯ね、ハイ返すわ」

 そう言って返された手紙は・・なるほどそう言う事か、これには受取人以外には読めないように少し魔術が掛けてあるな。ではどんな事が書いてあるんだ。


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