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このゲーム、君に届けたい  作者: 天月瞳
四作目『狐の巫女と天気雨』

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【絢音】このゲーム、戦闘もあるのか!

「えへへ、巫女さんかわいい~」

絢音はすでに白禾の声が自分と同じであることも気にせず、物語にどっぷりと浸っていた。


『少年』を解決した後、ようやくわかったのは、小判以外にも、昼間に自宅で家事を手伝えば現金がもらえて、商店街でプレゼントを買えるということだった。



前回、白禾と「一緒にゲームをやろう」と約束していた佑真は、ゲーム機を持ってきていた。

白禾「来たのね」

今回の巫女さんは最初からお面をつけておらず、素顔をさらしていた。



白禾「これが現世で流行っているゲームなの?」

白禾は佑真の手にあるゲーム機を興味深そうに見つめる。



佑真「流行ってるかはわからないけど、私はこのゲーム結構好きだよ」

そう言いながら佑真はゲームを起動し、『エンドレス・エクスペディション』のタイトル画面が表示された。




「宣伝うまいなぁ」

絢音が笑いながら言った。




:宣伝助かる

:良いゲームだよね

ニナ:このゲーム大好き~




ニナの登場に、リスナー達のチャット欄が盛り上がった。



:ニナちゃんだ!こんばんは~

:ニナちゃんこんるり~



「ニナ、こんばんは、ようこそ~」

絢音は後輩の名前を見つけ、声をかけた。




ニナ:こんばんは、琉璃先輩



白禾「わあ、いっぱい選べる!これは?これはなに?」

巫女さんが興奮気味に質問する。




佑真「これは種族だよ。ほら、好きなの選んでいいよ」



白禾「うーん……じゃあドラゴン族にしよう。現世ではあまりドラゴンって見ないけど、せめてゲームの中で見てみたいな」

そう言って、白禾は迷いなく白いドラゴンを選んだ。




「ん?」

絢音は一種のデジャヴを感じた。



白禾「属性?よくわからないけど、とりあえず氷にしてみるね」



絢音はまさか自分の昔の配信内容が、そのままゲームに使われているとは思っていなかった。


(瞳のやつ、こんな話聞いてないよ!)




ニナ:琉璃先輩の話がゲームに使われてて、羨ましい~


:やっぱり琉璃ちゃんの配信が元ネタなのか


:作者やるな~




「これはちょっと恥ずかしいな……」

やはり、ゲームの中でもあのときの失敗が再現され、ラスボスに敗北する展開に。




白禾「もう一回!もう一回!」


:琉璃ちゃんの反応と全く同じだw

:かわいいw



絢音は羞恥心と、うまく言葉にできない、どこか嬉しさにも似た感情を抑えながら、主人公と白禾が一緒にゲームを楽しむ物語を締めくくった。



場面は夜へと移る。

地図上には新たな【???】という地点が現れた。

絢音がその場所をクリックすると、そこは無数の無縁仏が埋められた、荒れ果てた墓地だった。



:墓地って怖すぎる……

:夜はもちろん、朝でも無理でしょこれ……主人公たちメンタル強すぎ!



「「「こんばんは~」」」

それはフードを被った存在で、フードの下の顔は、少年、少女、男の子、女の子と次々に姿を変えていった。


白禾「あれは応声おうせい、若くして亡くなった子供たちの化身だよ」



佑真「じゃあ、『少年』と似てるんじゃない?」

白禾「いや、応声はとても危険な存在だよ。絶対に気を抜いちゃだめ」


彼らは佑真と白禾を見つめ、声を揃えてこう言った。


「「「一緒に遊ぼう。正解したら君たちの勝ち、間違えたら、我々の一部になれ!」」」




「言い方が怖すぎるけど……まあ、やるしかないか!」


彼らはさまざまな声で“かごめ”を歌いながら、祐真と白禾の周りをくるくると回った。

声が混ざり合い、不気味な輪唱となって響いた。




「かごめかごめ~

籠の中の鳥は~

いついつ出やる~

夜明けの晩に~

鶴と亀が滑った~」


「後ろの正面だあれ?」


「ここは天川社の皆が一緒に収録したやつか。なるほど、こういう使い方なんだね」


:豪華

:耳が幸せ~


佑真「君だ……君が“後ろの正面”だ!」

佑真はピシッと正解を指差した。


正解した瞬間、絢音は思わず胸を撫で下ろし、ほっと息をついた。

「よかった……これ、間違えたらみんなにどう顔向けすればいいか……」


応声を倒した後は、昼は巫女さんといちゃつき、夜は怪談を解決するという、そんな日々がしばらく続いた。



だがある日、絢音が神社をクリックすると、いつも掃除しているはずの白禾の姿がなかった。


「おかしいな、白禾ちゃんは?」

絢音が主人公を操作して神社を見回してみると、林のそばの片隅で、血と土にまみれて倒れている白禾を発見した。



「白禾ちゃん!?」

佑真「白禾さん!よかった……まだ息をしている」

一瞬、最悪の可能性が脳裏をよぎったが、白禾の胸がわずかに上下しているのを見て、佑真は膝から崩れ落ちそうになった。

「……生きてる。よかった……!」

絢音は、物語が大きく動き出す気配を感じた。


:よかった

:白禾ちゃん……



「そろそろ終わりにしようと思ってたけど……気になりすぎて無理!もうちょっとだけ進めちゃおうか」

絢音は時計をちらりと見て、少し迷った末にそう言った。


:ここで終わったら気になって眠れないやつだわ

:賛成~!




佑真は気を失った白禾を社務所へ運び、水とタオルを用意して、彼女の顔についた血や汚れを丁寧に拭った。


白禾「ここは……社務所、かな?」

佑真「よかった、目を覚ましたんだ。大丈夫?」

白禾「なんとか……。ここに連れてきてくれたの、あなた?ありがとう」

佑真「いや、大したことじゃないよ。でも一体何があったの?どうしてあんなところで倒れてたの?」



白禾は少し沈黙してから、決意を込めたように口を開いた。

白禾「仕方ないね……この件、君とも無関係ってわけじゃないし。話すよ」


佑真は緊張しながら彼女の話に耳を傾けた。


白禾「……山神様が、ついに目を覚ましてしまったの」

佑真「山神様? それと君が倒れてたのに何か関係があるの?」




白禾「山神様は普段、神社の裏山で静かに眠っていたんだけど……黄泉の穢れが、神域に入り込んでしまって。神様の眠りを妨げてしまった。

それが原因で、最近あんなに怪異が活発になっていたの」

佑真「黄泉の穢とは?」

白禾「黄泉の穢れは、死者の未練や呪いが形を成したもの、」



白禾によれば、目覚めた山神様は激怒し、その怒りに恐れた怪異たちが山から逃げ出したという。

だが、山から散らばった怪異たちを放っておくのは危険すぎるため、退治しなければならない。



でも今の白禾は霊力を使い果たし、深手も負っているため、しばらくの間は佑真にその役目を託すしかないという。



佑真「でも、私はただの一般人だよ?」

白禾「わかってるよ。不本意だけど……今は、君にしか頼れないの」

白禾「だから、私のお面を貸します」

佑真「お面?」

白禾「それがあれば、私の力の一部を使えるし、猫の店主から買ったお守りもある。きっと何とかなるよ」



「やった! 白禾ちゃんのお面、ゲット!」

絢音はガッツポーズをして、満面の笑みで言った。



:ゲットだぜ!

:白禾ちゃんのお面、まさかの装備アイテム!?

:これで主人公も戦えるようになるのか!胸熱!




こうしてゲームには【裏山】という新たな選択肢が追加された。


そこでは様々な怪異に遭遇し、退治することができる。


まるでRPGのように、戦って経験値を得て、スキルを習得し、自分のステータスを強化していくのだ。


物語は、思っていた以上に深く、そして……危険だった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

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