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仮面の魔術師様!妹は優等生のようです!

文書の変更をしました。

第一話で学費が月、金貨一枚という設定がありましたが、よくよく考えたら「流石に高すぎじゃね?」と思いましたので、月に金貨一枚ではなく、年に金貨一枚に変更いたしました。

大幅な変更ですがご理解いただけると幸いです。

初日ということもあり授業はすぐに終わった。

カイトと帰る用意をしつつ、ずっと気になってた事を聞いてみる。


「なあ、俺の妹、リリィ・フェルグレイルは何かやらかしたのか?何をしたらあそこまで騒がれるんだ?」


「え!知らないのな!?リリィ・フェルグレイルは入学試験で筆記、魔力操作、魔力量!全てこの学園の最高記録を更新したんだ!」


え?何それ?初耳?


困惑顔でカイトを見ているとカイトも不思議そうにシオンを見る。


「え?兄妹だよな?聞いてないのか?」


「うん、合格したとしか言ってなかった。」


実はリリィの奴チラシを見せてきた時にはすでに試験を合格していたのである。

よほどシオンを言いくるめる自信があったのだろう。


・・・これは後で問い詰めなければ。


「ふーん。そんな事もあるんだな。噂だと魔力操作でうさぎを作ったとか!入学早々"優等生"になったってのも頷けるよな!」


"優等生"それはこの学園である程度の実績を積んだものがなれるという。

ここ、王立魔導学園では数えるほどしかいない。

"優等生"になったものは特別授業を受けれたり色々優遇される。


さすがリリィだなーと関心していると男子生徒が3人近寄ってきた。


「よう!俺は男爵家長男、カウル・ファラメオスだ!編入生!あんまちょーしのんじゃねーぞ!」


その中のリーダーっぽいやつが絡んできた。


え?なに?急に?何かした?俺?

あと、こいつら本当に15歳?完全に絡み方が子供のそれなんだけど。


シオンがだいぶ失礼な事を考えていると、後ろの二人も口をひらく。


「優等生と兄妹だからって平民な事には変わりない!それを忘れるな!」


「この!女顔!」


最後のやつは締めてやりたくなった。


まあ、調子に乗ったつもりはないが、確かに俺は平民だし、絡まれるのは仕方がないのかもしれない。

だが、女の子みたいと言われるのはちょっと許せない。


ちょっと反論しようか迷っていると、横にいるカイトが不思議そうに口を挟む。


「?シオンは男だよ?さっきも言ってたじゃん!」


「「「「・・・」」」」


うん、カイト多分そういう事じゃない。

絶対わかってて言ってる。

みんながみんなカイトみたいに純粋じゃないのだ。


シオンたちが無言で沈黙いると、教室の扉が外から開く。


その瞬間、教室の空気がふっと張り詰めた。


入ってきたのは、この学園で“優等生”と称される少女——


可愛らしいピンクパープルの髪に軽やかなリボン。宝石のような瞳を持つ、完璧なる令嬢。


リリィ・フェルグレイルだった。



「あら、ご機嫌よう。少々宜しいでしょうか?お兄様。少しお話ししたくございます。」


リリィはカウル達に一礼してからそう話しかけてきた。


・・・どこで覚えたのやら。家との差がすごいな。


「あぁ、わかった。ちょっと席を外してもいいだろうか?」


カイトだけならよかったのだが、さっきまで絡んできたカウルがいる。

また、絡んできたらどうしようかと悩んでいると、予想に反してカウルはすんなり答える。


「どっ、どうぞ!」


以外な反応に驚きつつリリィと共に教室をでる。

その後ろにいるカウルの顔はほんのり赤くなっていた。



廊下の角を曲がったところでリリィは足を止める。


「よかったね。お兄ちゃん!友達がたくさんできたみたいで!」


リリィはいつもの生意気な口調にもどし、揶揄い混じりにいってくる。


「あの3人組は絡んできただけだけどな。それで、話ってなんだ?」


シオンが話を切り出すとリリィは肩をすくめてこたえる。


「いやー!2年生に女の子見たいな男子生徒が編入生してきたって話題になってたから。お兄ちゃんが泣いてないか心配してきてみたけど大丈夫そうだね!」


全く心配してない口調でリリィはそう言ってくる。

なんならニヤニヤしながらこっちをみている。


そんなリリィを少し恨めしげに睨んでいると「あ!そうそう」と何なら思い出したように呟く。


「実はお兄ちゃんの部屋の魔道具が誤作動を起こしたっぽくて安全確認に少なくて一日かかるらしいよ。」


はあ!?と叫びそうになるのを慌てて抑える。


え?誤作動?どうしたらいいの!というか、絶対こっちが本命でしょ!よりによって今思い出したって顔かよ!?


「まあ、特別に小銀貨一枚で泊めてあげてもいいよ!」


何ちゃっかり稼ごうとしてんだよ。

あと、割と高いな。おい。


「いや、いいよ。流石に俺が女子寮に入ったらみんなから白い目で見られる。」


「・・・」


「ありがとう。ちょっと考えてみるよ。」


そう言ってから教室に戻る。


さて、どうしたものかな。


シオンが部屋をどうしようかと悩みながら教室に入るとクラスメイトが一気に近寄ってきた。


「なあ!あれがお前の妹のリリィ様か!?めっちゃ可愛いじゃん!」


「すごい!本当に兄妹だったなんて!」


「なあ!リリィ様って何が好きなんだ!?」


「あ、えっと、その。」


シオンがオロオロしていると、以外な救世主が現れた。


「おい。その辺にしとけ!もう下校時間だ!」


救世主、カウルがみんなを宥めると集まっていた人たちは残念そうに去っていく。


「あ、えっと、ありがとう。」


「今度リリィ様を紹介しろ!それでチャラにする!」


シオンが素直にお礼をいうと、カウルは少し顔を赤らめながら、そう言って去っていく。


・・こいつもか。リリィのカリスマ・・すごいな。


少しため息をつきつつ、教科書をカバンに入れていく。

すると、カイトが話かけてきた。


「そういえば、なんの話してたんだ?」


「ん?ああ、俺の部屋にある魔導具が誤作動を起こして今日は使えないんだ。」


「えぇ!?大丈夫なのか!?」


「いま、考え中だよ。はあ。」


カイトの言葉に再びため息をつくとカイトは何やら考える仕草をする。


「うーん。大変だな。あ!シオンさえ良ければ俺の部屋に泊まるか?」


「え!いいのか!?・・お金取らないよな?」


「んなことするわけないだろ!俺たち友達なんだからさ!」


カイトの言葉にシオンは感動する。


やっぱりいいやつだ!どこかのお金を取ってこようとしてきた奴とは違う!



その晩〜


「でさ!仮面の魔術師って──どう思う?」


カイトが目を輝かせて聞いてきた時、シオンは人生で初めて「壁になりたい」と思った。

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