PLAY.7
「おい、奴は何者なんだ?なぜ一人だけであの数の《ウルフ》をものともせずに戦えるんだ」
いま木々の向こう側には拳で《ウルフ》と戦う一人の若者がいた。何十匹といる《ウルフ》を奴はたった一人で、しかも地面に横たわっている女性を守りながら戦っている。
先程の問いに隣に立つ無表情の少女は答えた。
「あの者の戸籍は存在しておりませんでした。魔王様の命を狙う輩の仲間かもしれません。なのでいまここで仕留めてきましょうか?」
シャッと懐からナイフを華麗に取り出す。
首を横に降り、微笑む。
「まあ待て。あいつが死ぬか生きるか見て楽しもうではないか」
「かしこまりました。閣下がおっしゃる通りに」
そして何分間か経過した時に起こった。
突然若者の雰囲気が変わったのだ。
「……死ねよ、屑共がっ!!」
乱暴な言葉遣いになっただけではなく、格段に戦闘能力が上がった。いままで押されていた若者は一瞬にして押し返し、すぐに決着をつけた。
「……閣下、あの者は一体……」
無表情の少女が不思議そうにしかも表情を変えずに言ってくる。
その時だ。若者は力を使いきったのかその場で倒れ、動かなくなった。
「――奴を連れていくぞ」
「わかりました」
草木から出て近づいていく。その途中女性が倒れているのを見つけるが迷わず通り過ぎ、若者の側に立つ。
「気を失っているな。帰るぞ、アイ」
「はい」
無表情のアイという少女が若者を持ち、深い森の中へと姿を消した。
その後、何者かが女性を発見した。