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このゲーム、君に届けたい  作者: 天月瞳
一作目『エンドレス・エクスペディション』

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配信と確信

実況配信の当日、瞳は少し緊張しながら配信を見ていた。


「みなさん、こん琉璃~、鈴宮琉璃です!」


:こん琉璃~

:待ってた!

:今日も可愛い〜


これまでの琉璃の配信を全部見ていた瞳は、自然とコメントを打っていた。


「今日プレイするのはこちら!インディーゲームスタジオ『瞳中の景』さんの新作、『エンドレス・エクスペディション』です!ローグライク系のカードゲームみたいですね~」


:知らない会社だ

:インディーズ?


コメント欄には、初見のリスナーたちがざわざわと期待を寄せていた。



琉璃が「ゲーム開始」をクリックすると、まず画面に現れたのは『瞳中の景』のロゴだった。


:猫ちゃんかわいい

:ネコちゃん、逃げて〜!


「猫ちゃん、かわいい〜!」

テンション高めの声で琉璃が叫び、その後、演出の感想を口にした。


「この演出、ちょっとホラーゲームっぽい雰囲気があるね。私は結構好きかも」


それを見た瞬間、瞳の口元に、思わず微笑みが浮かんだ。

自分の知っている"あの人"も猫を飼っていて、猫とじゃれ合っている時に出す声、似ているどころか、まったく同じだった。


「種族がいっぱいある……うん、決めた!ドラゴンにする!」


少し考え込んだあと、琉璃はドラゴン族のアイコンをクリックし、その中から白竜を選択。

そしてプレイヤー名に「鈴宮琉璃」と入力した。


:画風が綺麗だね

:いろいろ選べるね


そのコメントを見て、瞳はつい口元を緩めてしまう。

自分のこだわりが伝わったことが、何より嬉しかった。


「次に装備と道具とスキルを選べるんだね。白竜なら、もちろん氷魔法!それにブレスを強化する装備と、回復系のアイテムでしょ」


琉璃はそう言いながら慎重に選択を進め、ゲームが本格的に始まった。

最初のステージとして、彼女は「人間の国」を選んだ。



:人間の国に侵攻するドラゴンかよw

:やばい、逃げろ〜!鈴宮ドラゴンが来たぞ!


「わはは!姫をよこせ〜!」


琉璃はノリノリで、ドラゴンの鳴き声まで真似してみせた。


最初に登場する敵はチュートリアル用の「門番兵」たち。

一人は剣を持ち、もう一人は槍を構えている。


門番兵(剣)HP:8 門番兵(槍)HP:8


手札には「竜爪斬」「ブレス」「ブレス」「竜紋の護符」「防御結界」が並ぶ。


「ええと、まずはブレスで様子見……おお、さすがドラゴン、一撃で倒れた!」


:強すぎ!?

:門番兵:「やるのか……??俺が白竜を……!?」


ドラゴン族は人間族よりもステータスとエネルギーがはるかに高く、琉璃は進行中も攻撃力を強化するアビリティをどんどん選んでいった。

特にブレスは全体攻撃で、エリートモンスターやボス以外の雑魚敵は、ほとんどが1ターン目で倒されてしまった。


第二のステージは「精霊の森」。今回は敵として精霊や森の魔物たちが登場します。


「精霊かあ、敵なのに見た目はめっちゃ可愛いね」

琉璃はそう言いつつも、攻撃の手は全く緩めない。


:確かに可愛い

:第2話 悪竜に蹂躙された精霊の森


「悪竜鈴宮は本当に強いんだから!」

自信満々に進んでいく琉璃。

「うわっ、危なっ! なんで精霊の森のクマ、こんなに強いの!?」


:クマに倒されかけたドラゴンw

:だいたいのゲームでクマはめちゃ強いし、現実でもそうだよね


第二ステージのボスは巨大な精霊神樹だったが、無情にも悪竜の炎に焼き尽くされる。

「なんか鈴宮が悪いことしてる気がしてきた……」

琉璃は少し罪悪感を覚えながらつぶやいた。


こうして次々とステージを突破していく琉璃。苦戦する場面はほとんどなかった。

「鈴宮、強くなりすぎたかも」


しかし、最終ボスとの戦いで、状況は一変した。

攻撃特化で突き進んできた琉璃に対し、ボスは「弱体化」に特化したスキルで応戦してきたのだ。

本来なら百近く与えられるはずのダメージは、一桁にまで落とされ、じわじわと削られて敗北――完全に追い詰められていた


「なにこれ、鈴宮の攻撃が!?」



:あれはズルすぎでしょw

:鈴宮よ、卑怯とは言うまいな




「悔しいっ!もう一回!」


琉璃は再び白竜を選び、今度は能力の構成を真剣に考えた。

氷魔法による遅延効果と、ブレスの威力を強化する方向でデッキを組み直す。


そして――

ついに、琉璃はボスを打ち倒すことに成功した。


「やったー!」


:クリアおめでとう!

:結構面白そうなゲームだな

:自分もやりたくなってきた~


「クリアおめでとう、ありがと~!このゲーム、ほんとに面白かった~。気になった人は、ぜひ遊んでみてね!

あっ、もうこんな時間!?じゃあ今日はこのへんで!おつ琉璃~、またね~!」


:おつ琉璃~

:楽しかった!またね~


リスナーたちの好反応を見て、瞳はこれがうまくいきそうだと感じた。

そして、その予感は見事に的中した。あれから多くの配信者がゲームを実況し、ゲームは爆発的に売れ始めた。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

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