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このゲーム、君に届けたい  作者: 天月瞳
番外編『狐の巫女』DLC

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【晴香】なに!?DLCだと!?

浅海晴香は自分の部屋で、パソコンの前に座り配信プラットフォームを開いた。

このチャンネルは晴香がずっと前に開設したもので、最初はイラストの制作過程を載せるだけだった。

宣伝の一つの方法としてボチボチとやってます。

時々は配信でお絵描きをしながら雑談するようにもなった。

もしかしたら、視聴者が絵師という職業に興味を持っていたのかもしれない。予想以上に登録者は多かった。

時が経つにつれ、晴香は気分が乗ったときにはゲーム配信まで始めるようになった。

ゲームの腕前は決して上手いとは言えないが、それでも多くの視聴者に支持された。


そうした経緯もあり、晴香は「自分用のVTuberの姿を作りたい」と思うようになった。


ちょうど配信を始めようとしたとき、今日は長谷川君と一緒に作った『狐の巫女と天気雨』をプレイする予定だった。


それが原因か、図書館で長谷川君を思い出してしまい、晴香の頬にうすら紅潮が浮かんだ。

「もう、本当に絢音の幼なじみは危険すぎるわ」

晴香はこれまで異性から褒められたり言い寄られたりすることが多く、普段ならこういう言葉にある程度は免疫があるはずだった。


だが、あの時の長谷川君の表情はあまりにも真剣で、下心に満ちた他の人たちとはまったく違っていた。

「だめだめ、長谷川君は絢音のなんだから。それ以上は考えちゃダメ」



『狐の巫女と天気雨』が発売されたとき、瞳が晴香にお礼として一本プレゼントしてくれた。


主人公の声を担当したのは、彼女にとっての「娘」である鈴宮琉璃。

だから晴香はそれを受け取ってすぐにゲームをクリアし。

そして、巫女さんの魅力にすっかりハマってしまった。


「仕方ないよね、白禾ちゃんは本当に可愛すぎるんだもの」

巫女の愛らしさを思い出し、晴香はうっとりと微笑んだ。


それから心の中で『狐の巫女と天気雨』を、自分の大好きなゲームランキングの堂々一位に置いた。

一番好きなゲームにDLCが追加されたと知った晴香は、迷うことなく購入したのだった。


「みなさんこんばんは〜、鈴宮あさみです」

晴香は挨拶をして配信を開始した、今の挨拶と名字はほぼう鈴宮琉璃を参考にしている。


:いきなり配信だ

:こんばんは〜

:まさかのゲーム配信!最高!


「そうなの、今日はちょっとゲームをやろうと思って」

晴香の配信はゲーム画面だけ。多くのゲーム実況者がこのスタイルだが、

人気を集め、より効果的に宣伝するためには、やはり最新の流行――つまりVTuberになることを考えたのだ。


「今日は『狐の巫女と天気雨』の新しいDLC、どんな内容か見ていきたいと思います」


:きたあああああああ!!

:DLC出てたの知らなかった!情報助かる

:神ゲーに追加要素とか最高かよ

:課金の時間だぞお前らww



晴香はゲームを起動し、DLCの内容を確認し始めた。

「えっと……写真モードが追加されてる」

「わっ、白禾ちゃんだけじゃなくて、ゲームに登場したキャラクター全部選べるんだ!」

主要キャラだけでなく、怪異や雑魚妖怪まで選択可能。


「背景も選べるし、最大五人まで同時に配置できる。それに主要キャラには新しい衣装まで!」

晴香の目が輝いた。主人公の白禾には、定番の巫女服に加えて学生服、ゴスロリ服、ワンピースが追加されていた。


:かわいい!

:猫店長のも見たい!

:全員撮れるのやばすぎる

:黙れ、俺の金持ってけ!


(このワンピース……なんだか絢音ちゃんが着てた気がする……?)

どこか見覚えがある衣装に、晴香はつい口元を緩めた。

「まさか、これって長谷川君の趣味? 知られざる公然の愛の告白……甘甘すぎるでしょ」

よくわからない精神的ダメージを受けつつ、でも直接言えない晴香は少しもどかしかった。


「うわ、この制服も可愛い!しかも動作や台詞まで選べるの!?」

台詞は既存のものだけだったが、それでも晴香は大満足。

スクリーンショットを撮る手が止まらず、次々とインスピレーションが湧いてきた。


キャラを選んで撮影するだけで、気がつけば一時間が経過していた。


「はぁはぁ、この撮影モード……中毒性ありすぎ、危険だわ」


息を切らせながら、晴香はなんとか意志の力で撮影モードを抜け出した。


「えっと……他にも新キャラルートが追加されてるみたい。えっ、灰と雪のルート!? 最高じゃない!」

ゲームに登場した狼と狽の姉妹、灰色のジャケットを着た姉の灰と、車椅子に座った妹の雪。

二人は少数の人型キャラクターで、可愛い外見もあってプレイヤーから人気が高かった。



:公式ありがとう!神DLC!!

:推しが報われる瞬間を見届けるぞ

:あさみちゃんの反応がかわいすぎる


しかし初期のゲームでは、白禾のルートしかなく、攻略できないことを晴香は残念に思っていた。

だが今は違う。二人とも攻略対象となり、それぞれの専用ストーリーまで追加されているのだ。


「よし!じゃあ、誰から始めようか」


:灰さんで!

:雪ちゃん一択

:いや両方やるしかないでしょ

:完走するまで寝れまてん配信だな




ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

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