仮面の魔術師様!感動の再会は案外あっさりしているようです!
「リリィ!」
魔力探索で見つけた場所は三階の寮室だった。
そこに向かうとリリィは口にハンカチを当ててあたりキョロキョロしていた。
シオンの声に反応して少し振り返る。
「お兄ちゃん。・・・ここ女子寮だよ?みんなから白い目で見られるんじゃなかったの?」
「言ってる場合か!!とりあえずここから出るぞ!」
「まって、今猫探してるの白い猫。」
リリィの言葉にシオンは呆れる。
「はあ?まさかその猫を探すためにここに残ったとか言わないよな?」
「そ、ついでに残ってる生徒も探せるし!一石二鳥だよね!ま、結局みんな避難してるっぽいけど。」
俺がどれだけ焦ってリリィを探したとおもってんだよ。
まったく。
シオンは呆れつつもリリィが元気そうなことに安心する。
「はあ、で、どうすんだ?」
「当然猫を見つけるまで帰れないでしょ!怖いならお兄ちゃんは先帰ってもいいよ!」
「なんのためにここまで来たと思ってんだ!帰る時は二人でだ。」
「!やっぱお兄ちゃんって過保護だね!」
リリィは火事場とは思えないほどの笑顔で笑う。
学園での綺麗な笑顔ではない。生意気な少女。リリィの笑顔だ。
そんなリリィに釣られてシオンも少し笑う。
「煙を吸うとよくない。今俺の周りには煙を防げる結界が張ってあるからあんまり離れるなよ。」
「うわーその結果も作ったの?」
「そうだけど・・うわーってなんだよ。」
「・・別に?」
「なんなんだよ。はあ、あ!それとこの煙には魔力が含まれてる。それも大量に。適度に魔力を放出した方がいい。」
「あーなるほどね。なんか調子悪いと思ったらそう言うこと。」
そう言ってリリィは詠唱を唱える。
魔法は詠唱をして魔法を使う。魔術を極めれば詠唱がなくても使えるようになるがそれができるものは数えるほどしかいない。シオンは使うことができるが、そっちが異常なだけでリリィが詠唱をするのはごくごく自然なことだ。
思ったより驚かないな。さすがリリィ・・って!
「おい!結界内で冷気を放出するな!」
「大丈夫だよ。凍らないくらいには調節してるから」
「火事場で寒い思いをするなんて聞いたことないって!」
シオンが腕をさすっているとリリィが突然走り出す。
「って!おい離れるなって!」
「さっきの猫がいた!ほら!」
そう言ってリリィが指した方向には確かに猫がいた。白い毛並みに赤い目のとても綺麗な猫だ。
猫は驚いたのか逃げるように走り出す。
それをリリィが捕まえようと追いかけたその時!
「!危ない!」
リリィの腕を掴んで引っ張る。
「お兄ちゃんなに・・」
リリィが文句を言おうとするとさっきリリィのいた場所に瓦礫が落ちてきた。
それだけでは終わらず戻ろうとするとそこにも瓦礫が落ちてきた。
そして!
「「!?」」
シオンたちの真上から瓦礫がおちてくる。