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このゲーム、君に届けたい  作者: 天月瞳
四作目『狐の巫女と天気雨』

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【絢音】これは浮気じゃない!信じて!

白禾の仮面を借りたことで、佑真は霊力を使うスキルを手に入れ、雑魚敵を倒すのは朝飯前になった。

ゲームで戦えるようになってから、絢音は水を得た魚のように、ほぼ毎日戦いに出かけるようになった。


「白禾ちゃんに会いたいよ~白禾ちゃん~」

絢音は嘆いていた。

神社はしばらく閉まっており、巫女さんに会おうとするたびに『現在は療養中』と表示されていたのだった。


:早く元気になりますように

:ああ、白禾ちゃん……



寂しさを感じつつ、絢音は仕方なく他の場所の探索に向かうことにした。




ある日、街で車椅子に座った少女に出会った。


車椅子に座った少女が、自動販売機を指さした。

少女の髪は雪のように白く、肩まで伸びていた。

華奢な体はどこかに儚い雰囲気が漂う。


「あら、かわいい子」

絢音の目が輝いた。



:おっと?浮気ですか?

:かわいい

;琉璃ちゃん?


「ちがうちがう!浮気じゃないもん!ちょっと話するだけよ!」

絢音は慌てて弁解する。


車椅子に座った少女「すみません、あの階段を登りたいんですけど、少し手伝ってもらえますか?」


彼女に、自動販売機まで階段を登るのを手伝ってほしいと頼まれた。






「あ、ニナちゃんの声だ!へーかわいい子だね」

絢音は声で気づいた。



:本当だ、ニナちゃんの声だ!

:話をそらしたね?

:かわいい



画面に二つの選択肢が表示された。


【手伝う】(好感度 +3)【手伝わない】(好感度 -1)



「ここは当然【手伝う】だろう」


絢音は即決で選択肢をタップした。



佑真「もちろんいいよ」

佑真は車椅子を車椅子を押す。真っ先に感じたのは、『軽い』ということだった。


自動販売機まで階段を登ったあと、

車椅子に座った少女「ありがとうございます」




???「雪、帰ったぞ。……ん?なんだ、この人間?なに、手伝ってくれたのか?」




灰色のジャケットを着た若い女性は、祐真をじろりと睨み、ふんと鼻を鳴らした。

そしてポケットから何かを取り出し、祐真に放り投げた。


「それ、お礼だ!」




「新キャラもかわいいね」


:また目を移したw

:浮気はだめよ



「だから、違うって」


(でも、瞳が好きなタイプはどっちなんだろう?)

絢音はそんな考えが頭に過った。



車椅子に座った少女「あ、申し遅れました、わたくしは雪とお申します。ほう、お姉ちゃんも」

灰色のジャケットを着た若い女性「えぇ、俺も?はいはい、わかったから、そんな目で見ないで」

灰色のジャケットを着た若い女性「俺は灰。見た通り、狼だ」




今回出会ったのは「狼狽姉妹ろうばいしまい」。


灰狼の姉と、白い狽の妹だ。


その後、不定期でこの姉妹に遭遇するようになり、手助けするたびに何かしらの見返りがもらえる。





次にあった怪談は「犬神いぬがみ」。


夕陽が赤く空を染める中、突如ショッピングモールの屋上に現れたのは、巨大な黒い犬。


黒い犬は佑真を見下ろす。




犬神「我は犬神。我が仲間たちはあそこで迷子になった。見ての通り、吾はこの姿。騒ぎを起こしたくないから、手伝ってくれるか?」


低く響く声とともに、犬神は穏やかながらも威圧感のある眼差しを向けてきた。






【手伝う】(好感度 +3)【断る】(好感度 -1)




「ワンちゃんかわいい!モフモフ!」

絢音の目が星のように輝いた。テンションは限界を超えていた。

絢音は一秒も迷わず、【手伝う】をタップした。




:即決w

:かわいい?

:でっか!




仲間の犬たちがショッピングモールで迷子になったと説明し、捜索を頼んできた。

これはいわば「かくれんぼ」ゲームで、可愛いワンちゃんをあちこち探し回ることになる。




怪談を一つ解決するごとにアイテムが手に入り、それを猫の店長と交換することでゲームの難易度を下げることが可能だ。

猫店長「新しいアイテムが入荷したニャ。見ていくニャ?」


【買う】 【話す】 【プレゼントする】





また、猫の店長からは仲間との親密度を上げるためのプレゼントも購入できる。


そして、すべての怪談から必ず1本手に入る「キャットニップ」は、猫の店長専用の好感度アップアイテムである。


【プレゼントする】を選ぶと、




猫店長「にゃにゃっ!これはキャットニップ!?くれるのニャ?ありがとニャ~!」

猫店長は大喜びしながら、キャットニップを受け取った。




怪談を解決しながら、金を稼ぐ。


そして猫店長に会いに行く。




ある夜。


「あれ?店長、今日いないの?」

絢音は首を傾げた。いつも店にいる猫の店長はいない。




:珍しいね

:どこに行ったのか?




「いないなら仕方ない、あら?」

絢音は仕方なくほかの所に行こうとするとき、マップに「???」のアイコンを出た。


「お?行ってみるか」


絢音は「???」を押した。




そこには、チャイナドレスを身にまとった若い女性が、屋根の上で月を眺めていた。




「綺麗なお姉ちゃんだ!」


絢音は大きな声で叫んだ。




:あれ?この服はどこかに見たことあるぞ


:まさかね




???「おや?人間さんじゃないか、あぁ、すみません、店を放置した」




佑真「「えっ、その声……店長さん?」」




猫店長「あぁ、この姿は初めで?」

屋根から、彼女が軽く飛び降りた。


猫店長「せっかくの縁だし、自己紹介するニャ。吾輩の名前は白石 千。白石さんでも、千ちゃんでも、好きな方でどうぞニャ。」




佑真「白石さん、月を見てるの?」


白石「そうニャ。……今日は、月がとっても綺麗だから」




:おっと?

:これ、告白じゃね?




「え、ちょっ、いきなりそんな……! わたし、白禾ちゃんいるのに〜」


絢音は顔を赤らめながら、照れた声で言った。



「くっ!みんなかわいい!、でもあたしには白禾がー!」

他のキャラたちの誘惑に、もうそろそろ絢音の心が揺らぎそうになったその時――

風が、そっと画面を撫でた。


木々の隙間から、見慣れた巫女装束がゆっくりと現れる。


白禾「……やっと、会えたね」


白禾が、療養から回復して帰ってきたのだった。



:きたああああ!

:本命帰還!!

:修羅場くる?

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

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