道化と憧憬
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笑顔咲く
極彩色の大輪の萼を一つとってさしても
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憧れを抱くなんて烏滸がましいほど
あの子はとても綺麗に笑うんだ
咲いた花の姿が誰にとっても同じように
太陽の光が平等に地上に降り注ぐように
誰といても
誰であっても
どこを向いても
何を見てても
あの子はいつもあの子のまま
ありのままでいても愛されるから
ありのままでいられるんだって
そんなの僻みでしかないんだけど
誰かと比べて優れてるって
貶めなければ気がすまない
それと比べればずっといいなんて
そんなのは分かっているんだけど
憧れを抱くことも烏滸がましいって
私の中の醜い私はその言葉を否定する
もしも自分にほんの少しでも
あの子と同じ魅力があるなら
もしも自分が生まれ変わって
あの子と同じ環境にあるなら
そんなことを思ってしまう
こんな気持ちを持っている限り
たとえあの子のように綺麗に笑えても
きっと極彩色の花は咲かない
花びらの先がどこか萎れて
萼が茶色く垂れ下がってる
どこかみすぼらしい花になるだけ
私が醜く劣っているのは
きっと姿なんかじゃなくて
この魂の在り方なんだ
だから私に微笑まないで
本当にあなたが優しいのなら
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その笑顔を手折りたくないから