妹と一緒に、配信を見る
夜。瞳は部屋で配信を見ていた。
見ているのはもちろん絢音の配信、いや、ここは「鈴宮琉璃」と呼ぶべきだろうか。
琉璃の配信は知っているので毎回欠かさず見ているが、お互いの精神衛生のため、どのアカウントで見ているかは内緒にしている。
画面には二人の少女が映っている。一人はおなじみの琉璃、もう一人は天歌という少し見慣れない顔の少女だ。
正直に言うと、瞳は普段あまり配信を見ない方だ。自分のゲームが配信されている時に、たまに覗く程度である。
定期的に見ている配信は絢音が中の人をしている、鈴宮琉璃だけだ。
「ぎゃああああああああ!」
画面上の二人が二階で探索している最中、突然現れたナースに驚かされた時、瞳は右手で軽くガッツポーズをした。
「あれ?」
しかし、なぜか今回の叫び声は特に臨場感があり、まるで隣の部屋から聞こえてくるような感じだった。
コンコン、ノックする音と聴き慣れた声。
「お兄ちゃん、今は大丈夫ですか?」
「はーい、どうぞ」
妹の結衣が入ってきて、右手に何故か抱き枕を持っている。
頑張って同じ停雲高校に入った結衣、今は高校一年生。
家族譲りの高身長で、そのスタイルはまるでモデルのようだ。
最近では、彼女は自分より年上の絢音とほぼ同じ身長になっている。
このような美少女に、いつも明るい笑顔が見せると、モテないわけはない。
聞く限り、結衣は学校ではかなり人気があるようだ。
「どうしたの?」
でも今、結衣の顔にはあのいつもの笑顔がなかった。瞳は少し心配そうに尋ねた。
結衣は瞳のモニターの画面を見て、予想通りの表情を浮かべた。
「お兄ちゃんもやっぱり絢姉の配信見てますね」
「ああ、なるほど」
理由が分かった。結衣は瞳や絢音と違って、ホラーが苦手なのだ。
しかし、憧れの絢姉が配信しているから、見ないわけにはいかず、仕方なく見続けることになった。
でも怖いものは怖い、こんなこと前から何度もあった。
瞳は絢音の配信まだ知らない時、結衣は何らかの言い訳を考えないといけないが、今はもう直接来ていい。
「一緒に見る?」
「うん」
部屋には他の椅子がなかったため、結衣はベッドの上に座り、瞳の背中に隠れるようにして画面を覗いた。
琉璃と天歌は今、一階で探索しており、物置の部屋の前に立ち止まっている。
「誰がいるっぽい、幽霊かな?」
部屋の中から話し声が聞こえるが、声が小さすぎて何を言っているのかは聞き取れない。
「無視しよう」
天歌は断固として言った。
「いやいや、無視しちゃダメだよ」
琉璃は苦笑いして、物置の部屋に近づく。
「ここには絶対何かある、入ったら罠にかかるよ!ああ、どうして直接入っちゃったの!?」
琉璃は天歌が話し終わる前に、すぐに扉を開けて入っていった
結果的には、天歌が正しかった。
「血痕がついてるね」
琉璃が物置の棚から血痕がついた、ボロボロのノートを手に取ったとき。
突然、シオンの足を誰かが掴んだ
「返して…返して…」
暗闇の奥から血だらけの顔をした男が現れ、男は地面にうつ伏せになりながらシオンの足を掴み、顔を歪めて言った。
「俺の体を返してくれ!」
男の体は腰から下がなく、上半身だけで地面を這っていた。
「ぎゃああああああああ!テケテケだ!」
天歌は悲鳴を上げた後、一声の大きな衝突音が聞こえて、天歌が突然動かなくなった。
隣の結衣も悲鳴を上げて、瞳の袖を強く握っていた。
「転んだの?」
瞳は動かない天歌を見て推測し、結衣の頭を撫でて、驚いた妹を慰めた。
「大丈夫?」
転んだ天歌に気を取られていた琉璃。
「はい、大丈夫です、いててて」
画面を見直したとき、そこには血まみれの【YOU DIED】の文字がはっきり映っていた。
「あ、死んだ……」
リスタートを押すと、画面はノートを拾う直前の場面に巻き戻された。
「ここから始めるのか?なかなか優しいね」
「ね!もう拾わなくてもいいんじゃないか?」
天歌は恐る恐る聞いた。
「いや、もしかして大事なことを書いてるかもしれない」
琉璃はもう一度ノートを拾った。
そして、上半身しかいない男に追いかけられた。
「来てる、来てるよ!」
天歌は慌ててそう叫んだ。
「よっ、ほっ、よし、躱した!」
でもゲーム上手な琉璃は華麗なステップでテケテケを撒いた。
:うっま
:さすが琉璃ちゃん
「ふむ、もう少しテケテケの速度を上げた方がいいかな?」
瞳は顎を撫でながら、小声で言った。
「お兄ちゃん、鬼!?それはダメだから!」
結衣は信じられないものを見たかのような顔で瞳を見つめた。
「いや、こんなに簡単に撒いたら緊張感が足りないよ」
瞳の予想では、ここはいわゆる初見殺し、プレイヤーはまだ操作に慣れていないなら二、三回死んでもありえる。
でも琉璃は一回目から簡単に撒いた(初回は邪魔が入ったのでノーカウント)、それはゲームの難易度が足りないと瞳は考えた。
「絶対にやめて、絢姉のゲームスキルを標準にしないで」
「そ、そうか」
瞳が恐ろしい考えを捨てたのを確認した結衣は、もう一度釘を刺した。
「絶対だよ」
「わかったわかった、上げないから」
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