定理四『不条理』
赤くひび割れた陶磁器の如き薄墨の煤煙が、目にも止まらぬ速度で辺り一体を飲み込む。
触れれば大火傷は必須の大厄災だ。
地表を天より穿ち抜いた二発の杭は、二人がいた場所を接地点として確かに着弾した。
周囲一体にいた幾人かのプレイヤーはすでに洞窟外に退去している。苛烈な戦闘の中、なんとか逃げ仰せていたのだ。あとは司令官たるレヴォシスが内より状況を確認し、外にいるプレイヤーに命令するだけ。そして以前から有事に備えて森の中に設置していたそれを、発射する決意を固めるのに時間はかからなかった。
「……切り札たる一撃を、二発も使わせおって。
まぁいい。貴様らのような怪物はまとめて始末するに限るのだ」
熱風が爆裂に舞う中、レヴォシスは慇懃な顔を醜く歪め、ミサイルが飛来してきた大穴を仰ぎ見ている。
「『地中貫通弾』――。
地下深くに作られた武器庫や基地を爆破せんがために作られた、文字通り岩盤を撃ち抜く破壊兵器、神の杭。
地盤を穿つ専用の代物を直接ぶち込まれ、その形を保っていられる肉体など存在しない。例外なく、幾万の肉片と化すのみだ――そうであってくれ」
打ち込まれた塵土に動きはない。渦巻く煙が視界を覆い尽くしており、一切の結末がその中に包み隠れている。
だからこそ、レヴォシスはただ傲然と待つのみなのだ。
『――こちらヒス、粉塵の上昇を確認』
『こちらレヴォシス、標的への着弾を確認。生存の可能性もあるため、洞窟内にて待機を続ける。繰り返す、待機を続ける』
耳元で鳴るレシーバーから、発射隊の報告が流れる。
その口調は勝利の確信に満ちており、FPSというジャンルが生み出した現代兵器への高らかな誇りを謳っていた。
しかしレヴォシスは決して油断はしない。どんなことにも不測の事態は存在する。例え、人肉なぞ瞬時に爆滅する破壊兵器が命中したのだとしても。
『でも、ドリトンまでをも殺害してよかったので?』
『やつもエンヘリャルだ。生き残るために協力していたが、いつかは対立する運命にある。こういう漁夫の利を得られる機会があるのであれば積極的に狙っていくべきだ』
『まぁ、そうですよね……結構仲良くしてもらってたのですが』
『嘆くのは無理もない。あれは素晴らしい男だった。だがそんな感傷に現を抜かしていたら、この世界では生き残れない』
少しずつ晴れていく粉塵を、レヴォシスは目を細め凝視する。
『こちらの被害は?』
『武器類や機材が壊滅的です。他の基地の分も含めて四割ほどを失ったかと。ですが再起は可能なレベルです。ご安心を。
確保していた捕虜達も放置したまま逃げてきました。おそらく生存は絶望的かと』
『確か司令用テントの目の前だったな。ここからじゃ遠いが、爆炎の範囲内だろうさ。仕方がない、どうせ殺していたんだからな』
焼け死んだか、衝撃で吹き飛んだか。どちらにせよ、肉体は粉々に吹き飛んでいるだろう。
そう検討をつけてみるが、実際にそれを確認することはできない。この世界では死体が残らないからだ。
髪の毛一本から赤い血潮に至るまで、細部に渡ってリアルな肉体を構築しているのがMMOの限界値的特色だ。
しかし、それらはどこまで行っても自然物なんて代物では決してなく、立体的に何億個にも敷き詰められた、一塊の情報体でしかないのだ。
ただでさえ重いデータを持つ肉体を、動かなくなってまで残す道理はない。
「……美しい。燃ゆる炎こそが、何十万年と続く人類叡智の代表者であり、原初の姿。不謹慎だが、感嘆せずにはいられない」
男はこの瞬間しか味わえぬ感動の味を、その目で深く堪能する。続いて、視界の端に映る件のテントへと目を向けた。
暁色に焼けていくその様はまさに現代の異様であり――
「――――」
――否、何ごともなかったかのように、悠然とそこに残っていた方がより酷く異様であろう。
「燃えて、いない――!?」
爆発の規模は、予測されていた数値の半分にも満たない範囲に収まっていた。
中心部こそ激しい炎が渦巻いているものの、そこからわずか数メートル離れるごとに、破壊の奔流は目に見えてその勢いを失っていく。
猛烈な勢いで広がろうとした衝撃波は、まるで粘り気のある大気に捕らえられたかのように急激に減衰し、司令用テントの直前で、ただの生温い微風へと成り果てていた。
(馬鹿な! そんなはずは! 地中貫通弾はただ深くまで突き刺さるわけじゃない! 周辺にあるものを甚大なまでに吹き飛ばすミサイルだ! 確かに小型を撃ち込んだが、これだけで終わるはずが《グシュッッッッッッ!!》
「――――がぁっ??」
――正体不明の衝撃が、レヴォシスを襲う。
どこが痛むのかさえ判然としない。ただ、自身の外郭が内側からじんわり蝕まれていくような、鈍く、それでいて逃げ場のない不快感が脳髄を焼く。
レヴォシスは周囲を見渡すも、疑わしき敵影は見当たらず皆目検討もつかない。――ただ、違和感があった。
身に覚えのない気配がするのである。
目には見えない、耳には何も聞こえない。
だが、何かがいる。
釈然としない現実は、認識を歪めてまでも、男の心中に強烈な警告を促す。
聴覚、視覚が敗北した中で、その触覚だけが真実を語っているように思えた。
熱せられた風が吹く。
炎は未だに燃えている。
彼はまず自身がどうなっているのか理解することにした。手や脚に目をやり、腹へと移し、そこに傷はないことを知る。しかしながら腹部には滲みがあった。上より垂れてきた赤い血が、格式ばった軍服を濡らしていたのだ。川が伝っているようだった。服の上を地図として、ベルトという地平線めがけ流れゆく川が。
であれば、川であるのなら、上流を辿っていけば清源に辿り着くのが自明だ。男は大河川を順に目で追っていき、そうして痛みの発生源を――
「な、ぜ――……!!?」
――胸部に肉々しく開いた裂け目、そこから吹き出すドロついた鮮血を発見した。
「ぐ、ぉぉお……ぉぉお……!!?」
偽りの身体とは思えぬ激痛が魂を突き抜け発狂する。
鼓動に合わせて血を吐く穴には、凍てついた感覚が楔のように打ち込まれていた。
熱い血液が流れ出すほどに、その空白を埋めるようにして、絶対零度の虚無が内側から身体を侵食していく。
「――『エンヘリャル』の連中ばかり警戒して、それで生き残れると思っていました?」
「なっ――!!」
汗に濡れたその耳に、凛と跳ねた軽やかな鈴声が響く。
男を驚かせたのは、それが普通ではない、横に座ったとき以上に近しい場所から聞こえてきたように感じられたからだ。そしてそれは勘違いでは決してない。純粋無垢な身体の正常反応だ。
「私達、『能力系』出身のプレイヤーを忘れてたでしょ? いけないんだぁ」
その言葉が響いた瞬間だった。虚空に一滴の絵具を落としたかのように、何もなかったはずの空間が急速に色彩を帯びていく。
男の視界の端、その目下。存在しないはずの至近距離から立ち上がったのは少女の貌。
炎の色を反射した微細な緑が、口元を皮肉気に歪ませながら、その手に伸びる刀身に色をつけ伸ばしていく。パックリ割れた男の心臓部へと――
「貴様、はぁ……!!」
「――パリに生まれし才女、ルーソーちゃんっすよ。私ら捕虜のこと、頭の中から吹っ飛ばしてくれてありがとうっす」
『Skyline Aethel Flux』。
倫理的制限の厳しい日本という国家において、MMSの搭載を許されたタイトルの一つである。
ゲームのルールは至ってシンプル。プレイヤーはシステムによってランダムに生成された固有能力を磨き上げ、MMS適応下のランクマッチにて勝利を重ねていく。
その実態は、個人の資質という運命を、最新鋭の演算システムによって戦果へと変換する、極めて純粋な能力格差バトル。インフレの激しさゆえにプレイヤー間の論争も激烈を極めた問題作であった。
「能力者ってのは、いつだって理不尽なもんなんすよ。ほら、五条なんちゃらとかエンリコなんちゃらとか。
常識の外から襲いかかってくるんで、まずは初撃を躱わすことが何より必要なサバイバルスキルなんですね。こんなふうに――」
手に握られた刃物が、更に奥へと突き刺さった。
レヴォシスの相貌が、繰り返し青に塗りつぶされる。
「――透明になって忍びよるやつだっているんすから」
男の身体が打ち崩れる。
『膝から』、なんて余裕もなく、揺られた板材のように、前方へと倒れていく。
男は刃物が抜き取られた胸をなんとか押さえて、左腰にある救急セットへの手を伸ばす。デバフ効果で震えるそれは、虚空を幾度もすり抜けるも、決して逃さないとでも言いたげにガシリと、小型のポーチを掴み取った。
「な、ぜ、そんなもの、を――!!」
「あぁ、これっすか? 透明になるの私だけじゃないんすよ。武器にも適応できちゃうんで。さっき没収して回ってましたが、あの時渡したのは二本あるうちの一本っす」
不条理。
男の敗北を表すなら、この言葉以上に最適なものはないだろう。
人間という生き物はしばしば、自身ではどうすることもできぬ運命を世界より押し付けられるものだ。
ある日、朝起きれば馬鹿デカい害虫になっていたかのように。見も知らぬ裁判にて、自身の功罪を審議されたかのように。これに似たどうしようもない不条理が、男の心臓を穿ったのだ。仕方ないものであり、男にミスを問うことは見当違いというものだろう。
「かッッッッ……! あっっ……!?」
音が、出ない。
空気が枯れていく。
身体から熱が奪われていく。
「まだ殺しませんから安心してください。心臓に直撃はさせてないし、あんたらダブウィル勢はそれで少しだけ回復できるでしょ」
言われるべくもなく、男は左腰からポーチをぶん取ると、中に入っているスプレー式の傷薬を取り出し、血で溢れている胸部へと何度も吹きかけた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……!!」
男の息が落ち着いていく。
血は傷口から流れ出るのをやめた。
瀕死直前の身体のまま、なんとか命を繋いだのだ。
「なぜ、いき、てる……!! 他の捕虜共は……!!」
「私だけ抜け出してきたんで知りませんよ。まぁあのテント見た感じ、衝撃で吹き飛びはしたけど生きてはいるでしょうね。ローラ……アーサーさんが抑えてくれたようですから」
「……いま、なんて言った」
「アーサーさんが抑えたんですよ、被害を。まぁここからじゃ煙のせいでよく見えないっすもんね」
「つまり、奴は……自分を犠牲に……??」
「なぁに言ってんすか。エンヘリャルのTOP層っすよ? 自身を傀儡に捧げなくとも、守りたいもんはちゃんと守れるんすよ。ほら」
ルーソーの眼が、煙の晴れかけた着弾点を見る。
男も従うようにして視点を移す。
黙々と晴れていく砂塵舞う光景。炎は未だ燻ってはいるものの、立ち入った者を絶命させるような必死の空間ではなくなっている。その真ん中、地中貫通弾がまさに着弾した破壊跡に――
「――笑えん。笑えんよこいつは。理不尽すぎる」
――アーサーが細長い剣を悠然と掲げ、こちらを見据えて睨んでいた。
身体には傷が一切見られない。
疲弊もしていないのか、脚を震えさせる素振りすら見せない。瞳には依然、意志の光が宿り輝いている。先程となんら変わらぬまま、そこに立っているのだ。
しかし、そこにはもう一つの輝きが。
――アーサーの頭上に展開された光の盾。
それは、本来なら盾と呼ぶにはあまりに巨大な、光の平面であった。地を穿つはずだった地中貫通爆弾のエネルギーを受け止め、四散させたその代償として、盾の表面には幾何学的な亀裂が走っている。
今にも砕け散りそうな硝子の如き危うさを孕みながらも、それは絶対的な守護の残滓として、黄金の光を放っていた。
もう疑うまでもない、地中貫通爆弾はこの盾に――『プリドゥエン』と呼ばれた一枚の巨大な盾に敗北したのだ。
「――『十二神話』、知ってます? アーサーというプレイヤーはメインウェポンである『聖剣エクスカリバー』の他に、様々な効果を持った一二本の剣を所有していたらしいっす。私もそこまで詳しくはありませんけども」
レヴォシスの顔から色が落ちる。
笑うことも、怒ることも、絶望することもない。
ただ現実が受け入れを強制してきたから、それに心が従ったまで。
強いて言うのであれば、無力。
バッティングセンターで遊んでいて、全力で見極め振り続けたのに、一五球全てを空振りし、ゲームが終わったときのような、そんな無力感。付き添ってくる悲しみ。
それらが遂に、男から戦意を奪い尽くしてしまった。
「うぅ、ぅぅうううううあ!!! なんでぇ……!!」
涙が溢れてくる。
己が矜持を、誇りを打ち破られた者の涙だ。
ここまでやってもかと、脳が悲鳴を上げている。
男の敗北はタイトルの敗北。
この戦いは、『FPSというジャンルはファンタジー勢には決して勝てない』という事実、その最終通告のように思えてならなかったのだ。
――――――――――――――――――――――――
「ごほっ、ごほ、ごほ!!」
砂塵舞い、灼熱が香る只中において、激しい咳を繰り返しなんとか立ち上がる姿があった。――ドリトンだ。
激しい戦いの末、旋風やら爆発やらで乱れた金髪がゆっくりと浮上していく。肩から胸にかけては血が流れ出ており、鈍く燻られた紅い鎧にも飛び散っていた。
ただ、全身は動かせるぐらいには回復したらしい。
よろめくこともなく、ドリトンは力強く大地を踏み締め、その横で――二発の流星を防ぎ切った男の姿を睨んだ。
「なぜ、助けた……」
アーサーはふぅ、と一息吐くと、左手に掴んだ武器――『プリドゥエン』へと魔力を流すのをやめた。
瞬間、頭上に貼られた光の盾は剣の先端へと吸い込まれていく。流動的な音を出しながら、その姿が完全に消えてしまうまで、プリドゥエンは高く掲げられていた。
「元同胞だろう?」
「今は敵だ」
アーサーは少し目線を下に下げる。
握られたプリドゥエンは瞬き一つの間に、もとよりそこに何もなかったかのようにふっと消えた。
こうして心配する物事がなくなったのであろう。
アーサーは右手に握っていたエクスカリバーを地面へと差し込み、その柄に両手を添えてドリトンと向かいあった。
「少なくとも、僕は敵じゃないと思ってる」
「綺麗事抜かすなよ。理想主義は今この世界で嫌われてる思想No.1に入るんだぜ」
「……」
アーサーはどこか、力無く目線を逸らした。
だが、意志の頑固さでいえばアーサーは負け知らずなのだ。再びきっとドリトンを睨み返し、こう言った。
「いいや、これは至って現実的だ」
「殺し合わずにユートピアな世界を作ろうってか? はっ、確かに現実的だ! エラスムスも抱腹絶倒だろうな!」
「待てよ、考えてみろドリトン」
アーサーは更なる眼力を以て彼を見つめる。
だが、そこにはどこか優しさの色があった。
「この世界にはボスモンスターがいるな?」
「……あぁ? まぁいるにはいるが」
「それがおかしいと思うんだ、僕は」
「……?」
「仮に殺し合いでしかゲームクリアがなされないなら、わざわざデータ量を食うボスモンスターなんて設置しない。いや、設置する意味がない。存在意義がないからな」
「……そりゃあ、娯楽にスパイスを加えるためだろ。お前は高級なステーキにソースをつけずに食べるのかい?」
「いいや、それはおかしいんだ」
アーサーは沈鬱な表情を携えながら、三ヶ月前の、あの男の言葉を思い出す。
『俺達だって明後日のために全てを捧げてきたんだ。
――やってやるさ、例え一生、牢の奥に繋がれることになったのだとしても』
(――あの言葉は、本当に一生牢に閉じ込められるほどの、この『Ethica』の惨劇を前提にしたものだったか? いや、それは違うはずだ――)
アーサーの瞳が、僅かに色彩を増す。
(リチャードには、プレイヤーへ寄り添う想いが確かにあった。そんな男が管理職をやれる会社が、本当に――)
『――俺達だって、何も人を不幸にしようってわけじゃなかったんだ』
「――きっと何か、裏があるんだ」
「裏もなにも、俺たちがその裏で戦って――」
「――企業や社会の裏じゃない。『Ethica』そのものに、何かしらの『裏』がある」
「――」
ドリトンの目が微かに開かれる。
納得できるはずもない。他者の言葉を自己に転写するほど難しいことはない。
しかしそのアーサーの言葉は――どこか力があり、希望を宿したその言葉は、ドリトンの熱せられた頭を冷やすには充分なものがあった。
「……それにだ、仮に『Ethica』そのものが運営の想定通りの代物だったのだとしても。外の連中が黙っているはずがない」
「……国連は機能していない」
「前提が変わった。僕らの命が賭けられた。現実世界では、まだ一ヶ月しか経ってないだろうが――待つ価値はあると、僕は思う」
「――なるほどねぇ……」
ドリトンは大きく溜息をつく。
それは呆れや疲れだけではない。もっと重く、それでいて積み重なった感情が、その一瞬には込められているように思えた。
「――俺は、生きたい。だからこそプレイヤーは殺していく。どんな手を使ってもな。この考え自体は、お前も否定してないんだろ?」
「――」
「お前のいいところだ。自身の価値観を押し付けない。こんな状況になったとしても、だ。――それに免じて、ひとまず殺しは控えてやる」
「……ッ! 本当か!?」
アーサーの表情から喜びが溢れた。
まるで信じていたよ、とでも言いたげな色付きだ。
ドリトンは若干狼狽えながらも、その返事に了承した。
「あぁ、本当だ。……俺だって好きでやってたわけじゃないからなぁ」
そう言うと、ドリトンは足元に落ちていた戦斧を軽やかに持ち上げ、左肩へと背負った。馴染ませるかのように、持ち手を力強く握り込んで。
「……話すことがあるだろうが、まずはあのクソオヤジをなんとかしてからだ。全く、まさか裏切ってくるとは」
「既知に長けた人間だ。部下からの信頼も厚いように見える」
「人心掌握は得意だそうだぜ」
二人の足取りが、レヴォシスが立っていた高地へと向けられる。どちらも戦闘中に居場所を確認していたのだ。意図は違ったものであったが。
「なぁアーサー」
「なんだい?」
「なぜここに潜入してきた?」
「そりゃあ拉致を止めるためさ。あの捕虜達も助けないとだったしね」
「……よく爆発範囲を抑えたな」
「プリドゥエンは衝撃を吸収するからね。ただもっと大型が来てたら危うかったかな」
「……」
「……」
「……なぁ、アーサー」
「なんだい?」
「なんで、捕虜を助けようと思った」
アーサーは困ったように笑って言った。
「――英雄だったら、こうしただろ?」




