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このゲーム、君に届けたい  作者: 天月瞳
六作目『異星の下:ラ=ライエの召喚』
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間奏

結局、二人は絢音の家には行かず、近くの公園でひと休みすることになった。

砂場では小学生たちが元気に遊んでいて、絢音はブランコに空きを見つけると、ぱっと顔を輝かせて駆け寄った。


「やった、ブランコ空いてる!」

瞳もつられて微笑み、隣の席に腰を下ろす。

制服姿の二人が並んでブランコに座り、ポニーテールの少女は軽く前後に揺れて、少年はその様子を優しい目で見つめていた。


「ブランコなんて、ほんと久しぶり」

「だな。でもあんまり漕ぎすぎるなよ。スカートなんだから」

瞳が注意を促す。

「大丈夫だって」

絢音は気にも留めず、何度か揺れたあと、ふいに口を開いた。


「ねえ、ニナちゃん……いや、西村ちゃんか。あの子と仲いい?」


絢音の乙女センサーは、弥紗を見た瞬間に反応していた。

前に録音で会ったときも、二人の間にただならぬ雰囲気を感じた。あのときはむしろ敵意に近かったが……今は違う。

弥紗の瞳に宿る光は、まるで自分が瞳を見るときと同じ色をしていた。


「もし、前みたいに俺をクズ扱いしてた頃と比べるなら……まあ、だいぶマシになったな」


苦笑まじりにそう答える瞳。

「そっか、そんなこともあったね」


「笑うなよ、弥紗は結衣の親友だからな。誤解が解けた今じゃ、兄貴みたいな存在ってとこだろ」


瞳の横顔をじっと見つめながら、絢音は彼が本当に気づいていないことを確認し、こっそり胸を撫で下ろした。

「……そうなんだ」


「最近、なんか面白そうな映画ある?」

瞳は空を見上げて、そう聞いた。

「外国のホラー映画がそろそろ公開されるらしいよ。結構怖いやつ」

絢音は目を輝かせる。

「ホラーか。ああ、あれか。俺もちょっと気になってた」

「ほんと!? 一緒に行こうよ!」

「いいよ。公開日調べて、また時間を決めよう」

「やった!」

嬉しそうにブランコを大きく揺らす絢音。

「おいおい、危ないぞ」

「へーきへーき!」


勢いよく漕いだあと、そのまま前に飛び出した絢音は、軽やかに着地。


「百点満点の着地……ッ!」

ふわりと舞い上がったスカートを慌てて押さえ、真っ赤になって振り返る。


瞳は慌てて視線を逸らしたが、心臓の鼓動は隠せなかった。


「……見た?」

「えっ……」

瞳は一瞬ためらい、しどろもどろに答えた。

「み、見てないよ……」

「嘘」

ぷいっと前を向いて歩き出す絢音。

「いや、あれは俺のせいじゃ――」

慌てて追いかける瞳。

「じゃあ、やっぱり見たんだ」

「……ごめん」

「スケベ」

絢音は舌を出し、悪戯っぽく笑ってみせる。

「だから言っただろ? 気をつけろって」

「関係ないもん! 責任取ってよ」

「はいはい、どうすればいいんだ?」

「んー……映画に行くときのポップコーン、奢りね」

「承知しました、お嬢様。よろこんで奢らせていただきます」


二人の笑い声が、夕暮れの公園にいつまでも響いていた。


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