【絢音】謝罪会見ッ!と少し雑談
病気が治ってすぐに、絢音は鈴宮琉璃として謝罪の配信を行った。
背景には、よくある「スーツ姿の男性3人が頭を下げている」謝罪用のフリー素材が使われていて、
その中央に立っているのは、白いワンピースに桜色のショールを羽織った清楚な美少女、鈴宮琉璃だった。
彼女は申し訳なさそうに画面を見つめている。
「ご心配をおかけしました、ほんとにごめんなさい」
:おかえり~
:元気になってよかった
:今はもう大丈夫?
「ただいま~はい、今はもうすっかり元気になりましたよ。皆さんが心配してくれて、ありがとうございます」
絢音は状況の説明を始めた。
「まだご存じない方のために簡単に説明しますと、前回の配信の最後に、少しだけ意識を失ってしまいました」
:マジで?それヤバくない?
:気絶!?
:じゃあ配信を切ったのはお母さん?
「いえ、あれは友達が手伝ってくれました。そして次の日に病院に行ったら、熱が38度ありまして、歩くのもしんどいくらいで、その場で点滴を打って、解熱剤を飲んでから帰宅しました」
絢音は「友達」とごまかしつつ、説明を続けた。
:38度!?
:高熱じゃん
:どうりで様子おかしかったわけだ
:友達?
「うん、気づいてた視聴者の方も多かったと思いますけど、最後まではなんとか持つと思って続けてたんです。
でも最後は気絶しちゃって……」
絢音はコメントを読みながら、心の中で申し訳なさを感じていた。
:ゲームクリアして安心しちゃったんだね
:わかる~
:自分もレポート書き終えて気絶したことある
「レポート書き終えて気絶って、それも相当危ないよ」
:いや、それは琉璃ちゃんに言われたくないw
:学生の夜更かし、いつものことだ
:締切前のレポート地獄、あるある
:あるあるw
「そうなんだ……。とにかく、今後はもっと気をつけて、みんなに心配をかけないようにしますね」
:了解
:身体を大事にね、無理しないで~
「それじゃあ、ここからはちょっと雑談タイムにしましょう。まずは前回の【記憶墜落】の感想から」
絢音は話題を切り替え、前回の配信で話しそびれたゲームについて語り始めた。
:あのゲームの雰囲気、けっこう好きだったな~
:ストーリーはちょっと難しかった
:キャラはよかったね
「うん、正直、私もよく分かってなかったんだけど、
こういう考察系のゲームって、考えれば考えるほど面白くなってくるよね」
絢音はそう言いながら、心の中で(瞳って、本当にあれを全部自分で考えたの?頭の中、どうなってるの……)とこっそり疑問に思っていた。
:確かに
:ネットでたくさん考察動画上がってたよ
:主人公は博士じゃなくて、実はAI説もあるとか
「主人公が博士じゃないって?へーそんなの?
でも全体的にすごく楽しかったよ。落下するシーンごとに演出が違ってて、けっこう衝撃的だったな~」
絢音は以前のシーンを思い出しながら、特に印象に残った場面について語った。
「今度時間があったら、他の人の考察も見てみようかな。
それから、次のゲームについてだけど──」
絢音は視聴者にいくつかゲームのおすすめを聞いてみた。
その多くは、すでに『やりたいリスト』に入っていたタイトルだった。
知らなかったタイトルについても、後でチェックする予定。
絢音自身、ゲームを探す過程がとても好き。
新しいゲームとの出会いや、昔遊んだゲームを見つけた時は、いつも嬉しくなるのだ。
その後は、最近流行っている話題について雑談を続けた。
たとえば、最近観た映画や、読んだ漫画についてなど。
「うん、漫画だったら、最近読んだのは、小柄な男の子が主人公で、
大きな女の子がヒロインの恋愛漫画。けっこう良かったよ」
:意外~、琉璃ちゃんって恋愛漫画も読むんだ
:バトルとか冒険系しか読まないタイプかとw
:趣味が少年っぽい琉璃ちゃんがまさかの!?
:その漫画、自分も読んだ!けっこう面白かったよ!
「ははっ、よく『趣味が男の子っぽい』って言われるけど、恋愛漫画だってちゃんと読むんだからね!」
琉璃は笑いながら画面の端の時計に目をやった。
「うん、そろそろお時間ですね。今日はこのへんで、おつるり~!」
:おつるり~!今日も最高だった!
:体調には気をつけてね、またね~
:お大事に、おつ~!
配信が終わり、画面が切り替わると、部屋には静けさが戻った。
絢音は椅子にもたれ、ふぅっと小さく息を吐いた。
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